幸野清太郎

40代で「中年の危機」に直面し、自己否定の沼に沈むも、およそ100日で回復。「どうやって克服したんですか?」と聞かれることが多くなり、そのプロセスを書き残しておきたいと思うようになりました。願わくば、同じ苦しみを抱える人のお役に立ちますように。校正やってます。

幸野清太郎

40代で「中年の危機」に直面し、自己否定の沼に沈むも、およそ100日で回復。「どうやって克服したんですか?」と聞かれることが多くなり、そのプロセスを書き残しておきたいと思うようになりました。願わくば、同じ苦しみを抱える人のお役に立ちますように。校正やってます。

最近の記事

【中年の危機を生き延びる】(20)「一発逆転」の可能性は絶対になくならない

自分の人生に絶望したとき、誰もが一度は頭に思い浮かべるであろうスーパー・パワーワードがあります。そう、これです。 「一発逆転」 なんと魅惑的な響きでしょう。これを実現しようとして、たとえばギャンブルのような無謀な挑戦にのめり込み、「一発逆転」どころか「一発退場」になった人は数しれず。   あるいは、人生に絶望していなくても、ミュージシャンであればミリオンセラー、作家であれば芥川賞や直木賞、俳優であれば大河ドラマで主役に抜擢される、みたいな形での「一発逆転」を夢見る人も少な

    • 【中年の危機を生き延びる】(19)「忘れて、捨てて、許す」〜塩沼亮潤大阿闍梨の言葉〜

      うつ症状に苦しんでいる人の中には、何かしらの「罪悪感」を抱えている人も多いのではないでしょうか。 私もその一人で、主観的には「1秒たりとも自分を責めていない時はない」という感覚でした。 自殺予防研究の大家として知られるシュナイドマンは、自殺の本質を「存在することの苦痛」と表現しましたが、とてもよくわかる気がします。自分自身が、自分の存在を許せないのです。 そんな苦しみの中で知ったのが、慈眼寺というお寺の住職である、塩沼亮潤大阿闍梨(しおぬまりょうじゅん・だいあじゃり)の

      • 【中年の危機を生き延びる】(18)「みんな神様」だと思う

        人は、人生の中でいろんな人と出会いますが、できればいい人とだけ出会いたいし、気の合う人とだけ一緒にいたい、と思うものではないでしょうか。私自身もそうです。 けれどもそうならないのが人生の妙で、必ず「いやな人」とも出会いますし、「気の合わない人」と時間を共にすることもあります。そんな時、私は「ツイてないなあ」とか「早く離れたいなあ」などと、ネガティブな思考にとらわれてしまっていました。 しかし「中年の危機」を経験したことで、こう考えるようになったのです。 「この人たちは、

        • 【中年の危機を生き延びる】(17)心療内科でもらったアドバイス

          「できれば行きたくないなあ……」 これが、精神科や心療内科に対する私の率直な気持ちでした。 けれども追い詰められて行ってみれば、それは溺れている人に投げられた救命浮輪のように、私を危機から救ってくれたのでした。 今回のうつ症状の原因のひとつは離婚でしたが、実は結婚した直後にも、同じ心療内科に通っていたのです。 結婚してはうつになり、離婚してもうつになる……。 「何がしたいねん」と自分でもあきれてしまいますが、その経緯を書くと話がややこしくなるので、ひとまず今回はご容

          【中年の危機を生き延びる】(16)不眠のメカニズムとその対処法

          うつ状態のときに一番しんどかったのは、なんといっても「眠れないこと」でした。 一時は心療内科で処方された睡眠薬を使ったりもしましたが、結局すぐ目が覚めてしまい、そこから朝まで覚醒状態が続きます。目が覚めたまま起床時間のアラームを聞くのは、本当に辛いものです。 ちょうどその頃、派遣で校正の仕事が始まり、一睡もできないまま職場へ向かうこともありました。「これは居眠り確定やな……」という心配をよそに、なんと全く眠くなりません。あくびひとつ出ないのです。これには恐怖を感じました。

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          【中年の危機を生き延びる】(15)自分と他人を比較しない

          他人との比較。人間の苦しみの多くは、ここから生まれている気がします。 「自分は自分。他人と比較するのをやめよう」 口で言うのは簡単ですが、それができれば苦労はありません。「比較しちゃダメだと思ってるのに、どうしても比較してしまう」。そこに、社会的動物としての人間の悲しさがあるのかもしれません。 「今日は子どもと一緒に公園へピクニックに行ってきました!」 知り合いがSNSにアップする幸せそうな画像。それを見た自分の心に、暗い影が落ちる。素直に祝福したいのに、それができな

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          【中年の危機を生き延びる】(14)「とげぬき地蔵」に参拝する

          自分の人生に絶望したとしても、絶望しているのはあくまで自分自身。 だとすれば、「自分に自信がない」とか「自分はいつも間違ってしまう」と言っている人ほど、「自分の絶望なんかアテにならん」と思わなければ筋が通りません。 自分では「絶望」と思っている状況も、神とか仏から見れば「よしよし、このフリがないと人生盛り上がらんのよ。こっからおもろなるでぇ〜!」という感じかもしれません。そこでうっかり物語を終わらせてしまったら、「何やっとんねん!」とあの世で説教間違いなしです。 そう、

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          【中年の危機を生き延びる】(13)メンタル系YouTubeを見過ぎない

          「中年の危機」に陥ってから、メンタル系YouTubeにはずいぶん救われました。けれどもその一方で、「うつになった原因のひとつに、メンタル系YouTubeの影響があったのではないか」という気もしています。 矛盾するようですが、今回はそのことについて書いてみたいと思います。 私は「中年の危機」に陥る前から、メンタル系YouTubeをよく視聴していました。その理由としては、「自分が過去にうつを経験していた」ということもありますし、単純に「人間の心理に興味がある」ということもあり

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          【中年の危機を生き延びる】(12)太陽の光を浴びる

          生き延びるための超絶鉄板スキル、それが「太陽の光を浴びる」です。 ご存知のように、日光浴の効果は数え上げればきりがありません。 体内時計がリセットされることで睡眠の質が向上する、ビタミンDが生成されることによって骨が丈夫になる、免疫機能が高まる、さらには認知症の予防にもなるそうです。また、セロトニンが分泌されることで精神が安定し、うつ病の改善にも効果があると言われています。 と、わざわざそんな科学的っぽいことを言わなくても、太陽の光を浴びると単純に「気持ちいいな〜」と感

          【中年の危機を生き延びる】(12)太陽の光を浴びる

          【中年の危機を生き延びる】(11)サナギからチョウになるイメージを持つ〜「完全変態」のすすめ〜

          うつ症状がひどい時は、体が鉛のように重く感じられ、横たえた体がベッドにどんどん沈み込んでいく感覚がありました。 「このままだと、本当に動けなくなってしまうかもしれない……」 そんな苦しさの中、私の心を救ってくれたもののひとつに、「サナギからチョウになるイメージ」がありました。 ご存知のように、チョウは最初からあの姿ではなく、最初は似ても似つかぬイモムシの姿。そこからサナギを経て、生まれ変わったかのように華麗な大変身を遂げます。 このように、幼虫からサナギを経て成虫にな

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          【中年の危機を生き延びる】(10)現状を「ゲームのスタート地点」だと思い込む

          みなさん、ゲームは好きですか?私は大好きです。 「人生をゲームだと思って楽しめ」という言葉を聞いたことがありますが、確かに人生におけるさまざまな困難を、ゲーム感覚で楽しむことができれば最高です。 人生をゲーム化するために必要なのは、まず「目的」を設定することでしょう。RPG(ロールプレイングゲーム)でいう「大魔王を倒して世界に平和を取り戻す」みたいなやつです。それを自分の人生の目的に置き換えて、実現するプロセスを楽しむ、みたいな感じでしょうか。 この「目的の設定」により

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          【中年の危機を生き延びる】(9)YouTubeでお金の勉強をする

          お金を貯めていくにあたり、YouTubeがとても役立ちました。なんといっても無料というのがありがたいです。 「節約術」みたいなベタな内容のものから、お金の知識を総合的に学べるチャンネルまで、とにかく役立ちそうな番組は片っ端から見まくり、できることから実践しました。 そんな中でも、「お金について学ぼうとする人に、ひとつだけおすすめするとすれば?」と聞かれれば、「両学長 リベラルアーツ大学」(以下、「リベ大」)でしょうか。アイコンは若干怪しい雰囲気ですが、だぶん大丈夫です(笑

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          【中年の危機を生き延びる】(8)人の縁から仕事をもらう

          短期派遣(校正)の仕事を再開した私でしたが、それだけでは心もとないところがありました。 フルタイムといっても派遣ですので、ボーナスはありませんし、なんといっても借金総額は約830万円……。正社員でそれなりに稼いでいたとしても「うへぇ」となる額ではないでしょうか。ひとまずの目標は約340万円(奨学金の利子あり分)でしたが、それだけでもなかなか険しい道のりです。 「他にも稼ぎが欲しいけど、週末アルバイトとかはキツいしなあ……」 そんな状況を救ってくれたのは、やはり人のご縁で

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          【中年の危機を生き延びる】(7)失業給付期間を捨てて仕事をする

          借金返済に専念することを決めた私ですが、では具体的には何をしたのか。その内容について、ここから何回かに分けて書いていこうと思います。 ちなみに、これはあくまで「私の場合、こうしました」という話で、多くの人にとっての最適解、というわけではありません。それぞれの人ごとに、それぞれの異なる状況があって、それをふまえた上で「どうするか」ということが大事です。「そこは一緒やな」というところがもしあれば、参考にしていただければと思います。 まず最初は、「失業給付期間を捨てて短期派遣の

          【中年の危機を生き延びる】(7)失業給付期間を捨てて仕事をする

          【中年の危機を生き延びる】(6)コントロールできることだけにフォーカスする

          借金問題の解決に「ウルトラC」がないことはわかりました。となれば、まずは足元を固めて、地道に返済していくしかありません。これまでの私に一番足りなかった考え方、と言ってよいでしょう(笑)。 さしあたっての目標は、「奨学金第二種の340万円を貯めること!」 このようにして、ひとまず「お金の問題だけに集中する」ことには、次のような効用がありました。 それは、「無力感の緩和」です。 私はお金の問題のほかに、離婚の問題(ここには「元妻に申し訳ないことをしてしまった」という罪悪感

          【中年の危機を生き延びる】(6)コントロールできることだけにフォーカスする

          【中年の危機を生き延びる】(5)「ウルトラCはない」と知る

          さて今回は、借金問題の解決までのプロセスです。 まずは当時の状況を整理しておきましょう。 ちなみに利子付きの借金は、奨学金第二種の約340万円(固定金利1.4%)だけで、あとは無利子。なので優先順位としては、まずはこの340万円をやっつけなければなりません。こいつさえ先にやっつければ、余計な利子を払わずに、あとは時間をかけてゆっくり返していけます。 「さて、どうしたもんか……」と、たまたま郵便ポストに入っていた区の広報誌を眺めていると、「多重債務110番」という見出しが

          【中年の危機を生き延びる】(5)「ウルトラCはない」と知る