犬の人生
なかなか衝撃的な短編集だった。短いお話ばかりだったけど読む価値ありです。
特に僕が好きだった短編は…大統領の辞任、犬の人生(和訳版の表題作)、将軍、ベイビー夫妻(原版の表題作)、ウーリー、の5つ。
ちょっとこれは説明するより読んでいただいた方がいいかもしれない。あぁ、こんなのもあるんだな、と。あなたのクリエイティヴィティがきっと喚起されます。
すごく地味でほとんど人が気づかないかもしれないけれど、「将軍」という話の中で、その前に収められた短編のテーマである「大統領」や「犬」がちらっと出てくる。そういうディテールにいちいち感動さえ覚える人ほどこういうのは好きかもしれない。もっといえば最後の「殺人詩人」の中にも犬は出てくるわん。
あと、こののりでいくと、「小さな赤ん坊」って話のいくつか後に「ベイビー夫妻」が出てくる。ベイビー夫妻ってなんやねん、と思いつつこの夫妻は「ボブ・ベイビー」と「ベイブ・ベイビー」である。
ベイブ・ベイビー。
では最後に、世の中の大統領はみんなあんなのじゃないぜ、というメッセージも込めて、以下を紹介する。このあとに実際の大統領の演説が掲載されるわけだが願わくはそれも読んでほしい。
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なお、あまり説明しないほうがいいかもしれないが、訳者によるあとがきの一部も引用してみる。もちろんこういうひとつの見解についても触れることで、味わいがより深まってくれれば読書はさらにおもしろい。
なお、原題「Dog Life」が「犬の人生」と訳されていることも、そもそもおもしろい。
(書影は http://www.chuko.co.jp より拝借いたしました)