相手をなめてるわけじゃないけれど。「申告敬遠」は慎重に。日米の頂上決戦で決勝点の呼び水に。ドジャースは逆転サヨナラ満塁弾。ソフトバンクはエース投手がプロ初打点
相手をなめてるわけじゃない。きっと最適な作戦に違いない。それでも「申告敬遠」は慎重に。日米の頂上決戦で、申告敬遠を受けた次の打者がともに決勝打を放つ異例の結果を生んだ。ワールドシリーズではドジャースが延長十回に逆転サヨナラ満塁本塁打。日本シリーズはエース投手がプロ初打点となるタイムリーを放って決勝点にした。
日本時間の26日に開幕した日米2つの頂上決戦。大谷翔平選手が初めて出場するだけに注目度が例年以上に増しているワールドシリーズ。圧倒的な強さを見せつけて勝ち上がったソフトバンクと史上最大級の下剋上を狙うDeNAが戦う日本シリーズ。
2つの頂上決戦はいずれも異例の決着となった。いずれも「申告敬遠」を受けた次の打者が決勝打を放ったのだ。
まずはワールドシリーズから。2-2のまま延長戦に突入。十回表にヤンキースが1点を勝ち越して迎えた十回裏。ビハインドのドジャースは1死から四球とヒットで一、二塁と絶好のチャンスだ。
ここで大谷選手が打席に立った。レフトファールゾーンへ放った飛球。相手の左翼手がキャッチしたものの自らスタンドに入り込んでしまったため、走者2人が進塁となった。
1死二、三塁。ここで相手側は2番ベッツ選手を「申告敬遠」で歩かせて満塁策を取った。おそらく定石通りの作戦だ。次打者のフリーマン選手を打ち取り併殺にすることもできる。
しかし、そうは問屋が卸さなかった。フリーマン選手は初球の内角低めのストレートを豪快に引っ張ると、打球はライトスタンドへ飛び込んだ。逆転サヨナラ満塁本塁打だ。6-3でドジャースが劇的な決着を見せた。
続いて横浜で行われた日本シリーズの初戦。二回に先制点を生んだのはソフトバンクの「伏兵」だった。
2死一塁から7番牧原大成選手の二塁打で二、三塁とチャンスを拡大。ここで甲斐拓也選手は「申告敬遠」で歩くことに。次打者は9番のエース右腕、有原航平投手だった。
普段、パリーグの投手は打席に立つことはない。ただ、この試合はセリーグのホームゲーム。そのため、投手も打席に立つ必要がある。甲斐選手との対決を避け、有原投手からアウトを取ろうとする作戦は有効に思えた。
ただカウント1-1からの3球目。真ん中に入ったストレートを、右打席の有原投手は流し打ち。これが一、二塁間を抜けて、2点タイムリーヒットとなった。有原投手にとって、プロ初打点となるタイムリーが結果的に決勝打となった。
自ら放った適時打で気分もノリノリとなった有原投手。七回まで投げ、相手打線を無失点に抑え込む好投につながった。
日米ともに、「申告敬遠」の次の打者が決勝打を放つ結果に。相手側は敬遠後の打者をなめていたわけではない。最適な作戦を実行したのだ。それ自体は問題ないけれど、次打者との対決は慎重にいってほしかった。
特に有原投手の決勝打の場面。相手投手は3球ともストレート勝負。これでは打者が投手といってもヒットを打つ可能性は高まる。ソフトバンクの「打の伏兵」が挙げた貴重な2点は想像以上に大きなインパクトをもたらした。
最適な作戦でも慎重に。「申告敬遠」の後にはドラマが起こりやすい。日米の頂上決戦。大事な場面で今後も、この作戦が実行されるだろう。その後の対応が勝負に大きな影響を及ぼすかもしれない。
日米の頂上決戦。第2戦目以降も、「申告敬遠」の後にご注目を!
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