じぶんバロメーター
20代の頃だったか、自分の調子が測れるバロメーターを発見した。
「音楽を聴けるかどうか」
これが自分の状態をみごとに指し示してくれる。
ようは、元気だと音楽を聴いて、調子が落ちると聴かない。
「バロメーター」とは気圧計、今の状態を示す目じるし。
転じて「じぶんバロメーター」は、自分の見えない「気」、気分や、元気ぐあいが測れるもの。
音楽でじぶんの状態を測る人、わたし以外にもいると思うなぁ。
あなたはどうですか。
音楽以外にも、視覚、触覚、味覚、嗅覚など、五感のどれかで「自分の気圧」を測る人もいるだろう。
・好きな人に会いたくなくなる
・好きなマンガ、本、映画を観たくなくなる
・大好物を食べたくなくなる
・趣味の自己表現(絵、文章、歌、工作など)をしたくなくなる
知らずしらず下がる気が、自分にとっての「感性がふるえる対象」を遠ざける。
☆
個人的な気圧の上がり下がり、「感性」のアンテナは、忙しい人ほど軽視されやすい。
ふだん、小賢しい「理性」の声が幅を効かせて、感性の揺らぎは役に立たないと見なされやすいからだ。
「芸術家でもあるまいし」と。
わたしたちはどこか、感性の鋭さは一部の人の特権だと思っているふしがある。
タフさを求められる社会生活で、繊細に揺らぐ自分は子どもじみてて歓迎されない。
と、思っている。
そんなことないのにね。
仕事や家事や育児や介護のとめどないタスクを、揺らがない理性でこなす日々の裏側で、ガタつく感性に気づかないでいるとどうなるか。
ある日突然仕事に行けなくなったり、眠れなくなったり、人間関係がギクシャクする。
笑わなくなる。
笑えなくなる。
☆
わたしの場合、調子が落ちるとぱったり音楽を聴かなくなる。
音楽だけでなく、アラームなど電子音や、家族が観るテレビの音も、三人以上の会話も、カフェのざわめきも苦手になり、静かな場所に引っこむ。
無意識に音楽を遠ざけ、自分でも音のない生活に気づかなかったりする。
引き潮のように遠のいた音楽が再び聞こえるタイミングは、静かにやってくる。
朝の鳥の声や、夜の虫の声、雨の音が耳に届きはじめる。
自然にイヤホンに手が伸びる。
(そういえば、しばらく聴いてなかったな)と気づく。
「じぶんの気圧」の変化、サインをキャッチするために、自分なりのバロメーターがどんなものかを知っておくといいかもしれない。
もしかすると、感性を揺らす一見たよりなさそうな人のほうが、耐震構造の家みたいに、揺らぐ世界で壊れずに立っていられる気がする。
日曜日はこれ聴いていました。
https://www.youtube.com/watch?v=BPNTC7uZYrI
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