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「はい上がっていく」。ボールも野球人生も。阪神の青柳投手がフィリーズとマイナー契約。期限1~2時間前のギリギリ決着。球団側の評価は「ユニークな戦士」

「はい上がっていく」。投じたボールも自分の野球人生も。阪神の青柳晃洋投手(31)がメジャーリーグのフィリーズとマイナー契約を結ぶこととなった。ポスティングシステムによる移籍で、契約期間のリミット1~2時間前というギリギリの決着だった。球団からは「ユニークな戦士」との評判。青柳投手にはメジャーへとはい上がってきてほしい。

18日の午前7時すぎ。一部のスポーツメディアでは、青柳投手が米国の球団との契約を結べずに阪神に残留か、という報道があった。ポスティングシステムによる契約の期限が日本時間18日午前7時(米東部時間17日午後5時)だったからだ。

しかし、昼にネットでは、青柳投手がフィリーズとマイナー契約を結んだニュースが流れていた。チャンスがつながった。契約期限の1~2時間前の締結。ギリギリのタイミングだった。

青柳投手は2021年に最多勝と最高勝率のタイトルを獲得。翌年はさらに最高防御率も加えて「投手三冠」に輝いた。2021年には侍ジャパンの一員として、東京五輪の金メダル獲得にも貢献した。

ただ2023年以降、開幕投手を務めながら、満足いく成績が残せなかった。昨季は2軍生活が長く、1軍登板は12試合のみで2勝3敗。この状況で、メジャーリーグの球団から声がかかるのか。青柳投手は期待しながらも、一抹の不安も抱えていただろう。

声を掛けてくれたフィリーズは過去3年連続、ポストシーズンに進出して、2022年にはナリーグ優勝を果たした。フィラデルフィアに本拠を置き、前身のクエーカーズが1883年に発足、現在のフィリーズは1890年から活動する伝統ある球団だ。

球団のホルヘ・ベランディアGM補佐は青柳投手を「ユニークだ。あまりいないサイドハンドであることが武器」と評価している。そして「彼は戦士だ。メジャーで投げる機会を求めている男だ」とハングリー精神にも期待している。

青柳投手は2015年のドラフト会議で阪神に5位指名を受けて入団した。高校は神奈川の県立高校で甲子園の出場はなし。大学は帝京大で在学中にひじの手術を受けている。それでも4年時に首都大学リーグのベストナインに選ばれた。

阪神では「ドラ5」からのスタートだったが、着々と実績を積み上げて、投手3冠に輝くまでになった。

青柳投手のピッチングは、アンダースローとサイドスローの中間あたりから投げ込むスタイル。投げたボールがはい上がるように、自らの野球人生もはい上がってきた。

今回のマイナー契約もまずは2月のキャンプで実力をアピールする必要がある。青柳投手は「下からはい上がるように頑張っていけたら」と決意を新たにした。

阪神時代もはい上がってきた。アメリカでもマイナーからはい上がっていけばいい。自分の投げるボールのように。

「ユニークな変則右腕の戦士」。青柳投手がもう一度、野球人生をはい上がって、メジャーのマウンドに立つ日を心待ちにしたい。

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