意地があるから底力が生まれる。昨季日本一の自負。ホーム甲子園での「伝統の一戦」。阪神がライバル巨人に2勝1分けと勝ち越し。接戦の強さが際立つ
意地があるから底力が生まれる。今季の阪神に力強さが戻ってきた。そこには昨季日本一に輝いたプライドがある。ホーム甲子園での「伝統の一戦」。永遠のライバル巨人相手に3連戦を2勝1分けと勝ち越した。何よりも接戦の強さが際立つ。「地位が人を作る」というならば、やはりチャンピオンチームとしての自負が好結果となったように思われた。
昨季、38年ぶりの日本一に輝いた阪神。今年は球団初となるV2が目標だ。ただオープン戦では散々な成績だった。18試合を行い3勝14敗1分け。12球団で最下位の勝率だった。
調子をつかめぬまま臨んだ今季の開幕カード。相手は巨人だ。球団90年目を迎えるライバルは、輝かしい結果を残そうと立ち向かってきた。敵地東京ドームでの3連戦。阪神は相手の気合に押されるように1勝2敗と負け越してしまった。
そして4月に入り、阪神はホーム甲子園で巨人との再戦となった。開幕カードで宿敵に負け越した悔しさがある。そして自分たちは日本一のチームという自負がある。負けられない戦い。この意地が底力となって結果に表れた。
16日の1戦目。阪神は1点リードされて迎えた七回に同点に追いついた。1死二、三塁の好機で糸原健斗選手がライトへ犠牲フライを放って、1点をもぎとった。試合は延長に突入したが、降雨コールドで引き分けとなった。
第2戦は阪神が「効率良い」勝利を手にした。三回2死走者なしから、近本光司選手、中野拓夢選手が連打でチャンスを作ると、森下翔太選手がセンターオーバーの2点タイムリー二塁打。3連打でつかんだ2点を守り切った。
この試合、阪神のヒットはこの3連打のみ。巨人の8本の安打よりも下回ったが、ワンチャンスの集中打で勝利をつかんだ。
そして3戦目。1点を追う阪神は八回1死二塁から森下選手がレフトへタイムリーを放って同点に追いつく。延長に入ってからは、十回無死満塁の好機を作り、最後は佐藤輝明選手がライトへサヨナラ安打を放って決着をつけた。
巨人は6連勝をマークして、甲子園に乗り込んできた。勢いは巨人の方が上だったかもしれない。それでも阪神が2勝1分けと負けなしで勝ち越した。
敵将の阿部慎之助監督のコメントが今回の3連戦の結果を如実に表している。「この甲子園、負けた気がしないんだけどね。けど結果的に去年のチャンピオンチームだなって、終盤の粘りはすごいなって思いながら見ていた」
阪神は日本一のチームとして、しかもホームの甲子園で負けられない思いが強かった。開幕カードでライバルに負け越した悔しさもあった。
意地があるから底力を発揮した。日本一としての意地。ホームで戦う意地。紙一重の戦いが続いた3連戦。両チームの明暗を分けたのは、どれだけの意地があったかなのだろう。
阪神が今季8勝8敗2分けと、勝率を5割にした。意地があれば、ここからさらなる力を生み出せる。チャンピオンの意地を、これからも見届けたい。
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