
「制度を憎んで、選手を憎まず」。「上沢式FA」とやゆしないで。元日本ハムの上沢投手がメジャー挑戦1年で帰国。ソフトバンクと契約。ポスティング制度に改革が必要
米大リーグ参加の3AウースターからFAとなった上沢直之投手(30)。昨季オフにポスティング制度を使って米国へ渡った。1年のメジャー挑戦の末に帰国。そして国内のソフトバンクと契約することになった。これに「上沢式FA」とやゆする声が挙がっている。ただ、これは制度が不完全と思われる。制度を憎んで、人を憎まないでほしい。
上沢投手は2011年のドラフト会議で日本ハムから指名を受けて入団。2014年に1軍で初マウンドに立つと、2016年を除く毎シーズンに登板し、70勝をマークした。2023年にはパリーグ最多の170イニングを投げた。
メジャーへの思いが強かった上沢投手に対して、日本ハムはポスティング制度を使っての移籍を認めた。そして今年の1月にタンパベイ・レイズとマイナー契約を結んだ。
レイズの春季キャンプに招待選手として参加。オープン戦に登板したが満足いく結果が残せずに、開幕のメジャー入りを逃した。そして他球団との契約を模索することとなった。
3月下旬に、上沢投手はボストン・レッドソックスへトレードという形で移籍。開幕は3Aのウースター(レッドソックス傘下)で迎えた。ここで3試合に登板し2勝1敗の成績を残すと、4月にメジャーへ昇格した。
5月2日のジャイアンツ戦がメジャー初登板。2回を無安打無失点に抑えた。翌日のツインズ戦にも登板、2回2安打1失点だった。2試合投げて防御率は2.25。十分な成績と言える。
ただ5月にレッドソックスの主力投手と入れ替えでマイナーへ降格すると、メジャーのマウンドに再び立つことはなかった。その後は3Aのウースターで再び投げたものの、7月2日の登板が最後だった。そして11月1日にFAとなった。
そして今月18日に上沢投手はソフトバンクと契約することとなった。
上沢投手のメジャー挑戦。2試合のみの登板だったが、マイナーでの奮闘を含めると密度の濃い1年だったと思う。
ただ、「日本ハムを退団して、メジャーに挑戦してFA、ソフトバンクと契約」という流れに「上沢式FA」とやゆの声が挙がっている。
これについては現行のポスティング制度に問題があると思う。ポスティングで海外に挑戦して国内に復帰する際には、元々の所属チームに戻るように制度変更すべきだと思う。
上沢投手の1年のメジャー挑戦をたたえたい。そしてソフトバンクでの活躍を願っている。さらにポスティング制度の問題点が改善されることにも期待している。「制度を憎んで人を憎まず」でいたい。