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【連載小説】私小説を書いてみた

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自分自身との対話。 人生の切り売り。 私小説とは違う何か。 2番目の作品。
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続 ステイホームで38歳が初めて私小説を書いてみたが、なかなかカオスな展開になった件 【あらすじとあとがき】

続 ステイホームで38歳が初めて私小説を書いてみたが、なかなかカオスな展開になった件 【あらすじとあとがき】

人生で二番目の作品を書き終えました。
35000字くらいでした。

読んでいただけた方々、noteのみなさまいつもお世話になり、ありがとうございます。感謝です。

全部スマホで打ったので「書き終えました」は、なんだかしっくりきません・・・「タップし終えました」とかですかね。

はじめての作品「純文学を書いてみた」は10年くらいの構想のなかで形にしてから順に分けて発表しましたが、二作品目は場当たり的

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【連載小説】私小説を書いてみた 2-4

【連載小説】私小説を書いてみた 2-4

前回までのお話はhttps://note.com/sev0504t/n/nf5a766c493cd
最初から読まれる方はこちらどうぞ。

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治療

「どうしてクリニック閉めてしまうんですか」
 僕は診察台に壁を向いて身体を横たえると、坂下先生に尋ねた。

「お恥ずかしい話

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【連載小説】私小説を書いてみた 2-3

【連載小説】私小説を書いてみた 2-3

前回のお話は…https://note.com/sev0504t/n/nc2af0f430314
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治療

 誰ともメールや電話をしなくなってから二週間が経った。陸には、病気でバンドもできないこと、治療費も必要でギターを売ったことの二つだけ伝えていた。ただそれ以降、特に誰からも連絡はなかった。

 本

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【連載小説】私小説を書いてみた 2-2

【連載小説】私小説を書いてみた 2-2

前回までのお話はhttps://note.com/sev0504t/n/nf1fdf6b7e91b
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治療

「え、高校のお仕事やめちゃったの」
 坂下先生は驚きを隠せない様子だった。
 診察の手が止まった。

「ちょっと、隠しながら働くの厳しいかなって。でも、しばらくは失業保険とかでなんとかやってける

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【連載小説】私小説を書いてみた 2-1

【連載小説】私小説を書いてみた 2-1

前回までのお話https://note.com/sev0504t/n/n9d37e9144687
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治療

「こんにちは。その後どうですか」 

 三回目の皮膚科の「治療」だった。
 坂下先生はいつもの調子でパソコンに何かを打ち込みながら僕に尋ねた。

「全然治らないというか、生えてこないというか、むしろ悪化してる気が

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【連載小説】私小説を書いてみた  1-4

【連載小説】私小説を書いてみた 1-4

前回のお話https://note.com/sev0504t/n/n2e5c7f1838c8
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異変

 神は乗り越えられる者にしか試練を与えないらしい。乗り越えられない者がいれば神様のせいにしていいのかな。

 僕は痛む左手を氷で冷やした。自分で傷つけ自分で治療する。そ

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【連載小説】私小説を書いてみた  1-3

【連載小説】私小説を書いてみた 1-3

前回のお話https://note.com/sev0504t/n/n1ccbf5042e2f

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異変

 病院からの帰り道。僕はコンビニで発泡酒とポテトサラダを買った。まだいろいろ信じられないことばかりだった。失ったものと、その喪失感。人のぬくもり。自分が自分でなくならないように、いつもと変わらぬ晩酌をしようと僕は思ってい

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【連載小説】私小説を書いてみた  1-2

【連載小説】私小説を書いてみた 1-2

前回のお話
https://note.com/sev0504t/n/na0680fb0802d?magazine_key=m8bdfdc55c4a5
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異変

 朝起きると大量の抜け毛が枕にあった。僕は現実に引き戻された。奇異な現実が今のお前のリアルなんだと人ではない何かに告げられている気がした。 

 非常勤の高校教師と、

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