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【中年の危機を生き延びる】(12)太陽の光を浴びる

生き延びるための超絶鉄板スキル、それが「太陽の光を浴びる」です。

ご存知のように、日光浴の効果は数え上げればきりがありません。

体内時計がリセットされることで睡眠の質が向上する、ビタミンDが生成されることによって骨が丈夫になる、免疫機能が高まる、さらには認知症の予防にもなるそうです。また、セロトニンが分泌されることで精神が安定し、うつ病の改善にも効果があると言われています。

と、わざわざそんな科学的っぽいことを言わなくても、太陽の光を浴びると単純に「気持ちいいな〜」と感じる。もうそれだけで「体にいい」に決まっています。もちろん、皮膚がんのリスクが高まったり、シミ・そばかすの原因になったり、熱中症の危険性もあったりするので、浴びすぎるのはよくありませんが。

そして同じ太陽の光でも、朝日には特別な効果があるようです。確かに、朝日は眺めているだけで不思議と活力が湧いてきます。江戸時代の観相家・水野南北は、朝日の力について次のように言います。

朝日は小陽発達の気を発する。人がこの気を受けて起きる時は、心気もおのずから健やかとなる。心気が健やかならば、運命もおのずから健やかである。

(若井朝彦『江戸時代の小食主義 水野南北『修身録』を読み解く』花伝社)

人間の運命をも左右する朝日の力。多くの成功者が早起きを勧めるのも、このあたりに秘密がありそうです。

水野南北は江戸時代の人ですが、現代においてもその主張は重要性を失いません。サイエンスライターの長沼敬憲さんは、次のような提案しています。

最近体調が崩れがちだと思ったら、いろいろなことを試す前に、まずは早起きできるように生活リズムを整え、毎日朝日を浴びるようにしてみましょう。たったこれだけで、体調改善へと向かうかもしれません。

(長沼敬憲『最新の科学でわかった!最強の24時間』ダイヤモンド社)

最近だと、精神科医の樺沢紫苑さんも、自身のYouTubeチャンネル(精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル)の中で、毎朝15〜30分の散歩を推奨しています。しかも「ほとんどの悩みは朝散歩で解決する!」くらいの勢いです(笑)。それができない人は、「日向ぼっこから始めよう」。これも、朝日が心身に及ぼす影響をよく知るからこそでしょう。

私もうつ状態になったとき、ここぞとばかりに朝散歩にトライしました。春の陽気にやさしい風が吹く朝の公園。うつの苦しみも一時的に緩和される……かと思いきや、なんと、そうなりませんでした(笑)。みぞおちに鉛が埋まったようなしんどさに、足取りも重いまま。

もちろん、朝散歩をしたこと自体が悪かったわけではないと思います。それ以上にうつの症状がひどかっただけで、朝日を浴びることはむしろ必要な状態だった気がします。ただ、こんなに清々しいはずのシチュエーションで「気持ちいい」と感じられなかったのは、正直ショックでした。

もっと調子が悪い時には、朝目覚めてもベッドから出られなかったりします。ウチは遮光カーテンを使っていますので、朝になっても、カーテンを開けないとほぼ真っ暗です。最初は、昼までずっと暗い部屋で横になっていたのですが、それだとますます気分が沈んでいきます。

「このままじゃマズいな……」。そう思った私は、調子が悪い朝もエイヤッと身を起こし、さっとカーテンを開けてから、再びベッドに潜り込むようにしました。

ベッドの上で横になっているだけなのは同じですが、日の光が部屋に入るだけでも、気持ちが少し明るくなります。ちょっとだけ太陽の光を浴びたおかげで、ちょっとだけセロトニンが出たのかもしれません(笑)。

この対処法が科学的にいいのか悪いのかはわかりませんが、たぶんいいのではないでしょうか(適当)。うつの症状や原因は人それぞれだと思いますので、その対応にも合う、合わないがあると思います。でも私の場合、基本的には朝日の力、太陽の力を信頼していますので、雨の日でも一度は外に出るようにしていました。もちろん、無理のない範囲で。

こうやって書いていると、改めて「太陽すげーな」という気持ちになってきます。太陽なくして生命なし。まさに人生の万能薬。神話の世界でも「けっこう最高神になりがち」なのも納得です。

社会が自分を見放そうが、自分が自分を見放そうが、太陽は「生きろ」と言っている……気がする(笑)。無宗教を自認している私ですが、どうやらお天道様だけは、無条件に崇拝しているようです。

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