敷島

詩歌 | 日記 | たまに小説

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  • 道辺日記

    みちのべにっき。2024年5月15日から書かれた、無職女(25)の取り留めのない日記。

  • 詩も書きはじめました。

  • 短歌

    短歌まとめです。何気ないこと、人間のこと、つぶやくような短歌です。

  • エッセイ

    日記のようなエッセイかもしれません。自由に書きます。

最近の記事

道辺日記(2024.11.2~9)

2日(土) 二十年来の友、Yと会う。昼食をともにしながら彼女の近況を聞いた。Yは自分に一方的に好意を寄せる男との交流を楽しそうに語ったが、私にはその男の心をYが悪戯に弄んでいるように見えて少しばかり不愉快だった。彼女とは長い付き合いなので、それは相手が不憫に見えると正直な感想を伝えた。夕方に友人Mと合流した。Yは異性への思わせぶりな態度は自らの「宿命」と表したが、私はその一言で片付けることに違和感を感じた。場所を変えて、遅くまで恋愛や結婚や死や宗教について話し合った。どれも答

    • 詩「あきのいちにち」

      朝 目覚めると 夢を見ていたことを思い出す どうやらあなたから 愛の言葉を受け取ったらしく 心がぽかぽか温かい そしたら急にそんなことない現実を 自覚してちょっと虚しくなったりする 布団から出る頃には 夢の詳細を忘れて 気だるくなる 昼 現在の あなたの生を確信する そうでないと わたしが生きていくのは難しい あけび色の便箋に 絶望との共生を願う文言を書き 110円切手貼った ポストに投函するときの音が 水琴窟みたい わたしの頭に空洞を作った 晩 カフェにて 鼓膜震わすジ

      • 詩「全部」

        雲ひとつない立方体の世界 狭い 狭い 狭い 色づきはじめたイチョウが舞う 考えの及ばない幼稚さで みんな傷ついたり傷つけたりする あなたに伝えた愛も 今も昔もただの暴力だったらしい 嘘つきの笑顔は時限爆弾 全部ごめんなさい 雨雲抱えたあなたの心 広い 広い 広い 果実の香りの灰色の雫が静かに落ちる あなたの生きる証を 私の中に見出したくて 差し出された傘も本当は欲しかった もう戻らない日々よ 私の剃刀をあなたはまだ持っていますか 全部ありがとう

        • 詩「本望」

          消えかけていると思われた 会いたい人との繋がりは 会わぬうちに光の編み込まれた 強固な組紐となっていた 冬からまた次の冬へ いつ会えるともわからず いつまで会えないともいえず なにもかも不確かなのに 会えない人の「生」を信じることが わたしの生きる支えであるということは まるで信仰のようだと 未熟なわたしは思う 絶望、虚無、不安の渦にのまれて 過去と未来から切り離されたおのれが ぼんやりぷかぷか浮かぶのは あの人のお名前と同じ名前の河だった その水中に見た泡(あぶく)は そ

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        • 道辺日記
          47本
        • 73本
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        • エッセイ
          8本

        記事

          詩「きょうのつき」

          月明かりのスポットライト 君の横になった背中が浮かんでいる 疲弊した薄い背中 白の肌着  無言の苛立ち ごめんなさい 今年一番の月だってさ 僕起こしたくて君の指を食べた そしたら君は蔑みに満ちた黒目で 「なに?」って肩をすくめたんだ 僕その途端に 「この人のこと好きじゃない」って思ったよ 落ち込むのも自責の念も 全部僕由来の光の柱 僕だけでいいよそういうのは 「きもちわるい」僕だけでいい 君の背中が遠のくよ 近いのは月だけみたい 林檎病です 拒絶しないで 月光よ 僕の頬

          詩「きょうのつき」

          詩「曼珠沙華」

          咲けよ咲け曼珠沙華 その紅の火花で己の足元を照らせ そなたの放つ光線はわれのレンズを溶かす じりじりとした絶望抱え人は人恋しさに鳴く 秋風もいたずらに寂寥を引き延ばす 電話線の倍音が花弁に降りかかる 紅いよ紅い曼珠沙華 会いたい人に出逢わせておくれ また「はじめまして」って言わせておくれ 鮮麗な冷ややかさを兼ね備えた情熱の色は 季節の代表として人間たちの架け橋となる そなたの群れがひんやりと異界の扉を開ける

          詩「曼珠沙華」

          詩「ファミレス」

          おのおのが握力で飯を食う此処は わたしには寂しくて楽しい場所 スイーツを我慢してカプチーノで済ました この椅子のかたさもまた わたしのギリギリの節制 嫌いな子のこと 生まれない自信 好きな人のこと 死んでいる依存 此処での考えごとは拠り所のないもの ヘイトもアンチも愛すらも現像前 理由はいらないだろう なぜ人は理由と説明ばかり求めるのだろう 根無草は現場を知らない 斬った人のこと 熟れない秋の実 憂世の夢を見る 散りきらない花 飲料の泡で空腹を満たせよ 何かを発見する

          詩「ファミレス」

          詩「終止線」

          引こう引こう終止線 バッテリーが切れる前に 息継ぎをするように 充電されたスマートフォン 私の仲間 引こう引こう終止線 水たまりの波紋は永劫に 遠き春の花のように 前線は続く長雨 私の仲間 引こう引こう終止線 君の瞳は白く淀んでる どちらかが去るというわけでなく もうさようなら 私の仲間 引こう引こう終止線

          詩「終止線」

          道辺日記(2024年9月10日)

          6時起床。シャワーを浴びて身支度。その間に夫が朝食を作ってくれた。 私はバイトへ行く。過日面接を受けたバイトは不採用であった。今日のバイトは、生後3ヶ月の甥っ子の面倒を見てほしいと、義理の妹から依頼を受けたことによるものである。おそらく週一回の頻度で行くことになろう。役に立てるか分からないし、命に関わる仕事だと思うと、緊張で心をざわつく。 夫を駅まで見送ると、私は電車に乗る時刻までカフェで待った。久しぶりにグレン・グールドのベートーヴェンピアノソナタを聴く。ソナタ第1番の一音

          道辺日記(2024年9月10日)

          道辺日記(2024年9月4日)

          6時半頃起床。朝、トイレに行った夫が「秋を感じるからトイレ行ってみて」と言った。昨日から束の間の涼しさとやらで、今日もずいぶん秋らしい。トイレに入ると小窓から涼しい空気と鈴虫の声が流入して、確かに秋の結晶を見たような気がする。我が家のトイレは夏はとにかく暑いし、冬はとにかく寒い。季節を感じるにはぴったりのところである。 7時前に家を出て、夫と駅ビルのカフェでモーニングを食べた。他愛もないことを話した。私は今日海へ行くと昨夜決めていたから、途中まで夫と一緒に電車に乗った。しばら

          道辺日記(2024年9月4日)

          道辺日記(2024年9月2日)

          7時頃起床。夫が先に起きて朝食を作ってくれた。クリニックの夏休みを見越して通院しなかったため薬が足りず、ここ数日ちょっとした不安があり、暗い気持ちでいた。悲しいけど、薬が無いと今は生きていけない。 夫と共に家を出た。駅で見送ったあと、私はクリニックの開く時間までカフェに入った。ゆっくり歌集を読んだり、窓からいろんな景色を見て短歌を作ったりした。最近は何にせよ表現することが怖かったのだが、ゆっくり自分の時間として創作をすることの楽しさを感じた。 9時過ぎ、クリニック着。院内に流

          道辺日記(2024年9月2日)

          道辺日記(2024年8月29日)

          台風に翻弄される日本とわれわれ。親友との旅行が中止になる。その代わり、昨日は都心で彼女と少し贅沢なお茶をした。彼女とはもう二十年来の仲である。気づけば二十年経ってしまった。彼女も短歌を詠む人で、短歌や創作の話をした。表現するという活動の不思議と、人との出会いや別れなどを絡めて、その喜びと一抹の切なさについてずいぶん話し込んだ。 話しているうちに私は嬉し泣きしそうになる。上記のテーマが私を生かしていることを知る。そして何より、二人とも未熟者だけれど、語らえて良かったと思った。

          道辺日記(2024年8月29日)

          道辺日記(2024年8月26日)

          7時前起床。目覚ましは5時半に鳴る。なかなか早起きができない。新しいソファを買ってから、夜そこでうとうとするのが気持ちよくなった。そのせいか布団に入るのが遅くなってしまう。熟睡できてないから朝起きても眠いのだろう。生活習慣を見直さねば。朝ごはんはトースト、スープ、グリーンスムージー。 夫を玄関で見送り、私はバイト面接用の白シャツにアイロンがけをした。のんびり過ごしていたのだが、予定より早くシャワーを浴びて着替えをしたら、急に緊張してきた。時間を持て余すのはよくない。 12時、

          道辺日記(2024年8月26日)

          道辺日記(2024年8月22日)

          目覚めたときから希死念慮があった。夫が先に起きて朝食を作ってくれた。私はなかなか布団から抜け出せずにいた。現実を見つめる強さがほしい。しばらく悶々としていたが、「やはり、やらねばならん」と思って布団から出た。私は生きてやることがあるのだ。 夫を駅まで見送るその道行でも、私は弱音を吐いた。夫は傾聴してくれた。なんだか元気の出てきた私は、隣の駅まで歩いてショッピングでもしようと思い立った。夫と別れ、私は隣の駅までずんずん歩いた。暑さが幾分やわらいで、汗はかくものの歩きやすい。夫と

          道辺日記(2024年8月22日)

          道辺日記(2024年8月20日)

          7時前に起床。夫がシャワーを浴びている間に朝食の用意。パンとスープ。食後はカフェラテとフィナンシェ。 今日は比較的涼しい日だった。私はリビングでバイト探しをした。考えすぎたせいなのか、バイトを選ぶ「決め手」とはなんなのか、分からなくなってきた。あとは色々な短歌結社のWebサイトを見た。自分の短歌をその道の人に添削してもらいたいと思うし、色々な表現方法を知って視野を広げたいと思っているので、結社への入会を検討している。とりあえずとある結社の見本誌を取り寄せることにした。 夫が帰

          道辺日記(2024年8月20日)

          道辺日記(2024年8月19日)

          7時過ぎ起床。朝食はカフェラテとフィナンシェ、鶏卵素麺を食べる。夫も私もお盆の疲れが溜まっているようだ。仕事に行く夫を玄関で見送った。 昨日は友人と美術館に行ったあと、同級生が出展している書道展を鑑賞した。帰宅して夜には大学時代のサークルの同期とオンラインで近況を話し合った。久しぶりに家族以外と交流をした。 何も悪い思い出はないのに、私は高校時代関わりのあった人には基本的に会いたくないと思っている。書道展を回って帰ろうとした頃、受付をしていた高校時代の知り合いが、「Tさんもち

          道辺日記(2024年8月19日)