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"歴史" 系 note まとめ

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#世界史がすき

教科書から消えた語句――「ミッレト」

世界史講師の伊藤敏です。 (以下、冒頭はほぼテンプレ) さて、2022年に高校社会科は大きな転換点を迎えました。 この年から、2018年に改訂された高等学校指導要領にもとづき、社会科の科目に大きな変更が生じたのです。 世界史における主な変更点は、 ⑴ 世界史A・世界史Bの廃止 ⑵ 世界史Aと日本史Aに代わる「歴史総合」、世界史Bに代わる「世界史探究」の設置 です。 この措置にともない、当然ながら教科書も大幅な変更がなされます。 実際に手に取ってみると数々の変化に驚か

【2024年版】世界史教科書 消えた用語、増えた用語:山川出版社・実教出版の比較編

今回比較するのは、山川出版社『詳説世界史:世界史探究』と、実教出版『世界史探究』の索引です。 実教出版の用語の選び方をみるため、山川にはないが実教の索引にはある用語のうち、気になるものをピックアップしていきます。 実教出版の特徴はウェブサイトによると以下の通り。 あ 愛国啓蒙運動 愛国派  アメリカ独立戦争における愛国派(パトリオット)  アウグスライヒアウスグライヒ(訂正:2024/03/19) アタワルパ  ローラン・ビネ『HHhH』に出てきますね。  実

【世界史教科書比較】山川詳説vs新世界史

ながらく"定番"と目されていた山川出版社の詳説世界史と、のびのびとした ”攻める” 記述で知られる新世界史(採択数は少ない)の記述を、今回は索引の異同に注目して比較します。 参考にしたのは新世界史は見本(2022年検定済)と詳説世界史は2023年刊(2022年検定済)の索引。 「王の道」のように、索引にはないが本文には掲載されているものもあるが、すべてに目を通しているわけではないので、おおよその傾向として参考にしてください。 新世界史の特徴 初めに特徴を箇条書きにしておく

【2024年版】世界史教科書 消えた用語、増えた用語:山川出版社・帝国書院の比較編

この記事の要約この記事は長い(約40000字)のではじめに要約を書いておきます。 以前、山川出版社の新しい世界史教科書の用語がどのように変化したのか記事を書いたことがあった。しかし、必ずしも単純に「増えた」「減った」と言えないのではないかという事実がみえてきた。 そこで今回は帝国書院の世界史探究教科書の収録語と、山川の収録語を比較することで、山川が収録しなかった用語とは何かをあぶり出してみることとした。 これによって、世界史の教科書にも多様な編集方針があり、その背後には

【ニッポンの世界史】#26 テクノロジーと精神文化:マクニールの世界史は、何が新しかったのか?

世界は3つの文化圏でできている?  さて、ここで視点をいったん”公式”世界史の動向に戻しましょう。  1970年度の学習指導要領改訂では、前近代には三大文化圏(ヨーロッパ、イスラム、中国)に分けて学習していく文化圏学習が導入されたのでしたね。  しかしこの分け方に対しては当時から批判もありました。 ・ヨーロッパは多数派を占めた宗教の名前から「キリスト教文化圏」といわないのに、なぜイスラム文化圏と呼ぶのか? ・「イスラム文化圏」はアフリカ、中東だけでなく中央アジアやイン

【ニッポンの世界史】#25 越境する中国史:陳舜臣のユーラシア的想像力

 この評伝で紹介されているのは、1970年代の大衆歴史ブームを土壌として、日本を超える視点から、イスラムと中国を繋ぐ立場を果たした作家、陳舜臣(1924〜2008)です。  この陳舜臣という人が、「ニッポンの世界史」の再定義に、どのようなかかわりをもったか、今回はこれをみていくことにしましょう。 中国史の案内人  陳の魅力をひとことでいえば、まるで見てきたかのように中国の歴史を解き明かし、現代世界とのつながりを意識させるところにあります。    本籍は台湾にありましたが

雑記 -世界史好きが思う世界史を学ぶ意味と勉強法-

 ただの暗記科目でつまらない、といって世界史を嫌う人や苦手意識を持つ人って多いですよね。世界史の勉強が楽しくて仕方なかった僕からすると信じられないですが。  ありがたいことにフォロワーが200人を超えましたので、100人を超えたときと同様に(フォロワーに教育関係者が多く見受けられたので)教育関連のテーマで記事を書いてみました。どうぞお付き合いください。 ■ 世界史は筋書きを作る学問 最初に前置きしておくと、研究者レベルの話ではなく学校の授業レベルで、世界史を勉強するとこん

【ニッポンの世界史】第16回:授業時間が足りない?—就職者にとっての世界史

A科目とB科目に分かれるまでの世界史の変遷  1960年度指導要領で就職者向けのA科目と進学者向けのB科目に分かれた世界史。A科目は週3時間、B科目は週4時間が標準とされました。  前回の1956年度学習指導要領では、社会科に「社会、日本史、世界史、人文地理」が設置され、このうち高等学校の社会科は日本史、世界史、人文地理から2科目は必ず履修することになっていました。  しかし1960年度指導要領では、社会科として「倫理・社会、政治・経済、日本史、世界史A、世界史B、地理

【ニッポンの世界史】第13回:現在の世界史教科書のルーツ?—上原専禄と吉田悟郎『日本国民の世界史』(2/2)

 一度は検定に合格したものの1958年の検定で不合格となった上原専禄らによる『高校世界史』。前回は、これを1960年に一般書として刊行した『日本国民の世界史』(岩波書店)の構成と特徴について紹介しました。  世界史教育の歴史において「現在の世界史教科書のルーツ」と位置付けられることの多い『日本国民の世界史』ですが、今回はさらにいくつかの視点から「ニッポンの世界史」に対して果たした役割を考えてみたいと思います。 〈にとって〉の世界史:「書かれざる主語」を書く  編者の一人、

【目次】「ニッポンの世界史」:日本人にとって世界史とはなにか

はじめに 「世界史」には決まりきった、客観的な構成があると思っていませんか?  そんなことはありません。その構成は、いわば繰り返し訂正されつづける物語のように、長い歴史の中で何度も定義されなおし、いまなお変身の途上にあります。 日本人の描く世界史には、日本人が世界や歴史を見るときに突き当たる「困難」が色濃く反映されている。 そして、日本における「世界史」は、教科書を中心とする”公式”世界史と、それに対抗する”非公式”世界史のせめぎ合いのなかで再定義されてきた。 ——この

【共通テスト2024解説】 アレクサンドロスをどう見るか?

1月13日に実施された2024年度の大学入試共通テストで、アレクサンドロス大王に関する問題が出題されました。 世界史Bの共通テストは次の追試験の問題で最後となります。 まだすべての日程が終わらず、そわそわしているところですが、次年度からはじまる世界史探究の共通テストの方針をうらなう上でも、気になる出題でしたので、そわそわの紛らわしにピックアップしてみます。 結論から言えば、おそらく、作問のベースにあるのは、森谷公俊氏の著作です。 以前からアレクサンドロス大王の扱い方はその評

英語de世界史——英語から見える用語の本質

世界史講師の伊藤敏です。 今回はとある方からのリクエストから着想を得たもので、 世界史のあの用語を英語でどう表現するの? という一風変わった視点からアプローチしていきます! それでは、はじまりはじまり~ 1.これ何でしょう?? まずはクエスチョンから さて、早速ですがクエスチョンです! 以下の世界史の用語を英語では何と言うでしょう? ⑴ アッバース朝 ⑵ デリー=スルタン朝 ⑶ イル=ハン国 ……どれも世界史では聞きなれた王朝・国名ばかりですね。 とはいえ、英語

教科書から消えつつある?語句——「海の民」

世界史講師の伊藤敏です。 (以下、冒頭はほぼテンプレ) さて、2022年に高校社会科は大きな転換点を迎えました。 この年から、2018年に改訂された高等学校指導要領にもとづき、社会科の科目に大きな変更が生じたのです。 世界史における主な変更点は、 ⑴ 世界史A・世界史Bの廃止 ⑵ 世界史Aと日本史Aに代わる「歴史総合」、世界史Bに代わる「世界史探究」の設置 です。 この措置にともない、当然ながら教科書も大幅な変更がなされます。 実際に手に取ってみると数々の変化に驚か

世界史と英語を同時に学べる問題をつくってみた

 私の専門は歴史ですが、暗記ばかりではなく柔軟に教えられたらいいな…と常々思っています。  画像資料をもとにして、科目横断型のこんな問題をつくってみました。 問題編 図は、1917年にアメリカで制作されたポスターである。あとの問いに答えなさい。 (1)「ああ! もし男だったら、海軍に入るの に!」という意味になるよう,空欄X,Yにあてはまる語の組み合わせを選べ。  ア X- I am     Y- I'll join    イ X- I am     Y- I'd joi