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病気と元気の境界

 元気ですか。病気ですか。

 元気な人もあるでしょうし、病気だと応える人もあるでしょう。しかしながら、一点の曇りもなく元気だと断言できる人は、案外少ないものです。一方、病気ではあるけれど、深刻ではなかったり治療によって日常生活に支障がなくなっているような場合もあるでしょう。

 病気というほどではないが元気でもない。

 その境界には、思いの外たくさんの人がいます。それは西洋医学的視点では検出できないような「異常」だったり、異常を示しながらも治療法が確立されていない「経過をみましょう」な疾患群だったりします。

 西洋医学は病気を見つけて診断することが得意です。治療方法が確立されていれば一定の効果を期待することができます。科学的手法によって研究が進み、過去に不治の病と称された疾患が数多く治療できるようになりました。

 では「元気」になるためにはどうしたらよいか、と問われたとき、西洋医学は未だ無力です。予防医学とか健康診断とか、もっともらしいことは云われているものの、焦点のズレた助言が目立ちます。

「病気でないなら、この不調の原因は何か。」
「どうしたらいいのか。」

 その疑問に西洋医学が回答できるようになるまでには、まだ長い年月が必要なのかもしれません。


 東洋医学が目指すのは「元気な状態」です。

 陰陽五行思想を基盤に人体を解釈し、その機構が滞りなく運行されている限り健康が保たれると考えます。外的あるいは内的要因によって恒常性が乱されると病を生じ、これを元の状態に戻す取り組みを治療と呼びます。

 最古の医学書たる『黄帝内経こうていだいけい』を読み解くと、医者の質に関する興味深い記述があります。

曰く、

病気を治せない医者はド三流。
病気を治すだけの医者は二流。
一流の医者は人の健康を護るものさ。

勝手に口語訳


 それ故に古代中国では、栄養学に詳しく食事を管理する医師の位が最も高かったそうです。

 現代日本をみますと、二流の医者に出逢えたらラッキーで、一流なんて伝説上の生き物なんじゃあないかしら…と思えてきます。

 さて、今日も私は一流の医者を目指して精進いたします。失われた医学ロストテクノロジーの復興を夢にみながら。



 拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、貴方と貴方の大切な人が健康でありますように。



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渡邊惺仁
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