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去り行く人のために泣きじゃくったことはありますか?ヤクルト・青木選手が引退表明。後輩の村上選手が会見の場で号泣。お世話になった先輩に捧げた勝利の一発。最高の恩返しに

去り行く人のために泣きじゃくったことはありますか?ヤクルトの青木宣親選手(42)が21年にわたるプロ生活に別れを告げることを表明した。引退会見の場で、後輩の村上宗隆選手(24)は人目をはばからずに泣きじゃくった。お世話になった先輩のために、その後の試合で勝利につながる一発を放った。最高の恩返しをしてみせた。

13日に東京都内で行われた青木選手の引退会見。終盤に村上選手らが花束を渡す時だった。公私でお世話になった村上選手は泣きじゃくりながら、なかなか言葉が出てこない。

終始、笑顔で受け答えしていた青木選手も、村上選手の姿にもらい泣き。「俺も涙が出てくるよ、やめてくれよ~」と照れ隠しをしながら、後輩の思いを受け止めた。

青木選手は早稲田大学からヤクルトに入団。プロ2年目にはシーズン200安打をマーク。2010年にも達成して、プロ選手で唯一の2度の達成者となった。メジャーに移籍して、2014年のロイヤルズ時代には世界一を決める頂上決戦のワールドシリーズに出場した。

プロ21年で日米2723本の安打を放った青木選手。歴代5位のヒットメーカー。そして大卒選手としては最多だ。

ヤクルト愛の強い青木選手は2018年に古巣に復帰した。同年にプロ1年目だったのが村上選手だった。その年のオフから合同自主トレでともに鍛えていった。

ただの練習仲間ではない。青木選手が村上選手を𠮟りつけることもたびたび。村上選手は「いろいろミスだったりとか、人間的にもダメなことをしてしまったときに、愛を持って接してくれた」と感謝している。

この日、ヤクルトは巨人との「東京ダービー」だった。セリーグ首位を走る巨人。一方のヤクルトは最下位。チームの立ち位置がどうであれ、先輩の青木選手の引退表明の日は勝たねばならない。その思いが村上選手のバットに宿った。

初回1死一、二塁で村上選手に打席が回ってきた。絶好のチャンス。カウント1-1からの3球目。148キロのストレートに、村上選手のバットが火を噴いた。打球はバックスクリーンへ。先制となる3ラン。青木先輩への恩返しの一発となった。

この一発で波に乗ったヤクルトは7-2で巨人に快勝した。村上選手は「きょうは特別の日で勝ちたかった。久々に完璧にとらえることができました」。去り行く先輩に捧げる1発、そして1勝となった。

8月5日に1軍登録を抹消されていた青木選手だが、1軍に帯同していた。この日もベンチでメンバーの奮闘ぶりを見守った。先輩に捧げた村上選手の一発。青木選手もその思いを十分に受け止めていただろう。青木選手にとって、最高の引退表明の日となった。

去り行く人のために流す涙は美しい。そして、その人のために放ったホームランも心打つものだった。誰かのために流す涙は、大きな力を生み出すのかもしれない。

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