見出し画像

休職をして、やっと人生のスタートラインに立てた話。

ある日、パタリと職場に行けなくなった。

その日のことはよく覚えている。
職場が恐ろしい場所に思え、家から一歩も出れなくなり、玄関の前で子どものように泣きじゃくった。

特別その職場がブラックだとかパワハラを受けていたとかって事ではない。
ただ、相性の悪い人がそばに居ること、8時間拘束されていること、ほんの少しだけ空気がピリピリしていること…それらが私には耐えられなかった。

こんな状態で働くことなんて到底無理で、休職せざるを得ない状況に。

そこからは、毎日をただぼーっと過ごすことしかできなくなった。好きなアニメを見ても内容など入ってこない。逆に同じアニメを見まくって、どうやって一日を乗り越えればいいのか分からなくなり、泣くこともあったか。

とにかくどう過ごせばいいか分からなかった。

当時、私はよく『申し訳ない』と言っていた気がする。なぜこんなことを言ってるのかその時はわからず。でも、ただひたすらに生きていることに申し訳なかった。

今思うと、それは社会のはみだしものであることへの謝罪だったのだろう。

私の周りは正社員として就職するのが当たり前だった。だからこそ、そのルートから脱線した時。ひたすらに社会から追い出されたような気がしていた。

お願いだから、仲間はずれにしないでくれ。でも、仲間に入れてもらう術がない。だから、謝るしかなかった。

でも、実際はどうなのだろうか。
正社員でいないといけないのだろうか。手取り15万は安月給なのだろうか。結婚はしないといけないのだろうか。
それは個人が決めることではないのだろうか。

頭の中でわかっても、いい子ちゃんの私は普通の呪縛から解き放たれることなど容易ではない。

正社員になりたいよ。手取り15万は安いよ。結婚したいよ。みんなそうしてるから。そんな心の声が鳴り響く。


ただ、休職期間が半年を過ぎた頃。人に会わず、家族だけが私の社会になった頃。
正社員として働く姿が全く想像できなくなっていた。そして、普通というものに縛られることに疑問を持った。

というか、自分の人生なのに何で他人の目を気にしているのだ?って心の底から思えるようになったのだ。

そんなことを思うようになってから、何だかバカバカしくなってきて。私は正社員でいたいと思わなくなった。自分が生活できる給料を稼げれば十分になった。結婚はただの過程になった。

自分の人生は自分で決めていいのだとやっと分かった。

さあ、私よ。やっと人生のスタートラインに立てたぞ。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?