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詩「あきのいちにち」


目覚めると
夢を見ていたことを思い出す
どうやらあなたから
愛の言葉を受け取ったらしく
心がぽかぽか温かい
そしたら急にそんなことない現実を
自覚してちょっと虚しくなったりする
布団から出る頃には
夢の詳細を忘れて
気だるくなる


現在の
あなたの生を確信する
そうでないと
わたしが生きていくのは難しい
あけび色の便箋に
絶望との共生を願う文言を書き
110円切手貼った
ポストに投函するときの音が
水琴窟みたい
わたしの頭に空洞を作った


カフェにて
鼓膜震わすジャズの演奏
「無駄なこといっぱいすればいいよ」
あなたの言葉が
音符に乗って繰り返される
そう言うのなら
わたしがあなたを慕うのも
また許されるはずです
今頃静かな仕事場で
机に向かうあなたの灯りを
尊びたい

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