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「不思議な勝利」が巨人をよみがえらせる。CS最終ステージ。後がない土壇場で巨人がタイムリーヒットなしの4得点。ベテラン坂本選手の激走がチームに活気をもたらした

「不思議な勝利」だった。巨人の4得点はいずれもタイムリーヒットなしのもの。クライマックスシリーズ(CS)最終ステージ第4戦。巨人は負ければ敗退という土壇場。この状況で4点を奪って競り勝った。タイムリーヒットはなくても、ベテランの坂本勇人選手の激走がチームを活気づけた。セリーグ王者の意地がある。巨人が調子を取り戻しつつある。

19日にホームの東京ドームで行われた最終ステージ第4戦。巨人はDeNAに3連敗を喫して土壇場に追い込まれていた。この試合で敗れればCS敗退が決まる。

巨人は最終ステージで打線が不調だ。第1戦は無得点。2、3戦は1点ずつしか奪えなかった。今季DeNAとの直接対決で16勝8敗1引き分けと圧倒していても、これだけ打線が低迷していては勝つのは難しい。

土壇場の第4戦。巨人は4点を挙げて、DeNAを4-1で下した。「不思議な勝利」だった。巨人はタイムリーヒットが1本も出ずに、4点を挙げたのだから。

ヤクルトを3度日本一に導いた名将の誉れ高い野村克也さん(故人)。かつて「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」と語っている。この日の巨人の勝利は「不思議の勝ち」というべきものだったろう。

巨人は四回に先制の1点を挙げる。四球とヒットで無死一、三塁とすると、4番岡本和真選手のセカンドゴロ併殺の間に1点を奪った。

同点の七回には1死から連続ヒットで一、三塁のチャンス。ここで8番岸田行倫選手がセーフティースクイズ。1点を勝ち越した。相手投手のフィルダースチョイス(野選)で岸田選手は一塁に出塁。その後、2人の走者が重盗を決めて、二、三塁に進んだ。

続く代打長野久義選手の当たりはファースト正面。一塁手がホームへ悪送球したため、走者2人が生還して、2点を追加した。

巨人が挙げた4点はタイムリーヒットなし。「不思議な勝利」といえる。ただ、得点に至るまでの過程に、巨人の執念が見えた。

七回にレフトへヒットを放った坂本選手。次打者の中山礼都選手の一、二塁間を破るヒットの間に、坂本選手は三塁を狙いヘッドスライディングで進塁した。さらに岸田選手のスクイズでもヘッドスライディングでホームへ生還。2度の激走が勝ち越し点につながった。

打撃には波がある。しかし走塁と守備には波がない。35歳のベテラン坂本選手の執念の走りが巨人の勝利へと導いた。

巨人はこの日の勝利と、セリーグ優勝によるアドバンテージの1勝を加えて最終ステージ2勝目。3勝を挙げているDeNAの優位は変わらない。

しかし「不思議な勝利」が巨人をよみがえらせたように思える。神がかり的な勢いには「不思議」がつきものだからだ。

坂本選手の激走。巨人にファイティングスピリッツが再び宿った。最終ステージ第5戦は、さらに熱を帯びそうな予感がする。

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