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ベンチャーの2年半で培った"マネジメント"についての見解

こんにちは。さよです。

今回は、私がMatcher株式会社でFS・CSとして働きながら、採用(主にインターン生採用)・社内プロジェクトのオーナーをした経験を元に、プロジェクトマネジメントの中でも「人」の部分に焦点を当てて学びを書いていきます。


このnoteを書こうと思った理由

私は新卒でMatcher株式会社に入社し、この2年半で以下のような人に関わる一連の業務を全て経験しました。

  • 自分でメンバーを採用し

  • 一人前になるまで育成し

  • 成果を上げられるよう伴走しながら

  • 業務の権限を委譲してチームとして成果を上げていく

この経験から「人に関するマネジメントってこういうことなのでは?」という現時点での結論に近いものが得られました。この経験と学びは規模が小さく職種横断的に業務を行えるスタートアップならではだと思いますし、似た境遇の方にも少しは役立つのではないかと感じたからです。

人のマネジメントの本質は「採用、育成、権限委譲」

自分がプロジェクトのオーナーとなり、最小工数で最大の成果を出せるチームを作るために、メンバーをマネジメントしていくことは不可欠です。
ここでのマネジメントとは「採用・育成・権限委譲」です。次から各観点での学びを記載していきます。

「育成」に必要なこと

一般的に多くの会社では採用部門と受け入れ部門が異なり、実際にプロジェクトのオーナーが人の部分で可変なのは、採用からではなく育成以降なのではないでしょうか。そのため今回は最初に「育成」に必要なことから記していきます。

最短で育成を完了させるには「情報→スタンス→能力」の順

メンバーを育成する観点は情報 / スタンス / 能力 の3点で、最短で育成を完了させるには「情報→スタンス→能力」の順番がおすすめです。

なぜ最初に情報なのかというと、どんなに能力があり優秀な人でも、その会社の使用ツールや業務に必要な情報、業界の周辺知識がなく成果をあげていくことは至難の業だからです。そのため、まず業務遂行に必要な情報を最初に伝えると個人の成長が加速しやすくなります。また、"slackを効率的に使う方法"など、知ればすぐにできることも情報に含まれるので最初に伝えるのが良いです。

またスタンスに関しては文句なしの場合はスキップ、スタンスですり合わせが必要な場合は最初から伝えていきましょう。なぜなら、スタンスは個々の過去の経験から価値観のように強固になっていることが多く、擦り合わせ終わるまでに時間がかかるものだからです。後に時間という複利の恩恵を受けるため、情報を伝えるのと並行して初めから伝え、自社で働く前提を作ってあげると良いです。

なお、能力はスタンスと比べて可変で、後天的に身につくものになるので、情報のインストールが完了したらじっくりと育成するので良いと思います。

育成完了までの4段階

育成が完了するまでの流れは以下の通りです。

  • 理想から育成の基準を作る

  • 実務を行う機会を作る

  • 基準に達しているか定期的に確認する

  • 差分を埋めるためのNA(Next Action:次に行うこと)を明らかにし、基準達成までサポート

①育成完了の理想状態から基準に落とし込む
育成対象の人が現れた時に育成側がまず行うことは、「育成完了の状態を描くこと」です。

💡育成完了の状態の例
・一人で採用業務ができる状態
・一人で採用に関する記事が書ける状態
・一人で電話営業ができる状態

育成完了の理想状態が描けたら、業務上で確認できるような明確な項目に落とすために要素分解し、育成の基準を作ります。

👇基準はこんな感じ

②実務を行う機会を作る
次に育成する人が実際に業務を行う機会を作ります。一見当たり前に思うかもしれませんが、意外と「業務機会がないのでまだできません」という声を聞くのでしっかりと押さえるべきポイントです。

③基準に達しているか定期的に確認する
業務機会を渡したら、育成担当は定期的にメンバーの育成の進捗を確認し、基準に沿って振り返りをしていきます。

▼振り返り項目
・どの項目が基準に達したか?
・どの項目が基準に達していないか?
・なぜ基準に達していないのか?
 ①業務機会がなかった
 ②情報・知識が足りなかった
 ③能力が足りなかった
 ④意識・スタンスが足りなかった

④差分を埋めるためのNAを明らかにする
「なぜ基準に達していないのか?」の理由に応じて、基準との差分を埋めるようなNAを一緒に決めていきます。こんな感じ。

▼差分を埋めるためのNA
 ①業務機会がなかった →業務機会を作り実行できれば解決
 ②情報・知識が足りなかった →情報・知識を与える or 自ら情報・知識を取得できる仕組みを作る or 自ら情報・知識を取得するようなスタンスを作る
 ③能力が足りなかった →伸びるまで時間がかかるので、どうしたらできるようになるかを一緒に考えてFBし、業務機会を作る
 ④意識・スタンスが足りなかった →上に同じ

一人前に成長したら目標を再設定

なお、ある程度一人前に成長したら再度目指す先を設定する必要があります。なぜなら目指す先がなくなると成長が鈍化することが多々あるからです。(個人的な失敗談)そのため、メンバー自身が目標を決め、定期的に振り返りNAを決めていくことが良い気がしています。

権限委譲で必要なこと

多くの仕事を決められた期間内で行うため、仕事が早いリーダーはメンバーに仕事を任せます。権限委譲を行うことでより一段上の業務を行えるだけでなく、メンバー各々が意思決定できるためチーム全体の意思決定回数が増え、仕事が早いチームになります。

メンバーを観察して最適な関わり方を取ること

①メンバーの特性を知る

とにかくまずはやってみたいタイプ
石橋をたたいて渡りたいタイプ
自分で考えて答えを出したいタイプ
答えを教えてもらった方が加速するタイプ

などなど。人は特性(=個性)を持ち、良い方向に働くと強み、悪い方向に働くと弱みになります。なので育成対象の人がどんな特性を持つのか把握し、特性が強みとなるように関わることで成長が促しやすくなります。

上記の考えはFFS理論に基づくもので、FFS理論では人の特性を5パターンに分けて説明しています。
余談ですが、私は育成対象が自分に似た慎重なタイプだとうまく導け、逆に育成対象が「とにかくまずはやってみたい!」というタイプだと気持ちが分からず、説明の範囲、FBの仕方、NAの決定の仕方に苦戦しました。

「宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれる あなたの知らないあなたの強み」は、育成対象と自分のタイプの掛け合わせごとに、どう育成対象に関わればいいのかが記載されている良書です。

②メンバーの得意不得意/好き嫌いを知る

最小工数で最大の成果を出すためには、業務を適材適所に配置するのが必要です。特に成果を上げる上では「得意なものを渡すこと」、モチベーションを上げるには「好きなことを渡していく」のがおすすめ。業務を渡す目的によって選びましょう。

💡得意不得意/好き嫌いの傾向
・人と関わるのが好き
・黙々と作業するのが好き
・細かい作業が好き
・タスクをこなしていくのが好き
・考えて答えを出していくのが好き
・話すのが得意
・論理的に考えるのが得意

また業務上の得意・不得意は、任せてみて初めてわかることが多いです。相手を信じて任せ、期日まではとにかく待ち、その後業務を任せた際の速さやアウトプットの質から把握していきましょう。

③メンバーの希望を知る
例え得意・好きに当てはまらずとも、本人の希望に沿った業務を任せることで、希望する能力・経験の開発機会になることがあります。定期的に1on1などでヒアリングしておくと良いです。また、「その能力/経験/業務を行いたい理由」を掘り下げると真のニーズに気づくことがあるので、自分でも仮説を立てながらなぜなぜを繰り返して相手のニーズを捉えましょう。

👂ヒアリングのポイント
・どんな能力を伸ばしたいのか
・どんな経験を得たいのか
・どんな業務を行いたいのか
・それがなぜか

業務を渡す際に「目的・役割・最終的なアウトプット・期限」を伝えすり合わせすること

「業務の目的 / お願いしたい役割 / 期限」を伝えておくと、主体的かつ自発的に業務してもらいやすくなります。

▼このnoteの「企画準備の型」のこと

また、企画系業務の場合で何かしらアウトプットが伴う場合は、業務を渡す側がある程度アウトプットイメージを持った上で
・アウトプット像を本人に考えてもらうのか
・こちらで考えたものを本人に理想のアウトプット像として伝えるのか
を、本人の能力・経験を見て判断しましょう。

都度メンバーと合意形成をとりながら進めること

メンバーに権限委譲した際のオーナーの仕事の1つは、任せた仕事が目的とずれた際の軌道修正です。まるっと任せて最終的なアウトプットが目的とずれていた場合、今までの時間が全て無駄になってしまいます。これを防ぐためには定期的にメンバーとオーナーで合意形成をしていくのが良いです。タイミングとしては「2割、5割、8割」がおすすめ。

任せる際には「相手を信じてとにかく待つこと」

最後は圧倒的に精神論になりますが、任せる側は相手を信じてとにかく待ちましょう。「任せた!」と言った後に相手以上に自分が細々と確認してしまうと、任せられた側のやる気を削ぐ可能性もあります。合意形成の機会を設定したら、あとはそれまで信じて待つにつきます。

権限委譲は自分の得意分野から行うとスムーズ

権限委譲した後もオーナーはメンバーと「どうしたら成果が出せるのか?」を日々振り返り、時には成長を促すためのFBとNAの決定が必要になります。そんな時、自分の得意分野であればすでに一定の成功体験失敗体験、そこからの学びがあるので、成果の上げ方や躓きポイントを把握してメンバーを育成しやすいです。また、経験したことのない業務は過去の別業務の似たような経験を思い出し、そこでの学びや仕事の進め方を抽象化しておくと、学びが横展開できて便利です。

▼学びの横展開は「具体と抽象を自由自在に行き来する」思考がおすすめ

採用で必要なこと

育成と権限委譲を中心に色々と書いてきたので、「プロジェクトのオーナーが力をつければチームが成果を最大化できるよ」という見え方になってしまっているかもしれません。ただし個人的に思うのは、結局は「求める基準を超えたイケイケなメンバーに仕事を任せる」ことが最小工数で最大の成果を出すための近道だと思います。妥協せずに都度以下を行いながらイケイケなメンバーを採用しましょう。

採用でやることは「基準を決めて、材料を集め、判断する」こと

採用の流れは以下の通りです。

  • 採用する基準を決め

  • その基準を満たしているかを判断するための材料を面接中に集めて

  • 採用するか判断する

  • (とても良い候補者に対しては面接中にアトラクトする)

👇採用基準から質問までの落とし込み方

採用要件が高すぎて採用できない…という事態を防ぐには、スタンス>>>経験・能力 の優先順位

上記に「妥協せずにイケイケなメンバーを採用しよう」と書きましたが、実際に全ての採用基準に適した人を採用するとなると、時に市場にそもそもあまり存在しない幻を追うことにもなりかねません。そんな時は、変数=育成で補える部分 は妥協し、変えにくい変数・定数=育成で補いにくい部分は妥協せずに採用するのが良いです。

実際、採用する時に見ているポイントは①自社とマッチしているか(スタンス面) ②自社で成果を上げられそうか(スタンス面・能力面・経験面) ③早期離脱しないか(希望の業務内容か) です。そのため、変えにくい変数・定数=スタンス面、希望の業務内容か を優先的に見ていくのが最もミスマッチを防ぎつつ、長期的に成果を上げるチームを作る近道です。

"面接"といえど結局はコミュニケーション

採用基準が決まればあとはその基準を満たしているかを判断するための材料を、面接中に会話・非言語部分から集め、判断するにつきます。目的は違えど「目的を達成するための情報を集めるためにコミュニケーションする」「自社に入ってもらうために相手のニーズに合わせて魅力を伝える」という意味では営業と似ているので、営業のスキルセットが存分に使えると個人的には思います。

採用が「労働力を確保」という目的の場合は自社採用以外に外部委託という選択肢を持つこと

鬼の効率化と仕組み化により、思考の余地がない作業により成果を出せるオペレーションが社内で整った際には、誰かを採用するだけでなく外部委託サービスを使って業務を切り出すことができます。場合によっては時給は高くなることがありますが、採用の手間が省けることがあるので選択肢として持っておくと良いと思います。

さいごに

今では採用、育成、権限委譲でチームで成果を最大化することがマネジメントすることの本質なのではないかと思っています。さまざまな経験を多分にさせてくれたMatcher株式会社の皆さんに心から感謝です。

なお、Matcher株式会社は就活生が気軽に社会人にOBOG訪問できるマッチングサービス「Matcher」と、新卒採用におけるリソース不足・ノウハウ不足を解決する運用代行型のスカウトサービス「Matcher Scout」というサービスを運営しています。

このnoteを読まれた方の中には新卒採用の人事と社内プロジェクトを兼務している方もいらっしゃると思うのですが、兼務しながら人事をするのは本当に大変です。Matcher Scoutは「運用工数がかかる」というスカウトサービスのデメリットを解消した良いとこどりのサービスなので、ぜひ人事の方は上のHPを見てみてくださいね!

ここまで読んでいただきありがとうございました!

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