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自己啓発2.0〜君たちはどう生きるか〜

人々はなぜ、自己啓発を読むのだろうか。
人生を少しでも良い方向に進めるため。理想の自分になるため。
このように自分の人生の向上を目的として自己啓発書を読むことが多いと思う。
自分の人生の向上。まさにこれは自己啓発の定義と言えるだろう。
コトバンクでも自己啓発の定義は自分の能力を自主的に向上していくこと。と定義している
しかし、ここで疑問に思うことがある。
それは何をすれば人生が向上したと言って良いのか。ということである。
今日の自己啓発では美容や健康だけではなく、精神や魂のアップグレードが期待されている。ということは自己啓発書でもそういった精神や魂のアップグレードを促すような内容が書かれていることが多いだろう。
そのような自己啓発が広まっているが、その結果どうなっているか。
自分の幸福を増やし満足を達成するために、努力していない人、もしくは調子が悪くて上手く立ち回れていない人は責められて大変な重圧を感じ、時には心身を壊してしまっているだろう。

しかし、ここから脱出することは簡単ではない。自己啓発を続けなければ怠け者として見られる。もはや自己啓発は義務になっているのだ。学習を続け、改善を続けるのを止めることは不可能だ。人々はギブアップするまで自己啓発を続ける。その結果、燃え尽きてしまうわけだ。
自分の人生を向上させるために自己啓発を続けた結果、最終的には燃え尽きて抜け殻のようになってしまうのは、なんだかバカらしくなってくる。

では、自己啓発を続ける人が評価される世界に、疲れを感じている人はどう生きればよいのだろうか。

そもそも自己啓発を続ける理由としては幸せになるためだ。なので、自分が幸せになるように行動すれば自己啓発していると言える。しかし、自己啓発すること自体に疲れを感じている人もいる。そんな人は、自分が幸せになるために、あたかも前に進んでいるかのように見せかけよう。

問題は何をすれば幸せになっていると言えるのか。である。

橘玲氏の「シンプルで合理的な人生設計」では、「金融資本」「人的資本」「社会資本」を幸福の土台として、この条件がある程度、揃った状態を幸福だと定義している。つまり、「お金」「仕事・能力」「人間関係」がどれだけ充実しているかで幸福が決まるのだ。なので、自分が自己啓発しているように見せかける場合、いかに3つの土台を充実させているかがカギになる。

まずはお金。
お金を充実させているように見せかけるのはなかなか難しい問題だ。偽札を作ってお金を持ってますよ感を出すわけにもいかない。自分が思いつく方法としては…

正直ない…
だれか良い解決策があるなら、ぜひ教えてほしい。

次に仕事・能力。
これはいかに自分がすごいやつか、見せかけることが重要だ。
なんかすごい実績を持っている。と思わせる方法としては肩書きを作るという方法がある。例えば普通の大学生の場合、「高等教育の中核をなす教育機関に在籍している大学活動家」みたいな肩書きを作ることで、「あっ、なんかこの人すごそう」と思わせることが出来る。
他にも運転免許を持っている場合、「公安委員会より自動車や原動機付自転車の運転が特別に許可される第一種運転免許を交付された有資格者」と名乗ろう。

最後は人間関係。
人脈を作る場合、見せかける必要はない。人脈を広げる方法は簡単だ。
何をすれば良いか。それは…

サッカーだ。

イナズマイレブンGOの主人公。松風天馬はこんなセリフを言っている。

サッカーは俺たちの言葉。ボールを蹴れば、誰だって友達だ!

イナズマイレブンGO クロノストーン  第51話

ボールをお互い蹴りあえば、もうそこで友達になれるらしい。
なので、とりあえず色んな人とサッカーをして、友達を増やしていこう。


これまでの方法は自己啓発を続ける人が評価される世界に、疲れを感じている人がどうやって生きていくか。という話だった。だが結局、自己啓発するという根本的なところは変わっていないと思う。

マーク・クーケルバーク著「自己啓発の罠」では以下のようなことが、述べられている。

私は、真の自己啓発は、社会経済の搾取関係を終わらせて初めて可能になる、と考える。自己啓発は自分一人の責任、という考えを終わらせる必要がある。

自己啓発の罠/マーク・クーケルバーク/p117

現代の社会では実績を追い求めていると、競争心が過剰に強くなり、他者のことを次の大きな成功を妨げる障害物として認識する。そして、いくら勝利を連ねても、次々と新しいチャンスを求めて走り続けなければならない。そして、走り続けた結果、燃え尽きてしまう。それが現代の自己啓発の問題である。

真の自己啓発は社会経済の搾取関係を終わらせて初めて可能になる。
しかし、はたしてそんなことが可能なのだろうか。

そこで、どうすれば搾取関係を終わらせられるか。について語っている本を取り上げよう。

この本は働くことに嫌悪感を抱いている14歳の少年と謎の哲学者が労働の必要性について語り合う物語である。
謎の哲学者によると、現代は穴を掘って埋める意味のない作業のような労働がある。と言っている。それにも関わらず、そのような労働には高い給料が支払われることが多い。だから、意味のない労働で高い給料を貰うために、偏差値の高い大学に行ったり、面接で評価される活動をしたりする。
このような虚しいことが起こるのは、現代の資本主義社会のせいだろう。
資本主義社会は意味のない労働に魅力を持たせ、搾取関係を作り、加速文化を発展させた。
そういった問題をどうすれば解決できるかを書いているのが本書だ。
本書では今の社会システムよりも良い社会システムを作ることが出来るんじゃない?。と提案している。
はたして、本書で描かれている理想の世界が出来上がった時、どんな真の自己啓発が生まれるのだろうか。
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しかし、本書で描かれている世界は提案というだけで、まだ空想の世界。そんな世界を頭で思い描いたところで、結局、現状は何も変わらない。もしかしたら、このまま加速文化は続いていくのかもしれない…
だったら、もうここで終わったほうが良いのだろうか。現代の資本主義社会の手にかかるより、最後は潔く自らこの世を去る方が良いのかもしれない。
そう思った時、ある漫画のセリフを思い出した。

銀魂 1巻

「美しく生きる」。自分はどうすれば美しく生きれるのかは分からない。だが、自分は文章を書く。この行為に少し美しさを感じる。文章を書いた結果、書いたものを誰かが読み、その誰かと繋がる可能性がある。自分もnoteを通じて色んな人と出会い繋がることが出来た。
確かに、書くことは孤独だ。書いてる間は誰とも会わないし、書いてもプロ野球選手にも、企業の経営者になれるわけでもない。だが、自分の書いたものが、誰かの目に触れて、その人と繋がる。自分はここに美しさを感じる。孤独な人生の中で誰かとめぐりあうことは奇跡だ。
どうせ今、この世を去らなくても、いつかは去る運命なのだ。その時に潔く去れば良い。だが、美しく生きることは生の時間内でしか実現できない。だから、自分は書くことで美しく生きれるように今を生きていこうと思う。


参考書籍

シンプルで合理的な人生設計

色んな自己啓発書・ビジネス書の幸福論の良い部分をかき集めて出来上がった本だと言えるだろう。
現代の社会で幸福になりたい人はとりあえずこれを読んだら良いのかもしれない。

自己啓発の罠

自己啓発がなぜ有害なものになったのかを語り、その解決策を提案している本。
自己啓発の進化の過程を歴史の流れから見ていく所はなかなか面白い。

14歳からのアンチワーク哲学 なぜ僕らは働きたくないのか

「労働なんか撲滅した方がいい」「80億人総ニート」というように主張が強い本である。しかし、なぜかすっと納得させられる構造になっている。
なぜ労働に嫌悪感を抱くのか。知りたい人はぜひ一度、読んでみてほしい。

読みたいことを、書けばいい

この記事のオチをどうしようかと考えていたが、この本を少し参考にした。最後の孤独の話はまさにこの本から来ている。
ブログなど文章を書きたい人、書いている人にはおすすめしたい本である。

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