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良い医者になる為に 〜ある医学部教授の持論〜
破天荒な教授がいました。いえ、破天荒な動きやお酒の飲み方でしたが、教育というものに深い造詣があり学生に対する愛に満ちた人でした。研究も臨床も第一線を走る人でした。
それは私が学生の頃の出会いです。病棟実習でその診療科を回っているときに彼は云いました。
「いいか?良い医者になるには、一流の技術、一流の知識、一流の人格。そのうち『どれかひとつ』があれば良い。」
全部必要だから頑張れなどと言われるかと思ったら、どれかひとつで良いと言うのです!ひとつならなんとかなるかも…?
だが、と教授は続けます。
「『技術』ってのは才能だ。不器用な奴はいくら練習したって超一流にはなれない。『神の手』なんて目指したからって誰でもなれるようなもんじゃない。」
「それから『人格』ってのはどうしようもない。大体20何年生きてきた自分の人格を簡単に変えようとするな。そのままでいい。自信をもて。」
「でも『知識』ってのは誰にでも身につけられる。だから勉強しろ。まずは一流の知識を身につけることを目指せ。」
虚を突かれました。
つまるところ「勉強しろ」の一言に集約される話にも関わらず、流れるような論調に思わず納得してしまいます。人は無意味な行動にはやる気が出ませんが、納得すると動き始めるものです。臨床家で研究者な教授の、教育者としての一面をみたような気がしました。
そういう視点から医師をみていると、たしかに「良い先生」と言われる人は「技術」か「知識」か「人格」の少なくともひとつは一流だと感じます。検索してもヒットしませんので、この三要素は恐らく教授のオリジナルアイデアなのでしょう。その道を何十年も極めていくと、見えてくるものがあるのかもしれません。
さて、これは医師に限った話でしょうか。
もしかしたら他の業界でも通用するのかも、と密かに観察を続けています。
…でも、やっぱり3つ揃ってるのが格好良いですよね?
拙文にお付き合い頂きありがとうございました。願わくは、貴方が自身の人格に自信を抱き、技術と知識が美しく磨かれていきますように。
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