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世紀末妄想録

 暗黒の厨二時代から続く、ひとつの癖がある。

 それは現代文明が終焉を迎える世紀末ヒャッハー的展開になったときに、自分が如何に生存していくかという妄想である。

 一年ほど前にも似たような記事を書いたことを思い出し、読み返しながら何言ってんだコイツと自嘲気味にリンクを貼って、性懲りもなく世紀末妄想録を再び執筆しようと決めた。

 私にとって世紀末という世界観は『北斗の拳』を拠り所にするもので、文明社会の荒廃した地球という観点で論ずるならば、例えば『風の谷のナウシカ』や『AKIRA』でもいい。ゾンビやクトゥルフのようなホラー的展開よりも、起こり得るリアルな設定を好む。

 麻酔と道具がなければ外科医のできることは限られる。それを言えば薬のない内科医なども役に立たないだろう。よって私は現代医療に甘んずることを止め、先端医療を享受しながらも世紀末にも通用する医術を身につけるべく研鑽を続けている。

 一切の検査機器が使用不可能な状態でも診断できるように身体診察技術を磨き、漢方診察の技術も習得した。漢方薬は高度な機械がなくとも生薬と水と鍋と火があれば精製することが可能であり、以て生薬学を修めようと学び続ける日々。物資の不十分な環境における鍼灸治療の優位性は絶大で、これを習得しない手はなかろうと経絡秘孔を記憶した。実践なき知識は無価値ゆえに、自身と家族から始めて今では必要に応じてクライアントにも鍼灸治療を提供するようになった。

 戦わないことに目を瞑れば、ほぼトキになれた気がする。もし現代文明が崩壊したとしても、私は経絡秘孔をアタタァする医系拳士として敬愛するトキのように生きるだろう。でもそれは本物のトキじゃない。どちらかというとアミバだ。この際アミバでもいいような気がしてきた。否、やっぱりイヤだ。トキがいい。

 兎にも角にも、国を作ろうと思う。

 明日のことを考えられる国がいい。それぞれの強みを活かすことのできる小さな国にしよう。争いが起きるだろうか。起きるだろうな。ホモ・サピエンスは戦闘と生存の種だ。飢餓や貧困は戦争を招く。集団の統率のために何かを迫害すれば、それは終わらない怨恨の連鎖になる。想像の中にも平穏を実現できないようでは、世界平和など夢物語どころの話ではない。

 現代社会の価値観など直ぐに崩れる虚構に過ぎない。そんなことを思いながら、私は今日も机に向かい、キーボードを叩く。



 乱文にお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、貴方が貴方の価値と共に希望の明日を迎えられますように。




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渡邊惺仁
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