檸檬
梶井基次郎さんの『檸檬』を読んでから、レモンの魅力に取り憑かれました。いかに言葉を尽くしても、あれほどレモンな文章を私には書けません。ご興味のある方は、青空の下で読める文庫に収載されていますから、ググれば一発です。
私は憂鬱になるとレモンをひとつ購入します。
あれは実に良いものです。
そんな気持ちで購入したレモンを見つめます。そうして、
というような感覚に陥ります。
机にレモンを飾って掴んでまた置いて。
香りと質感をひとしきり楽しみながら、
なんて呟いてみます。完全にヤバい人です。
しかし不思議と気持ちが落ち着いてくるようで、憂鬱は次第に薄らいでいきます。憂鬱が薄らいできたら、徐に立ち上がり、レモンをしっかりと握ってキッチンに向かいます。まな板の上にレモンを安置し、取り出した包丁で腹部を離断します。切り分けた果実の片方は冷蔵庫に仕舞って、残りを搾ります。蜂蜜を加えて炭酸水で仕上げると、レモンスカッシュの完成です。気分に応じてレモンサワーにしてもいいし、温かい蜂蜜レモンも素敵ですね。
これを飲み干す頃には爽快感が憂鬱を凌駕して、陰鬱な気配は霧散していきます。
憂鬱を感じた時のルーチンワークに組み込むことで「何もできない」から脱却して気分の揺れをゼロ点に戻す手掛かりになっています。
そして今、手元にレモンがひとつ。
貴方は憂鬱を感じる時、どのように対処しているでしょうか。
もし何も手段のないような方がいらっしゃいましたら、ご一緒にレモンはいかがですか。
拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、貴方の憂鬱が清涼感と共に、何処かへ飛んでいきますように。
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