好きなアニメの劇場版を見に行ったらただの総集編だった時と同じ感覚かも!でも面白いです!「悪魔のサンタクロース2 鮮血のメリークリスマス」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(615日目)
「悪魔のサンタクロース2 鮮血のメリークリスマス」(1987)
リー•ハリー監督
◆あらすじ
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ビリーの弟・リッキーが残虐な殺人者へと豹変する。兄の殺人事件後、養子に出たリッキーはサンタを連想させる赤い物を見るとパニックを起こすようになる。そんななか、リッキーは幼い頃すごした孤児院の憎しみ深い院長に復讐することを決意し…。(Filmarksより引用)
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先月視聴した「悪魔のサンタクロース/惨殺の斧」(’84)の正式な続編にあたり、前作の主人公ビリーの弟であるリッキーが主役の物語となっています。
監督は前作のチャールズ•E•セリアー•Jr氏からリー•ハリー氏へと交代しています。ちなみにハリー監督は今作以外には『高校球児たちで結成されたストリートギャングと街を牛耳るガチのギャングたちの抗争』を描いた「ストリート•ソルジャー/炎の逆襲」(’90)という作品も手掛けており、こちらに関しては超絶マイナー過ぎて映像が現存しているのかすら定かではありませんがいつか拝ませていただきたいものです。
前作の「悪魔のサンタクロース/惨殺の斧」の公開時は、そのあまりの過激な内容から「サンタクロース姿の殺人鬼は子供の夢を壊す!」といった類の苦情が殺到して一時は公開が中止にまで追い込まれました。
今作に関しては公開時の反応がどうだったかなどの記録は見受けられませんが、前作に比べると知名度も低く、内容も少々B級スラッシャーよりであまり深みがありませんでした。
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前作では『幼少期の頃にサンタクロース姿の強盗に両親を殺害され、更には施設で受けた虐待によって心に大きなトラウマを抱えた青年ビリーがクリスマス・イブに巻き起こす凄惨な復讐劇』を描いており、当時の評判はあまり高くなかったようですが個人的にはかなり刺さる内容でハマりました。
なもんで続編となる今作にもかなり期待をしていましたが、いざ蓋を開けてみると本編約90分のうち最初の30分程は前作のダイジェストでした。
何らかの罪で逮捕されたリッキーが精神鑑定としてヘンリー医師に兄•ビリーのことや自身の生い立ちや事件の後のことを話していくという流れになっており、大まかにいうと前半の30分は『リッキーが語る兄ビリーの話(前作のダイジェスト)』、中盤の40分は『リッキーの自分語り』、そして後半の数10分で『脱走したリッキーによる院長への復讐劇』を描いています。
私は先月に前作を見たばかりだったので最初の30分くらいは少々退屈でしたが、要所要所でリッキーの兄に対する思いが語られたり、自分の目の前で兄が殺害された時(前作のラストシーン)のことが語られるので飽きさせない作りにはなっていますし、それ以降の流れにも関わってくるので飛ばさずに見たほうが良いと思います。
ですが!
前作のダイジェストを流しているだけなのはあまりいただけなかったです。せめて前作でカットしたシーンを使うとか、新たに撮り直したシーンが少しでもあれば大分評価が変わったのではないでしょうか。
好きなアニメの劇場版を見に行ったらただの総集編だった時と同じ感覚かもしれません。
中盤からは目の前で兄が射殺されたところを目撃したリッキーのその後が語られます。
◇ビリーの事件のあと施設は閉鎖されるも、リッキーは心優しいローゼンバーグ家に引き取られる。一心に愛を注がれるも、リッキーは事件のトラウマからサンタクロースを連想する赤い布などを見ると発作を起こすようになっていた。18歳を迎え、レストランの雑用係として働くリッキーはその歪んだ正義感からDV野郎や悪徳債権者を自慢の怪力で葬り去っていた。そして彼が唯一心を許していた恋人•ジェニファーの命も自ら奪ってしまい、完全に箍が外れた彼は無差別殺人を繰り返し、ついに警察に逮捕される
という話がリッキー本人の口から語られ、ここで『なぜ彼が逮捕されたのか』や『精神鑑定を受けていたのか』などが明らかとなります。
そして彼は自分や兄をこんな風にしたあの施設の院長に復讐を果たすべく、ヘンリー医師を絞殺して脱走。今では脳卒中を患い隠居しているあの憎き院長の命を奪いにいく。
という終盤の流れに入っていきます。
ビリーとリッキーに偏った教育を施して、彼らの気持ちを理解しようともせずに頭ごなしに日常的に暴力を振るい、人格形成に大きな影響をもたらした院長は救いようがないほどの畜生です。なので前作でビリーが院長を殺害しに行くのも分かります。
そして弟のリッキーを主人公にした今作では『兄の敵討ちでもある憎き院長への復讐』を描かなければならないところではあるとおもうんですが、先述したように『前作のダイジェストとリッキーのこれまで』に70分以上を要しているため、肝心の“院長殺害”パートが非常に短いです。
『しっかり復讐も果たし、その後リッキーも警察に射殺される』というお決まりの着地の仕方はすごく良かったんですけど流石に短すぎました。たぶんなんですけど前作のダイジェストを無しにして、『リッキーのこれまでと院長への復讐』だけを描いたらもっと評価が上がってるんじゃないでしょうか。
内容自体は全然面白いんですけど、なぜかリッキーが成人になった途端に片手で人を持ち上げられる怪力マッチョ男になっていたり、『サンタクロースを連想する赤い布で発作を起こす』という謎の要素を全然活かせていなかったのが少々気になってしまいましたし、そもそも物語においてクリスマスやサンタクロースとの関連性が乏しく、製作陣も流石にマズいと思ったのか院長に復讐する際だけはリッキーがサンタクロースの格好をしています。
このあたりの詰めの甘さがB級っぽさを滲ませており、リッキーが人間味のないただのサイコパスのように描かれたことで前作よりも格が下がってしまった感がありましたが決してつまらなくはないですし、個人的にはそこそこ楽しめました。
余談ですが作品の中盤において、ゴミ捨てをしていた男性を射殺する際にリッキーが「ゴミの日だ!(Garbage day!)」と叫びます。
このセリフが意味が分からな過ぎるということで海外ではちょっとしたネットミームとなっているようです。他にも「映画のクソ過ぎる殺人シーン」等に選出されたり、「Garbage day!」が空耳で「カルピスデイ!」に聞こえるということから、ネット界隈ではリッキーがカルピスと呼ばれているらしいです。
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