肛門とカプサイシン/夏空に清涼感を添えて
激辛はお好きでしょうか。
辛味は味覚とは少し異なり実は痛覚の刺激といいますが、消化管への刺激は消化液の分泌を促して、食欲増進にもなりましょう。辛いものを食べたときの発汗は身体の熱を発散し冷やす効果もみられます。暑いときに辛いものを食べるのは、理にかなっている選択ともいえましょう。
辛味成分代表といえば、そう、カプサイシン。
唐辛子の辛味の主成分であって、辛味の指標「スコヴィル値」を考えるときの基準物質であります。
スコヴィル値とは、1912年にスコヴィル味覚テストを考案したウィルバー・スコヴィル氏に由来し、正式名称をスコヴィル辛味単位(Scoville heat units:SHU)といいます。簡単には、砂糖水で(スコヴィル値)倍に希釈して辛さを感じなくなる指標です。1000 SHUの場合、1000倍希釈で辛味が消えます。
「ハラペーニョ」は5000 SHU程度、よく遭遇する「鷹の爪」は4〜5万SHUと言われています。沖縄の島唐辛子は5〜10万SHUとされ、かなりの戦闘力の高さです。「ハバネロ」の場合、品種によっては53万SHUを超えます。フリーザ様を凌ぐ勢いです。
2007年にハバネロを抜いた品種「ブート・ジョロキア」の戦闘力は100万SHUでしたが、2013年には戦闘力163万SHUの「キャロライナ・リーパー」が開発されました。リーパーとは死神のことです。最早ヒトの食べるものとは思えません。
食べることを度外視した、医療目的に開発された「ドラゴン・ブレス・チリ」は、なんと248万SHUという数値を叩き出しました。
これで終わりでしょうか。いいえ、ケフィアです。死神の開発者は、再び恐ろしいものを生み出します。318万SHUという異次元の辛味「ペッパーX」です。一周回って名前はシンプルになりましたが、生で食べると死ぬ危険があるそうです。
私は激辛好きというわけではありませんが、それでも時々辛いものを食べたくなります。あまりに辛いものを食べると、口元を乗り越えて落ち着いたのも束の間、時間差でSiriが熱くなりますね。なぜ、なぜ腹を通り過ぎたのに、最後の最後で攻撃してくるのか。Siriに訊いてみましょう。
カプサイシン受容体が多いからです。
消化管全域に分布するTransient receptor potential vanilloid receptor subtype 1 (TRPV1)が肛門の近くに多いため、Siriを通過するときに痛みを感じるという仕組みです。わかりやすい文献がありましたので、引用いたします。
Shunji Horie, et al. Gastrointestinal Spice Sensors and Their Functions. YAKUGAKU ZASSHI 2018: 138; 1003-1009
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/138/8/138_17-00048-1/_pdf)
だからどうということはありませんが、辛過ぎる刺激は有害にもなりますから、ほどよく取り入れて楽しく生活することを提案いたします。
「ザ・ソース」?
いえいえ、決してそんなものを口にしてはいけません…
拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、貴方の食卓にほどよい辛味が舞い降りて、食欲回復や暑さの軽減を齎しますように。
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