中高生のための就職ガイダンス「小事に忠・小事が原点」
小事に忠・小事が原点
プロ野球、福岡ソフトバンクホークスの会長・王貞治氏にまつわる、有名なエピソードです。
ご存じの通り、王貞治氏は、読売ジャイアンツの出身です。
読売ジャイアンツ入団1年目の王選手は、レギュラーであるとともに、他の新人とともにポール係でもありました。
ボール係の仕事は、練習前にはボールを配置し、練習後にはボールを集め、数を確認するといった、下積みの仕事です。
新人は王選手だけではないし、ポールが2~ 3個足りないからといって、練習に影響があるわけでもありません。
いいかげんにやろうと思えばそれですむ仕事です。
しかし、王選手は、この下積みの仕事を、過去のポール係のだれよりも真面目に、正確に、完璧といってもよい程にやっていたそうです。
その後における、1本足打法を会得するまでの特訓や、ホームラン王を維持するための不断の努力については、語りつくされているところです。
世界のホームラン王としての輝かしいシーンの裏には、何事もいいかげんにしない姿勢があり、それを貫く実行力があったのです。
大業をなす人には、だれでも、才能と努力のほかに「小さいことをいいかげんにしない」心掛けがあります。
言い方を変えれば、小事をいいかげんにやる人間が、大事にだけ心を込める、ということはあり得ないということです。
まことに小さな、しかし、心を込めなくてはできない仕事を出発点として、その土台の上に築かれたものなのです。
日々の、気を込めた小さな行動の積み重ねが人間性の基盤であり、信頼のバロメータとなります。
しかし、気を込めた自然な態度は、一朝一タで身につくものではありません。
中高生の皆さん、質のよい社会人として企業に歓迎されるように、今から「小事に打ち込こむ」生活を心掛けてください。
時代の変化は速く、企業をめぐる環境も年々変りつつあります。
しかし社会人に求められるものは、こと基本に関する限り、変ることはありません。
報告・連絡・相談、クイック・リスポンス、服装や態度、ことば使いなど、組織人としての基本動作の重要性は、むしろ増す一方にあります。
これらは、個々には、企業社会のなかでは小事です。
仕事とは、これら小事の積み重ねです。
「企業は人なり」という言葉があります。
企業が成長していくベースは人材にあります。
「人材」は「人財」とも書き示されることもあります。
社員は財産という事です。
少子高齢化により労働人口が減少し、企業の人手不足が常態化しています。人手の確保には、優秀な社員の採用確保と離職防止の両面が大事です。
ために、企業としての社会的使命を果たし、企業イメージを高めるために、人間的に質の良い社員が求められているのです。
企業から買ってもらえる人材となるためには、仕事力、人間力、就職カをしつかり身につけることが大事です。
その原点は「チリも積もれば山となる」です。
チリのように小さいことでも、本気で打ち込める人間になりたいものです。