課長になる前に『サカつく』をやっといたほうがいいと僕が思う理由
同期から聞かれた課長準備に対して、僕がワリと真剣に考えて、結構いいなと思う回答をしたんだけど笑われてしまったことを思い出したので記事にしました。
改めて『課長になるための準備』とは?
僕が課長をやらせてもらってから数か月。ちょうど今年の夏くらいの話。
遅れて課長よりも一つ下の役職である『主任』になった同期から
『課長を実際にやってみて準備しといたほうがいいことって何かな?』
という質問を受けた。
正直な僕の気持としては
『課長が射程範囲に来てから課長の準備・心構えをするのでは遅い。』
『そんなこと言ってるから昇進が遅れているんじゃないのか?』
と、小言をいいたいところであった。
僕は『運転免許を取る前には運転技能は習得しているべきである』という持論を持っているので、入社直後の頃から自分の1段階、2段階上の役職の人はどういった視点で仕事をしているのかを自分事として受け止め、考えてきた。
(この辺は以前に記事に思いの丈を長々と書いています)
ただ、同期にシンプルな小言を言ってもしょうがないので、僕なりに実感を伴って本当におすすめしたいと思ったのが、『サカつくやっときましょう』ってことだった。
サカつくやっときましょうってこと
サカつくとはゲームソフトのことである。
Wikipediaによれば1996年から約20年間にわたり20作がリリースされている有名タイトルだ。
ソフトの概要をWikipediaから抜粋するとこんな感じのものだ。
プレイヤーはサッカークラブのオーナーとなり、チームの運営や施設・人事の管理、選手育成などを行う。試合中にプレイヤーは選手交代や一部の作戦指示が行えるのみで、選手を直接的に操作することはできない。そのためチーム育成がクラブ成績に影響し、クラブ成績がクラブの収入つまりは経営にも影響することとなる。このように経営シミュレーションゲームと育成シミュレーションゲームの要素を併せ持つことが、本作の最大の特徴である。
僕がこのゲームを知ったきっかけは、僕の大好きな深夜ラジオのパーソナリティが番組の中で話していたことだったと思う。
知っただけで実際にプレーはせず、コロナの緊急事態宣言が出て巣ごもりするにあたり、メルカリで格安のPS Vitaを買ってみた時に一緒に購入して初めてプレーした。
(一応リンクは貼りましたがメルカリにたくさん出品されているので、中古に抵抗のない方にはそちらをお勧めします。)
ソフトの発売は2013年で、データは当時のものなので今やるにはサッカー好きからすると違和感があるのかもしれないが、あまりサッカーに熱心でなかった僕はすんなりと入ることができた。
サカつくのどこがいいのか?
Wikipediaにもあるように、このゲームは経営シミュレーションであり、育成シミュレーションである。
非常に大局的に資金調達の方向性や、スタジアム増築などの社内インフラ整備計画、プロモーションのけってになど、社長目線の仕事もできる。
チーム内の選手のご機嫌取りから始まり、個々の選手に身に着けさせるスキルの調整、それをどうやってチームの方向性とマッチさせるかの意思決定と、そしてそれを任せるコーチやスカウトの任命などの課長(部長)的目線の仕事もできる。
実際に課長として働き始めて3か月程度が経過した僕にとって、このゲームをプレーすることと会社において課長としてふるまうことは似ている点が非常に多いと感じた。
これが失敗しても何のリスクもなく、時間制限のない中でゆっくり経験できるというのはかなりお得である。
具体的にどんなところが似ているのか?
ここから具体的に感じた課長とサカつくの類似点を挙げていこうと思う。
①チームとしての統一性の重要性に気づく
ゲームを始めたばかりの時は全く試合に勝てない。これは資金不足的な理由もあるのだが、単純にチームが方向性を持った1つの組織として整備されていないことが原因であることが徐々にわかってくる。
勝てない相手を分析し、どういう方向で強みを発揮して勝つか。
そのためにスカウトにどういった人材を探してもらい、コーチにどういった練習をさせ、戦術をどうやって指揮するのか、それに必要な設備をどうやって導入するのか?
この方向性を決めていくことが重要だということがよくわかる。
オーナー目線に立つと、組織縦割りでコミュニケーション悪くやってる場合じゃないってことがよくわかる。
強みを発揮するためにパスをつないで点を取ろうとする戦術を決めたのに、スカウトはドリブルが得意な選手だけを探してきて、練習は休憩重視では、組織全体の動きがちぐはぐになってしまう。
これをやられてたら組織のトップとしてやってらんないもんである。
以前やったマーケティング研修での毎月出る課題図書の一つであった『マイケル・ポーターの競争戦略 』に書いてあった活動システムマップを思い出す。
IKEAは①低価格で、②北欧風のお洒落な家具を、③今日すぐ手に入れられる喜びを顧客に体験してもらうという価値提供を軸とするために様々な企業活動のプロセスを独自にデザインしている。
例えば自社ですべての家具をデザインすることは外注するコストを抑えるばかりでなく、最終的にフラットパッケージ化できることを念頭においているため、在庫の嵩を減らせ、組み立ての工程を省略してコストを下げ、車で買いに来た顧客がその日のうちに持って帰ることができるといった様々な価値提供を同時に行うためにデザインされている。
(この辺のことは『IKES 活動システムマップ』で検索するといくつか詳しい解説サイトが出てくるので興味があればそちらもドウゾ。僕もいつか本のまとめとして記事に挙げる予定です)
②チーム全体の育成計画が気になる
これはサラリーマンに比べて圧倒的に現役生活が短いプロサッカーの世界なだけに非常に顕著なんだと思うんだけど、若手がいずれチームの中心となり、ベテランとなり、最終的にコーチになっていく。
ゲームの中ではこのサイクルを何度も経験する。
チームに入れられる人数は限られているので、能力が高いベテランばかりをスカウトしてきて採用してくると、世代交代した瞬間にチームの戦力がガタ落ちになる。
ポジションごとに若手・エース・ベテランをバランスよく採用して、時にはエースをさらなる成長のために海外にレンタル移籍させ、その間に若手にチャンスを与え、うまくいかない場合にはベテランにフォローさせるといった計画的な決断をしなければいけない。
僕が以前の記事で信頼できる部下だからこそ自分の下から出してあげなければいけないと思ったのも、もしかしたらこのサカつくの経験があったからかもしれない。
いや、かなり影響あると思う。
また、僕が所属している部署は極端な年齢構成になっており、管理職の最年少は39歳の僕なのだが、そのひとつ上の人はもう50歳を超えている。
組織全体で40歳台はいない。
3年後には管理職の半数はいなくなっており、5年後には管理職は僕しか残っていない。
そして5年の間に管理職になれる権利が発生するのは、順調にいっても以前の記事に書いた優秀な彼たった1人だ。
さすがにこれがサカつくだったらとてもじゃないけど放置できないし、世代間の不足を埋めるべく中途採用のスカウト活動に血眼にならなければいならないと思う。
だけど現状は・・・・・・
である。
③1週間のうちに気にしなきゃいけないことが結構たくさんある
実際のサカつくをやっていると、1週間の前半と後半をを1ターンずつとしていろんなことをやらなければいけない。
①のあたりで書いたスカウトが挙げてきたチェックから、練習のメニュー決め、地域貢献活動へ誰を参加させて何をするかを決め、スタジアムの建設計画など、やることがたくさんあってそれぞれ指示を出さなければいけない。
正直常にマルチタスクでないと経営が回らない状態に陥る。
個別の部下に進捗を確認し対話して指導し、必要あれば他部署への交渉をしながら、かたや自分より上の上司に報告書をまとめ、春の安全活動月間であればその活動を行いって報告書を書き、決算資料をまとめて会議に出席する。
こんな課長業務とかなり重なる部分がある。
サカつくであればゲーム内の1週間の活動に対して、実際のどれだけ時間をかけて悩み・実行しても平気だが、課長の仕事は日々流れる時間を緩めることはできない。万全な検討でなくても決断を迫られることもある。
そういった意味では『課長になる前に』やるには非常に有用だと思う。
④わがままを言う選手の取り扱い方を覚える
幸いなことに僕の部署には厄介なわがままを言う部下はいないのだが、当然会社組織ともなればどこかしらに(どこかしこに?)こういった人間はいると思う。
ゲームの中ではわがまま・不満を言う選手のケアもしなければいけないが、相手が何に対して不満を持っているかをよく聞いて、それに応じた話し方をしないといけない。
相手の主張は何かを対話し、その解決策となる方法でケアし、時には相手の要求が飲めないことに対しての断り方、しかり方が必要になる。
ゲームなのでパターン化しているといえばそうなのだが、これも管理職の難しさを強烈に疑似体験した経験だったなと思った。
まとめ
と、これまで長々と書いた意味合いを込めて僕は冒頭の同期にこのゲームをお勧めしたのだった。
残念ながらこの真意はすべて伝わらなかったので一笑に伏された形になってしまったが僕なりにはかなりお勧めであった。
当然これは僕が大発見をしたのではなく、このソフトを開発した方々がそれを経験できるように意図して作ってくださっていて、僕が見事にその意図に乗って課長の疑似体験をさせてもらったものだと思っています。
もしこの記事を読んでサカつくに興味を持ってくれた方には、是非とも攻略サイトなど見ないでプレイしてほしい。
課長に攻略サイトはないのだから。
こんなこと書いてる僕はこんな人間です。
よかったらこっちも読んでもらえるととてもうれしいです。
#日記 #エッセイ #コラム #ビジネス #人事 #企業 #新入社員 #大企業 #大手 #社会人 #上場企業 #課長 #大企業病 #昇格 #大企業病の本質 #昇格 #新米課長 #就職活動 #新入社員 #部下 #社員教育 #製造業 #工業 #読書 #ビジネス書 #全力で推したいゲーム #フォロバ100 #相互フォロー #自己紹介をゲームで語る