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詩「あきのいちにち」
朝
目覚めると
夢を見ていたことを思い出す
どうやらあなたから
愛の言葉を受け取ったらしく
心がぽかぽか温かい
そしたら急にそんなことない現実を
自覚してちょっと虚しくなったりする
布団から出る頃には
夢の詳細を忘れて
気だるくなる
昼
現在の
あなたの生を確信する
そうでないと
わたしが生きていくのは難しい
あけび色の便箋に
絶望との共生を願う文言を書き
110円切手貼った
ポストに投函するときの音が
水琴窟みたい
わたしの頭に空洞を作った
晩
カフェにて
鼓膜震わすジャズの演奏
「無駄なこといっぱいすればいいよ」
あなたの言葉が
音符に乗って繰り返される
そう言うのなら
わたしがあなたを慕うのも
また許されるはずです
今頃静かな仕事場で
机に向かうあなたの灯りを
尊びたい