「日曜パリーグ劇場」は「サヨナラ!サヨナラ!サヨナラ!」。3試合すべてがサヨナラ決着の珍事。「サヨナラだけがパリーグさ」
かつてテレビ朝日系列で放送されていた「日曜洋画劇場」。映画評論家の故淀川長治さんが番組の終わりに「サヨナラ!サヨナラ!サヨナラ!」と語りかけるフレーズが有名だった。19日に行われたパリーグの3試合はいずれもサヨナラ決着という珍事が起きた。まさに「サヨナラ!サヨナラ!サヨナラ!」と呼ぶにふさわしい「日曜パリーグ劇場」だった。
19日のパリーグ3試合には計9万8842人の観客がスタジアムに詰めかけた。その多くの人たちが、観戦した試合の決着に喜びをあらわにしただろう。
プロ野球ではホームチームが後攻。全3試合がサヨナラ決着ということは、いずれもホーム側が勝ったからだ。
いずれもサヨナラ劇だったが、そこに至る道筋は三者三様だった。
福岡で行われた「ソフトバンクー西武」。1点を追うホークスが九回裏に同点に追いつき、なお1死一、二塁のチャンスで、近藤健介選手がライトオーバーの適時二塁打を放って、逆転サヨナラ勝ちを収めた。
西武はドラフト1位ルーキーの武内夏暉投手が八回を終えて無失点と完封ペースだったが、九回の途中にアクシデントが発生したのか緊急降板となったのが痛かった。
大阪で行われた「オリックスー楽天」。九回までに決着がつかず、延長戦へ。十回裏にオリックスが2死一、三塁の場面で、宗佑磨選手がセンターを抜くサヨナラタイムリーを放って勝負を決めた。
楽天は2点を追う土壇場の九回表に2点を挙げ一度は同点に追いついた。このまま波に乗るかと思われたが、延長で力尽きた。
千葉で行われた「ロッテー日本ハム」。八回を終えて3-3とタイスコア。ロッテが九回裏1死走者なしから、岡大海選手が「一発回答」のサヨナラ本塁打を放った。初球のストレートをレフトスタンドへ運んだ。
日本ハムは開幕から15試合連続無失点中の河野竜生投手が2番手で登板したものの、最後は手痛い一発を浴びた。
唐時代の詩「勧酒」に「人生足別離」というフレーズがある。これを作家井伏鱒二は「さよならだけが人生だ」と訳した。この訳を援用するならば「サヨナラだけがパリーグさ」となるだろうか。
パリーグで3試合ともにすべてサヨナラ劇となったのは、ダブルヘッダーや交流戦を除けば、3度目。1993年5月6日、2014年9月20日に次ぐ劇的なクライマックスとなった。
この珍事は10年に一度のペースで起きているようだ。次回は2030年代となるのだろうか。
淀川さんのあいさつをまねるならば、それまで「サヨナラ!サヨナラ!サヨナラ!」
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