日本のモノづくりと北欧デザイナーをつなぐ物語

北欧と日本の美意識や精神性は似ているところが多くお互いに魅力を感じ刺激を受け合っていますが、それぞれに表現方法が異なります。北欧パターンの事業スカンジナビアン・パターン・コレクションでは、日本と北欧をつなぐ文化プロジェクトを企画し、コラボによる新しい表現を模索しています。

日本のモノづくりと北欧デザイナーをつなぐ物語

北欧と日本の美意識や精神性は似ているところが多くお互いに魅力を感じ刺激を受け合っていますが、それぞれに表現方法が異なります。北欧パターンの事業スカンジナビアン・パターン・コレクションでは、日本と北欧をつなぐ文化プロジェクトを企画し、コラボによる新しい表現を模索しています。

マガジン

  • 美しいTOKYO、10人の北欧デザイナーが奏でる江戸の型染め

    東京オリンピック開催年である2020年に、北欧で活躍するデザイナーたちが描く江戸更紗を作る企画を立てました。北欧デザイナーたちと伊勢の型紙職人、東京の江戸更紗の染工場が、じっくりと時間をかけ、手仕事によって実現したプロジェクトです。コロナ禍で発表する機会を逃していますが、オリンピックが始まった今、紹介したいと思い立ちました。東京に来たことのあるデザイナーからないデザイナーまで「美しいTOKYO」をテーマにインスピレーションを得た28名のデザイナーより40点以上のデザインが提出され、その中から選りすぐりの10点が江戸更紗の生地になりました。

  • SKÅL 北欧デザイナーによる茶道具

    北欧各地に暮らすデザイナー 20人一人ひとりが自分自身と向き合い、それぞれの想いをこめて文章をつづり、写真を集め、それらを発想の原点として、日本の茶道具のデザインに挑戦しました。

  • UNIK 北欧デザインの原点 刺し子展

    厳寒な気候である東北地方から生まれた「刺し子」を、同じく厳寒な気候の北欧に暮らすデザイナーに一人ひとりの思いを込めた刺し子デザインを考案しました。

  • DUKA 北欧デザイナーによる一汁一菜の器

    ユネスコ無形文化遺産に登録された和食から、日本のシンプルな食卓「一汁一菜」の器を北欧デザイナーが考案し、日本の波佐見焼きで製作しました。

  • FIKA 北欧デザイナー23人による手ぬぐい展

    2014年に、北欧デザイナー23人がフィーカをテーマにした日本手ぬぐいのデザインを考案し、株式会社かまわぬで製作されました。東京のスウェーデン大使館で開催された展示会の様子や、てぬぐいにまつわるお話しです。

最近の記事

東京オリンピックの年に、北欧デザイナーが描くTOKYOをイメージした江戸更紗を制作する企画を立ち上げる

ついに東京オリンピックの競技が始まりました。 昨年はコロナ禍でオリンピックの延期が決まり、いろいろなことがストップし、本当にさまざまなことが制限される年でした。 私自身は特にオリンピックとは関係ないのですが、東京オリンピックの年に合わせて企画していた文化イベントがあり、その発表のタイミングを逃してしまったことを残念に思っていました。 第5段の文化交流イベントとして、東京をテーマに北欧デザイナーに描いてもらったデザインから10個を選び、10反の「江戸更紗」の生地にするプロ

    • 京町家にて、北欧デザイナーの茶道具展 SKÅL11最終回(京町家の写真が満載)

      ※この記事は、2018年に開催された文化イベントについて紹介しています。SKÅL/スコールとは、スウェーデン語で「乾杯」と「器」という意味があります。 これまでの文化イベントの展示は東京のスウェーデン大使館だけでしたが、今回はスウェーデンと日本の国交150年記念ということもあり、京都の町家「正庵」を借り切っての展示も行いました。京都市北部の西陣に位置する「正庵」は「京都市景観重要建造物 歴史的風致形成建造物」に指定されている文化価値の高い町家です。美しい装飾品を取り揃えた美

      • 東京のスウェーデン大使館にて、北欧デザイナーの茶道具展 SKÅL10

        ※この記事は、2018年に開催された文化イベントについて紹介しています。SKÅL/スコールとは、スウェーデン語で「乾杯」と「器」という意味があります。 展覧会も4回目となり、準備の段取りにも慣れてきましたが、2018年のイベントは、いつもと違う緊張感がありました。 日本スウェーデン外交関係樹立150周年にふさわしいものとして、お客様にご満足いただかなければなりません。設営日の朝、スウェーデン大使館に行くと、 日本スウェーデン外交関係樹立150周年の特別 ロゴの大きなバナーが

        • 北欧イラストレーター、ティナ・バックマンのメインビジュアル SKÅL9

          ※この記事は、2018年に開催された文化イベントについて紹介しています。SKÅL/スコールとは、スウェーデン語で「乾杯」と「器」という意味があります。 今回のイベント用に、メインビジュアルとなるイラストをデザイナーにお願いしたいと思いました。20個のお茶碗を可愛らしく描けるのは誰だろうと思ったところ、手描き風の温もりのあるパターンに定評のあるティナ・バックマンが思い浮かびました。全てのデザインを手描きで仕上げるティナは、ストーリー性のあるスケッチのようなパターンを描きます。

        マガジン

        • 美しいTOKYO、10人の北欧デザイナーが奏でる江戸の型染め
          1本
        • SKÅL 北欧デザイナーによる茶道具
          11本
        • UNIK 北欧デザインの原点 刺し子展
          8本
        • DUKA 北欧デザイナーによる一汁一菜の器
          7本
        • FIKA 北欧デザイナー23人による手ぬぐい展
          5本
        • スカンジナビアン・パターン・コレクション
          1本

        記事

          北欧デザイナーによる茶道具展の準備 SKÅL8

          ※この記事は、2018年に開催された文化イベントについて紹介しています。SKÅL/スコールとは、スウェーデン語で「乾杯」と「器」という意味があります。 SKÅLプロジェクトの展示品は、波佐見焼の抹茶茶碗、美濃和紙の懐紙、そして京都の扇子屋さんと作った扇子でした。日本のモノづくりのコラボレーションがうまく進んで、どれもとても良い感じに仕上がり、みんな大満足でしたが、展示の方法については少し不安がありました。それは、作品が小ぶりで少し地味なので、デザイナーたちが最初にデザインし

          北欧デザイナーによる茶道具展の準備 SKÅL8

          茶道具からみんなが使える商品へ(デザインの価値) SKÅL7

          ※この記事は、2018年に開催された文化イベントについて紹介しています。SKÅL/スコールとは、スウェーデン語で「乾杯」と「器」という意味があります。 今回の茶道具でいちばん思い入れのあったお茶碗はひとつひとつ手作業で作ったため、販売できるほどの数は作れませんでした。その代わり、人気の高かったデザイン6つを選び、波佐見焼きでの量産品を作ることにしました。陶芸家の松井利夫先生によるこだわりのお茶碗の形を再現し、茶道だけでなくFIKAでも使えるよう、サイズを小ぶりにして、紅茶で

          茶道具からみんなが使える商品へ(デザインの価値) SKÅL7

          ストックホルムのお茶室での茶会 SKÅL6

          ※この記事は、2018年に開催された文化イベントについて紹介しています。SKÅL/スコールとは、スウェーデン語で「乾杯」と「器」という意味があります。 SKÅLプロジェクトでは、ストックホルムにあるお茶室で北欧デザイナーの茶道具を使った茶会をするという案も含まれていました。お茶室は民俗博物館の管轄であり、個人的な目的で使用することはできません。そこで、裏千家淡交会スウェーデン協会が企画する日本とスウェーデン150周年イベントとして活動させてもらうことにしました。 イベント

          ストックホルムのお茶室での茶会 SKÅL6

          北欧デザインの透かし懐紙 SKÅL5

          ※この記事は、2018年に開催された文化イベントについて紹介しています。SKÅL/スコールとは、スウェーデン語で「乾杯」と「器」という意味があります。 お茶会では、多くの場合、白い無地の懐紙が使われますが、最近では日常づかい用として柄入りのものも増えてきました。今回のプロジェクトで懐紙を作ろうと思ったとき、その手法をどうするか、悩みました。 遊び心あふれるカラフルな北欧デザインの懐紙、という選択肢もありましたが、私たちは、少しフォーマルなお茶会でも使えるものにしたいと思い

          京都の陶芸家による、お茶碗の原型とろくろでの手作業、波佐見焼きでの絵付け SKÅL4

          ※この記事は、2018年に開催された文化イベントについて紹介しています。SKÅL/スコールとは、スウェーデン語で「乾杯」と「器」という意味があります。 恩師でもある陶芸家の松井利夫先生に、北欧と日本の架け橋となるような抹茶茶碗が作りたい、という相談をしたところ、原型デザインを引き受けてくださることになりました。北欧パターンが引き立つシンプルな形にしたい、という大まかなプランしかお伝えしなかったのですが、先生は高台の高さや胴の形を変えた三つの案を考えて、素焼きのお茶碗を焼いて

          京都の陶芸家による、お茶碗の原型とろくろでの手作業、波佐見焼きでの絵付け SKÅL4

          北欧デザイナー20人との茶道具デザイン制作 SKÅL3

          ※この記事は、2018年に開催された文化イベントについて紹介しています。SKÅL/スコールとは、スウェーデン語で「乾杯」と「器」という意味があります。 私の任務は、北欧デザイナーたちにいかに日本の伝統文化を伝えるか、ということです。クリエイターは日本文化に興味のある人は多いですが、根本的なところは知らない人がほとんどです。茶道文化は「おもてなし」という部分ではFIKAに似ているところもあり、FIKAに照らし合わせながら説明することにしました。 前回の文化イベントで行ったU

          北欧デザイナー20人との茶道具デザイン制作 SKÅL3

          茶道と北欧の関わり SKÅL2

          ※この記事は、2018年に開催された文化イベントについて紹介しています。SKÅL/スコールとは、スウェーデン語で「乾杯」と「器」という意味があります。 2018年の日本とスウェーデンの外交関係樹立150周年記念の文化イベントで、北欧デザインの茶道具を作ることになったのは、私にとってはとても喜ばしいことでした。ストックホルム在住の私はスウェーデンで裏千家茶道を学んでおり、ストックホルムにある日本のお茶室「瑞暉亭/ずいきてい」で茶道のデモンストレーションを手伝っています。 「

          2018年、日本・スウェーデン外交関係樹立150周年 イベントの企画 SKÅL1

          ※この記事は、2018年に開催された文化イベントについて紹介しています。SKÅL/スコールとは、スウェーデン語で「乾杯」と「器」という意味があります。 スカンジナビアン・パターン・コレクションの文化イベントは、これまで1~2年に1度のペースで実施してきました。時期や頻度について厳格なルールを決めているわけではなく、アイディアが生まれたときが企画のスタートとなっています。でも、4回目の企画は少し事情が違いました。2018年は、日本・スウェーデン外交関係樹立150周年という特別

          2018年、日本・スウェーデン外交関係樹立150周年 イベントの企画 SKÅL1

          北欧の刺し子を布で表現した小物を作りました UNIK8

          「UNIK(ウニーク)北欧デザインの原点」ではスウェーデン大使館の展示と合わせて、日本の産地との取り組み刺し子と北欧デザインを楽しんでいただくための様々な布製品を開発しました。デザインは北欧デザイナー、作るのは日本の手仕事というコンセプトを貫いていますので、布の品質にもこだわりを求めて日本の産地を訪ね歩きました。ひと針ひと針、手で刺した刺し子の雰囲気をどう生地で表現するか・・・様々な試行錯誤の末、産地の方々のご協力も得てジャガードと機械刺繍での表現に行き着きました。 ジャガ

          北欧の刺し子を布で表現した小物を作りました UNIK8

          北欧デザインの原点、コンセプトブック UNIK7

          「UNIK(ウニーク)北欧デザインの原点」は、Scandinavian Pattern Collectionの事業そのものが掲げている「一人ひとりのデザイナーの個性や気持ちを伝えること」が大きなテーマでした。そこで私たちは、これを短期のイベントで終わらせるのではなく、もっと多くの方々に私たちの思いを伝えるための記録を残したい、と思いました。 主人公は、一人ひとりのデザイナーです。デザイナー一人ひとりが、それぞれの原点となる地を選んで集めた写真、綴った文章は、展覧会でも非常に

          北欧デザインの原点、コンセプトブック UNIK7

          北欧最大のインテリアフェアFormexで北欧デザインの刺し子展 UNIK6

          イナーの刺し子展、UNIK(ウニーク)北欧デザインの原点」は、スウェーデンの首都ストックホルムで開催される北欧最大のインテリアフェアFormexのゲスト出展として、北欧で初の展覧会が実現しました。東京で行われる展覧会に来られるデザイナーは限られますが、ストックホルムで開催したことで多くの北欧在住デザイナーが展覧会に出席しました。プレスリリースの際には、デザイナーが自ら自分の原点と刺し子デザインを紹介し、さまざまな質問にも対応することができました。 Formexゲスト出展のた

          北欧最大のインテリアフェアFormexで北欧デザインの刺し子展 UNIK6

          スウェーデン大使館で開催された北欧デザイナー刺し子展 UNIK5

          2016年10月「UNIK(ウニーク)北欧デザインの原点」の展覧会は、28人の北欧デザイナーの美しく個性的な花ふきんの展示とともに、スウェーデン大使館ホールにて開催されました。スカンジナビアン・パターン・コレクション3回目の文化イベントでした。入口には、スウェーデンで「SASHIKO」の本を書いたアンナ・ヘーリングによるブランケットが特別展示作品として展示されました。 展覧会のゾーニングをするとき、三つのゾーンを設けました。1つ目は、刺し子作品の展示と北欧の手工芸文化につい

          スウェーデン大使館で開催された北欧デザイナー刺し子展 UNIK5