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歴史を知りたいなら、やはり本は欠かせない

 ネットのない時代を生きてきて現代に至った中の人にとって、やはりものを知るには本が不可欠でした。もちろん、ネット上で見事にまとめられた成果物を披露されている方もおられるが、自腹を切って買った本をしっかり読むことは、やはり大事だと思います。

 しかし、何を読んだらいいか分からん、というのは正直なところでしょう。特に戦争モノは、まがい物をつかむとホント、ゆがんでいってしまうから。そこで、中の人が参考にしている割合近年の本をお伝えします。

河出書房新社「図説 満州帝国」

 「図説 満州帝国」は、中国での日本の戦争を知りたいと購入した本で、手元にあるのは1999年発行の8刷。うーん、もう25年も前の本だね。それでもこの本の良い所は、明治政府ができて以来の大陸への進出を日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、シベリア出兵、張作霖爆殺事件、満州事変、満州国建国と崩壊ーという形で通史として学べるのが利点。通史を知らず、いきなり南京だ731だ韓国併合だってやっても、足元がぐらつく。手ごろで通史を学ぶにはオススメできる本です。

高文研「日中戦争全史」上、下

 こちらは2017年発行。第一次世界大戦中の対華21か条要求(1915年)から南京占領(1937年)までの「上」と、その後の日中全面戦争から太平洋戦争敗戦までの「下」の2冊で、「上」を読むだけでも、日本がいかに中国を我が物にしようとしていたか、がよく理解できます。特に海軍が「予算獲得のため」日中戦争を拡大させた謀略など、新研究の成果が興味深いものでした。

岩波書店「中国戦線従軍記ー歴史家の体験した戦場」

 「中国戦線従軍記ー歴史家の体験した戦場」は、一兵士の見た中国戦線の記録です。太平洋戦争と違う、華々しさのない、どこまでも先が見えない戦争の様子が伝わります。通史を読んだ後でも良いですが、戦争の姿を知るには良本と思います。強行軍で立ったまま兵士が凍死するような厳しい現実を
背負わされた戦場の描写は圧巻です。2019年1刷。

高文研「東学農民戦争と日本」

 「東学党の乱」とも言われる朝鮮での農民蜂起を取り上げています。2024年の新版です。日本が朝鮮にどのように侵略したか、そして日清戦争時の朝鮮人の抵抗運動の圧殺が紐解かれています。これも、通史を読んだうえで理解を深めるには役立つと思います。

学習研究社「決定版太平洋戦争」1-10

 2008年初版です。中古では、手ごろな価格で全巻購入も可能です。1では太平洋戦争開戦の半世紀前からの日米両国の動きを解説しているので、帝国主義戦争の時代を知りつつ、その衝突がなぜ発生したか、までが分かります。以下、占領時代まで含めて経過や戦術、政治など、多角的に太平洋戦争、近代の日本軍というものを学べます。

講談社「昭和二万日の全記録」1-19

 初版は1989年発行。ブックオフや通販、オークションなどでも手軽に安価で入手できます。しかし、一日ごとにできごとを追っていくスタイル、要所の解説は、昭和の通史を学ぶにはもってこいです。太平洋戦争敗戦までなら7巻まででも済みます。調べものにも手ごろで、日本国内を軸に近代の周辺諸国との争いを学べます。

現代書館「軍が警察に勝った日 昭和八年ゴ―・ストップ事件」

 「軍が警察に勝った日 昭和八年ゴ―・ストップ事件」は、大阪の交差点で警察官が赤信号を注意したのにそのまま渡っていった兵士を派出所に引っ張っていったことが発端。これが軍と警察の衝突に発展するも、最終的に警察が詫びを入れ軍が受け入れるという形で決着します。その背景を示すことで、軍が国を引きずり回すようになっていく転機となったことを明らかにしています。
 この年は、長野県の信濃毎日新聞主筆、桐生悠々が関東防空演習を批判して退社に追い込まれるなど、まさに転機といって良い年になっています。

青弓社「『日本スゴイ』のディストピア」

 日本は世界で唯一の神の国といった暗示にかかり、日本は偉い、という空気が醸されていった時代を表します。自画自賛は、同時に他国の蔑視につながっていきます。戦争は軍隊だけが起こすものでないことが、楽しみながら理解できる内容です。当時の人々の感覚、教育の成果、同調圧力などなどから、現代と照らし合わせ、危険な兆候も読み取れることでしょう。

合同出版「『逃げるな、火を消せ!』戦時下トンデモ『防空法』」

 2016年初版。戦時下、国防のため、空襲に備えて民間人の消火活動を義務付けたのが「防空法」。政府が決めた法律を守ったがため、ことに東京大空襲では10万という焼死者を出しています。それなのに、裁判所は「国民として甘受する限度」は越えないとして、空襲被害者への補償をしない国の肩を持っています。そんな理不尽を丁寧に解説した本であり、国家が戦争を行うということの身勝手さが分かります。
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 もっといっぱい紹介したい本はありますが、またの機会に。できれば、通史をさらっと眺めて、個別の事象について書いた本を読むことをお勧めします。
 そして、郷土で戦争のことを調べている人はたくさんいます。身近な記録をこつこつ集めることも、意外に発見があります。こちら、長野県関係の200冊余りの戦争関連の本や冊子です。松代大本営関係だけでも20冊近いほか、終戦まで活躍したゼロ戦の隠れたエース、駆逐艦乗り、特攻隊員、南方に送られたもののたちまち病に侵され、ひたすら患者として生活した兵士の手記など、戦場に出た人たちのほか、防空監視哨の記録、今に残る県内の戦跡、満蒙開拓関連など、幅広い記録があります。こうした足元の自費出版のようなものは、意外と戦争の学びにつながるのではないかと思っています。

長野県の戦争関連本で埋まった本棚(まだある)

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信州戦争資料センター(まだ施設は無い…)
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