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ピンチはあっけなく去っていくのかもしれない。阪神・才木投手の「4球」。無死満塁の危機をストレート勝負で切り抜けた。優勝マジック「6」の巨人にゲーム差1に詰め寄る

ピンチはあっけなく去っていくものかもしれない。セリーグ最終盤の首位攻防戦。阪神の才木浩人投手(25)が躍動した。六回には無死満塁の危機に陥ったが、わずか4球で打者3人を打ち取って脱出した。それもすべてストレート勝負。優勝マジック「6」の巨人に競り勝って、ゲーム差1に詰め寄った。このゲームがシーズンの転換点となるかもしれない。

22日にホームの甲子園で行われた巨人戦。阪神の先発マウンドには才木投手が送られた。今季、才木投手は甲子園で9試合に登板して5勝0敗と負けなし、防御率1.69と安定感が光っている。

この試合でも才木投手は巨人打線に得点を許さず、イニングスコアに「0」を並べていった。

後半の始まる六回。好投を続ける才木投手にピンチが訪れた。この回の先頭打者に二塁打を許した後、2者連続の四球。無死満塁だ。

マウンドには味方選手が集まり輪を作る。才木投手は相棒の梅野隆太郎捕手に宣言した。「思い切っていきますね」

味方打線が三回に1点を先制してくれた。最少失点で切り抜けられれば、まだ1-1の同点。それが心の余裕となったかもしれない。

ここで巨人は5番の長野久義選手が右打席に立つ。四球の後の初球を狙うのは野球のセオリー。しかも2者連続四球となれば、まずはストライクを投手はほしがるもの。

才木投手もストライクゾーンへ投げ込んだ。内角高めへ渾身の149キロのストレート。威力のあるボールでバットをへし折ってピッチャーフライに打ち取った。ワンアウト。

続く坂本勇人選手には初球、真ん中低めの149キロが外れてボール。そして2球目。148キロの真ん中やや高めに入ったストレートでセカンドフライに打ち取った。ツーアウト。

ここで巨人の代打、大城卓三選手が左打席に立つ。右投手に対して左打者は有利とされる。しかし勢いづいた才木投手には関係なかった。初球の150キロストレートを真ん中高めに投げ込み、センターフライに打ち取った。スリーアウト。チェンジ。

才木投手はピンチに陥ってから、わずか4球で切り抜けた。しかも全球ストレート勝負。才木投手の「4球」と言える圧巻の投球だった。

才木投手は最大の危機を切り抜け7回無失点の好投。リリーフ陣も相手打線に得点を許さず1-0で競り勝った。才木投手はリーグ2位タイの13勝目。ハーラーダービートップ(14勝)の巨人・菅野智之投手に投げ勝っての勝利は大きい。

これで2位阪神は首位の巨人に1ゲーム差に詰め寄った。逆転優勝は現実味を帯びてきた。

ピンチに陥っても動じない。189センチの長身から投げ込むストレートを武器に立ち向かった。ピンチの時こそ、逃げずに最大の武器で勝負する。

ピンチはあっけなく去るものかもしれない。危機に陥ったら、自分の武器を最大限に生かす。それは野球に限らず、人生の処世術かもしれないのだ。

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