Saudade Books

知恵をひろい、歌をおくる。波のページに耳をすませる。本の向こう側にひろがる、あこがれの風景へ。サウダージ・ブックスは「旅」と「詩」と「野の教え」をテーマにする出版社です。文学やアートの本を刊行しています。新刊はアサノタカオ『小さな声の島』

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  • 特集 大阿久佳乃

    『のどがかわいた』『じたばたするもの』の著者で文筆家・大阿久佳乃のエッセイや翻訳、関連するお知らせなどを掲載します。

  • 特集 宮脇慎太郎

    瀬戸内国際芸術祭公式カメラマン、香川在住の写真家・宮脇慎太郎の旅行記やエッセイ、関連するお知らせなどをまとめています。ローカルの風景、人、光。

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    茸の耳 鯨の耳【国内送料無料キャンペーン実施中!】

    詩集 茸の耳 鯨の耳​ 著者 ミシマショウジ 発行 トランジスター・プレス 定価 1800円+税 80ページ B6判 ペーパーバック 装丁 川邉雄 初版発行日 2024年11月30日 ISBN978-4-902951-11-0 紹介文 耳は 草に生まれる 白い草に露の ひかりに踊り踏まれた靴と大地に 耳は生まれる 胸に糸玉をもって生まれてきた 百本 千本 一万本の糸だ 夜の夜を twinkle twinkle 胞子を飛ばし菌糸を織って虹の 鯨が空を泳ぐころ 土の下ではおおきな錦の布が広がる (「夏至 一」より) 究極的には、詩との関係は混沌との関係だと思う。…混沌、それはパンだ、パン生地だ。こねられる、そして、こねる。混沌が歌うのは、舞うのは、悼むのは、われわれだ。その思考に驚き、笑い、救われるような気がし、感動する。 ——管啓次郎「混沌のために」より 夏から冬へ。深い夜の中、野性の音に耳をすませ、世界の傷を夢想する。パンを焼き、詩を書くビート詩人。待望の第3詩集! 解説=管啓次郎、栞文=ヤリタミサコ、小笠原博毅 ​ 目次 ​序にかえて 茸の耳 鯨の耳  夏至  冬至   ​用語人名解説 混沌のために 管啓次郎 ​​ 著者紹介 ミシマショウジ 兵庫県で自家製酵母パン店 ameen's oven を営む。パンを焼き、詩を書く。『現代詩手帖』2017 年10 月号の特集「詩と料理」に作品が掲載。詩集に『Ghost Songs』(黒パン文庫)、『パンの心臓』(トランジスター・プレス)。共著に『敷石のパリ』(トランジスター・プレス)、『舌の上の階級闘争』(リトルモア)など。友人たちと『詩の民主花』を発行し、朗読会をおこなっている。
    1,980円
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    小さな声の島【国内送料無料キャンペーン実施中!】

    随筆集 小さな声の島 著者 アサノタカオ 発行 サウダージ・ブックス 定価 1800円+税 136ページ 46判変形 ペーパーバック 装丁 納谷衣美 初版発行日 2024年4月7日 紹介文 ◎宮崎智之さん評(渋谷のラジオ「BOOK READING CLUB」2024.8.15) 《ことばを受け継いでいく、未来に託していく随筆》 https://open.spotify.com/show/1vbxFmO1tujPxuZFW9AeC2 ◎大森皓太さん評(『地平』2024.7) 《風を感じる本》《著者が旅と暮らしの中で受け取ってきた「さびしい」という言葉は、まさにそうしたうつくしさを放つ詩の言葉である》 戦争、疫病、異常気象。ふと顔をあげれば、日々の暮らしにさす死の影がますます濃くなる暗い時代がそこにある。花にも歌にも詩にも、この暗さを明るさに変える強さはない。……個としてははかなく弱くても、種のいのちがあまねくつづいていく、そのつよさを信じたい。あまねくつづいていくものに根ざす詩のことば に、美しさに、心とからだをやわらかく広げて待機していたい。 ——アサノタカオ 本書より 旅と読書は、「本当に大切なこと」を、さびしさに震える君に教える。 サウダージ・ブックスの編集人である著者が雑誌、リトルプレス、ウェブマガジンに寄稿したエッセイを集成し、未発表の台湾紀行も収録。家族の歴史について、移動と定住について、小さな声を守る詩のことばについて、本のかたわらで考える随筆集。 ​ 目次 プロローグ——旅と詩、五冊の本 1 家族のはじまり 台湾への旅、沈黙への旅 2 旅することと住まうこと ひそやかな約束 アナーキー・イン・ザ・小豆島 ここではない、どこかの港へ 血の繫がりや地域の繫がりは大事ですか? 3 小さな声の島 聴こえてくる声を待ちながら——永井宏 『幼年画』のことなど——原民喜 蔵書返却の旅——塔和子 山尾三省をめぐるふたつのエッセイ 「牛」と「らば」と「烏」、生きのびるうつくしいものたち エピローグ——幕なしのダンス 後記 ​ 著者紹介 アサノタカオ 編集者。1975年生まれ。2000年から3年間ブラジルに滞在し、日系移民の言語生活に関する人類学的調査に従事。その後、東京と香川の出版社を経て独立。現在はサウダージ・ブックスの編集人をつとめるほか、文学・人文社会・アートなどの領域で仕事をしている。著書に『読むことの風』(サウダージ・ブックス)など。明星大学、二松学舎大学非常勤講師。
    1,980円
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    【PDF版】「知らない」からはじまる 10代の娘に聞く韓国文学のこと

    【新装版】 インタビューとエッセイ 「知らない」からはじまる ——10代の娘に聞く韓国文学のこと 著者 (ま)&アサノタカオ 発行 サウダージ・ブックス 定価 900円+税 116ページ 46判変形 ペーパーバック 装丁 納谷衣美 紹介文 ◎ 斎藤真理子さん評(小泉今日子さんのポッドキャスト番組「ホントのコイズミさん #50」2022.03.21) 《10代の人から見るとチョン・セランのことばがこういうふうに伝わるんだ、という。……「後から来る者たちはずっと賢いんだ」というのをこの一冊で味わった》 https://hontonokoizumisan.303books.jp/ep/50#content 「未知の世界を発見する喜びは、いつも知らないものたちの冒険心からはじまる」。サウダージ・ブックスの編集人で韓国文学ファンである父親が、K - POPが好きな10代の娘に話を聞いてみた。憧れのソウルを旅行したこと、韓国の小説を読んだこと。隣の国のカルチャーを追いかける親子の、少しミーハーで少しきまじめな証言を一冊に。インタビュー&エッセイによる韓国文学ガイド。 購入者特典の付録冊子には、(ま)&アサノタカオ「私たちは読みつづけている」を掲載しています。 《作者のチョン・セランには、いまの韓国はそう簡単に幸せになることが許されない暗い時代だっていう考え方があって、暗ければ暗いほど、小さな希望に光を感じられるっていうことなんじゃないの?   だから……ホ先生が通りすがりの子どもに運を分けてあげたいと思うちょっとしたエピソードにもあたたかい価値が生まれるんだと思う。》 ——(ま)「ホ先生が人生の最後に抱く幸福には、でも陰がある」 本書より もくじ はじめに ——「知らない」からはじまる旅と読書 アサノタカオ Ⅰ インタビュー ま&アサノタカオ 「バンタン食堂」で会ったお姉さんは、とてもフレンドリーだった ——BTS聖地巡礼その他 1 距離みたいなものがなくなってメンバーが身近な存在に ——BTS聖地巡礼その他 2 この「むなしさ」は自分と同じ「世界線」にある ——チェ・ウニョン『ショウコの微笑』 ホ先生が人生の最後に抱く幸福には、でも陰がある ——チョン・セラン『フィフティ・ピープル』 思いを話したいと願うようになったから「ことば」が出てきた ——ファン・インスク『野良猫姫』 背負いきれないものを背負っている人たちが何かを封印して生きている ——キム・エラン『外は夏』 問題の原因は目に見えない感情や気持ち、人と人の関係にある ——チョン・セラン『保健室のアン・ウニョン先生』 非日常のあとの日常を普通に生きていく人を描くこと ——チョン・セラン『屋上で会いましょう』 Ⅱ エッセイ 心の矢印が、ぐっと朝鮮半島のほうに傾いた アサノタカオ 忘れられたものたち、忘れてはならないものたち ——ファン・ジョンウン『ディディの傘』 アサノタカオ わからない世界で自分を生きる ——チョン・セラン『声をあげます』 (ま) おわりに ——親子という境域(ボーダーランズ)で話を聞く アサノタカオ 著者紹介 (ま) 2004生まれ。高校生(執筆当時)。K - POPファン、韓国語を勉強中。 アサノタカオ 1975年生まれ。大学卒業後、2000年からブラジルに滞在し、日系移民の人類学的調査に従事。2009年よりサウダージ・ブックスの編集人をつとめながら、現在はフリーランスで編集と執筆の仕事をしている。著書に『読むことの風』(サウダージ・ブックス)、共著に『韓国文学ガイドブック』(黒あんず監修、Pヴァイン)。
    990円
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    茸の耳 鯨の耳【国内送料無料キャンペーン実施中!】

    詩集 茸の耳 鯨の耳​ 著者 ミシマショウジ 発行 トランジスター・プレス 定価 1800円+税 80ページ B6判 ペーパーバック 装丁 川邉雄 初版発行日 2024年11月30日 ISBN978-4-902951-11-0 紹介文 耳は 草に生まれる 白い草に露の ひかりに踊り踏まれた靴と大地に 耳は生まれる 胸に糸玉をもって生まれてきた 百本 千本 一万本の糸だ 夜の夜を twinkle twinkle 胞子を飛ばし菌糸を織って虹の 鯨が空を泳ぐころ 土の下ではおおきな錦の布が広がる (「夏至 一」より) 究極的には、詩との関係は混沌との関係だと思う。…混沌、それはパンだ、パン生地だ。こねられる、そして、こねる。混沌が歌うのは、舞うのは、悼むのは、われわれだ。その思考に驚き、笑い、救われるような気がし、感動する。 ——管啓次郎「混沌のために」より 夏から冬へ。深い夜の中、野性の音に耳をすませ、世界の傷を夢想する。パンを焼き、詩を書くビート詩人。待望の第3詩集! 解説=管啓次郎、栞文=ヤリタミサコ、小笠原博毅 ​ 目次 ​序にかえて 茸の耳 鯨の耳  夏至  冬至   ​用語人名解説 混沌のために 管啓次郎 ​​ 著者紹介 ミシマショウジ 兵庫県で自家製酵母パン店 ameen's oven を営む。パンを焼き、詩を書く。『現代詩手帖』2017 年10 月号の特集「詩と料理」に作品が掲載。詩集に『Ghost Songs』(黒パン文庫)、『パンの心臓』(トランジスター・プレス)。共著に『敷石のパリ』(トランジスター・プレス)、『舌の上の階級闘争』(リトルモア)など。友人たちと『詩の民主花』を発行し、朗読会をおこなっている。
    1,980円
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    小さな声の島【国内送料無料キャンペーン実施中!】

    随筆集 小さな声の島 著者 アサノタカオ 発行 サウダージ・ブックス 定価 1800円+税 136ページ 46判変形 ペーパーバック 装丁 納谷衣美 初版発行日 2024年4月7日 紹介文 ◎宮崎智之さん評(渋谷のラジオ「BOOK READING CLUB」2024.8.15) 《ことばを受け継いでいく、未来に託していく随筆》 https://open.spotify.com/show/1vbxFmO1tujPxuZFW9AeC2 ◎大森皓太さん評(『地平』2024.7) 《風を感じる本》《著者が旅と暮らしの中で受け取ってきた「さびしい」という言葉は、まさにそうしたうつくしさを放つ詩の言葉である》 戦争、疫病、異常気象。ふと顔をあげれば、日々の暮らしにさす死の影がますます濃くなる暗い時代がそこにある。花にも歌にも詩にも、この暗さを明るさに変える強さはない。……個としてははかなく弱くても、種のいのちがあまねくつづいていく、そのつよさを信じたい。あまねくつづいていくものに根ざす詩のことば に、美しさに、心とからだをやわらかく広げて待機していたい。 ——アサノタカオ 本書より 旅と読書は、「本当に大切なこと」を、さびしさに震える君に教える。 サウダージ・ブックスの編集人である著者が雑誌、リトルプレス、ウェブマガジンに寄稿したエッセイを集成し、未発表の台湾紀行も収録。家族の歴史について、移動と定住について、小さな声を守る詩のことばについて、本のかたわらで考える随筆集。 ​ 目次 プロローグ——旅と詩、五冊の本 1 家族のはじまり 台湾への旅、沈黙への旅 2 旅することと住まうこと ひそやかな約束 アナーキー・イン・ザ・小豆島 ここではない、どこかの港へ 血の繫がりや地域の繫がりは大事ですか? 3 小さな声の島 聴こえてくる声を待ちながら——永井宏 『幼年画』のことなど——原民喜 蔵書返却の旅——塔和子 山尾三省をめぐるふたつのエッセイ 「牛」と「らば」と「烏」、生きのびるうつくしいものたち エピローグ——幕なしのダンス 後記 ​ 著者紹介 アサノタカオ 編集者。1975年生まれ。2000年から3年間ブラジルに滞在し、日系移民の言語生活に関する人類学的調査に従事。その後、東京と香川の出版社を経て独立。現在はサウダージ・ブックスの編集人をつとめるほか、文学・人文社会・アートなどの領域で仕事をしている。著書に『読むことの風』(サウダージ・ブックス)など。明星大学、二松学舎大学非常勤講師。
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    【PDF版】「知らない」からはじまる 10代の娘に聞く韓国文学のこと

    【新装版】 インタビューとエッセイ 「知らない」からはじまる ——10代の娘に聞く韓国文学のこと 著者 (ま)&アサノタカオ 発行 サウダージ・ブックス 定価 900円+税 116ページ 46判変形 ペーパーバック 装丁 納谷衣美 紹介文 ◎ 斎藤真理子さん評(小泉今日子さんのポッドキャスト番組「ホントのコイズミさん #50」2022.03.21) 《10代の人から見るとチョン・セランのことばがこういうふうに伝わるんだ、という。……「後から来る者たちはずっと賢いんだ」というのをこの一冊で味わった》 https://hontonokoizumisan.303books.jp/ep/50#content 「未知の世界を発見する喜びは、いつも知らないものたちの冒険心からはじまる」。サウダージ・ブックスの編集人で韓国文学ファンである父親が、K - POPが好きな10代の娘に話を聞いてみた。憧れのソウルを旅行したこと、韓国の小説を読んだこと。隣の国のカルチャーを追いかける親子の、少しミーハーで少しきまじめな証言を一冊に。インタビュー&エッセイによる韓国文学ガイド。 購入者特典の付録冊子には、(ま)&アサノタカオ「私たちは読みつづけている」を掲載しています。 《作者のチョン・セランには、いまの韓国はそう簡単に幸せになることが許されない暗い時代だっていう考え方があって、暗ければ暗いほど、小さな希望に光を感じられるっていうことなんじゃないの?   だから……ホ先生が通りすがりの子どもに運を分けてあげたいと思うちょっとしたエピソードにもあたたかい価値が生まれるんだと思う。》 ——(ま)「ホ先生が人生の最後に抱く幸福には、でも陰がある」 本書より もくじ はじめに ——「知らない」からはじまる旅と読書 アサノタカオ Ⅰ インタビュー ま&アサノタカオ 「バンタン食堂」で会ったお姉さんは、とてもフレンドリーだった ——BTS聖地巡礼その他 1 距離みたいなものがなくなってメンバーが身近な存在に ——BTS聖地巡礼その他 2 この「むなしさ」は自分と同じ「世界線」にある ——チェ・ウニョン『ショウコの微笑』 ホ先生が人生の最後に抱く幸福には、でも陰がある ——チョン・セラン『フィフティ・ピープル』 思いを話したいと願うようになったから「ことば」が出てきた ——ファン・インスク『野良猫姫』 背負いきれないものを背負っている人たちが何かを封印して生きている ——キム・エラン『外は夏』 問題の原因は目に見えない感情や気持ち、人と人の関係にある ——チョン・セラン『保健室のアン・ウニョン先生』 非日常のあとの日常を普通に生きていく人を描くこと ——チョン・セラン『屋上で会いましょう』 Ⅱ エッセイ 心の矢印が、ぐっと朝鮮半島のほうに傾いた アサノタカオ 忘れられたものたち、忘れてはならないものたち ——ファン・ジョンウン『ディディの傘』 アサノタカオ わからない世界で自分を生きる ——チョン・セラン『声をあげます』 (ま) おわりに ——親子という境域(ボーダーランズ)で話を聞く アサノタカオ 著者紹介 (ま) 2004生まれ。高校生(執筆当時)。K - POPファン、韓国語を勉強中。 アサノタカオ 1975年生まれ。大学卒業後、2000年からブラジルに滞在し、日系移民の人類学的調査に従事。2009年よりサウダージ・ブックスの編集人をつとめながら、現在はフリーランスで編集と執筆の仕事をしている。著書に『読むことの風』(サウダージ・ブックス)、共著に『韓国文学ガイドブック』(黒あんず監修、Pヴァイン)。
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はじめまして、サウダージ・ブックスです

知恵をひろい、歌をおくる。波のページに耳をすませる。 本の向こう側にひろがる、あこがれの風景へ。 サウダージ・ブックスは「旅」と「詩」と「野の教え」をテーマにする出版社です。2007年に神奈川県の海辺の町・葉山で活動をはじめました。いつも変わらず大切にしているのは、「小さな声を守ること」です。 わたしたちが作った小さな本を、小さな場所で、人の手から手へと受け渡していきたい。そして、ひとりひとりの行方を照らす小さな灯となるようなメッセージを届けたい。そんな想いを抱きながら、

    • 冬眠をし忘れた熊は耳を奪わない(小笠原博毅)

      冬至の夜に奪われたのが仮面だけでよかった。耳を取られはしなかったからだ。 でもそれは、やってきたのが熊男だったからで、もしも熊だったら耳を持っていかれていたかもしれない。琵琶弾きの芳一のように。なぜなら、熊は余計なお節介をするものだから、仮面の両脇から覗いている奇妙な部位は余計なものだと思い込んでしまうかもしれないから。ラ・フォンテーヌの熊はそんなやつだった。友だちのおじいさんにまとわりつく一匹のハエを追っ払おうとして、そこにあったレンガを投げてしまう熊。レンガはおじいさん

      • 【連載】大阿久佳乃が翻訳するアメリカ現代詩 #5 (フランク・オハラ『ランチ・ポエムズ』)

        アメリカ文学エッセイ集『じたばたするもの』(サウダージ・ブックス)を刊行した文筆家の大阿久佳乃さん。同書で取り上げた詩人たちの作品を、大阿久さんの翻訳でお届けします。 詩 フランク・オハラ 大阿久佳乃 訳 僕は武器庫がその赤褐色のレンガを梳いているのを見た 空にはきらきら光るミルクのレール。 白鳥はどこに行ってしまったのだろう、あの後ろ足が不自由なやつは?   今階段を登っていって   僕は新たな我が家に入る 灰色の   ラジエーターと羊毛でいっぱいになった   ガラ

        • 【連載】大阿久佳乃が翻訳するアメリカ現代詩 #4 (フランク・オハラ『ランチ・ポエムズ』)

          アメリカ文学エッセイ集『じたばたするもの』(サウダージ・ブックス)を刊行した文筆家の大阿久佳乃さん。同書で取り上げた詩人たちの作品を、大阿久さんの翻訳でお届けします。 詩 フランク・オハラ 大阿久佳乃 訳 インスタント・コーヒーにちょっとのサワークリーム を、ちっとも近づいてきそうもない 彼方への電話。 「ああパパ、何日も酔っ払ったままでいたい」 新しい友だちの詩の上で 僕の人生は 人々の見える手の中で 不安定に保たれている、彼らの、僕の不可能性。 不可能なんてなかった

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        はじめまして、サウダージ・ブックスです

        • 冬眠をし忘れた熊は耳を奪わない(小笠原博毅)

        • 【連載】大阿久佳乃が翻訳するアメリカ現代詩 #5 (フランク・オハラ『ランチ・ポエムズ』)

        • 【連載】大阿久佳乃が翻訳するアメリカ現代詩 #4 (フランク・オハラ『ランチ・ポエムズ』)

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        • 特集 大阿久佳乃
          7本
        • 特集 宮脇慎太郎
          7本

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          【お知らせ】10/18(金)18:30〜大阪・阪急水瀬駅前の長谷川書店で開催されるトークイベント「書物に吹きわたる風」にアサノタカオが出演します

          2024年10月18日(金)18:30~大阪・阪急水瀬駅前の長谷川書店で開催されるトークイベント「書物に吹きわたる風」にアサノタカオが出演します。 文学研究者の阪本佳郎さんとの対談です。阪本佳郎さん『シュテファン・バチウ』(コトニ社)と、アサノタカオ『小さな声の島』の刊行記念イベントです。ぜひご参加ください。

          【お知らせ】10/18(金)18:30〜大阪・阪急水瀬駅前の長谷川書店で開催されるトークイベント「書物に吹きわたる風」にアサノタカオが出演します

          【連載】大阿久佳乃が翻訳するアメリカ現代詩 #3 (フランク・オハラ『ランチ・ポエムズ』)

          2023年にアメリカ文学エッセイ集『じたばたするもの』(サウダージ・ブックス)を刊行した文筆家の大阿久佳乃さん。同書で取り上げた詩人たちの作品を、大阿久さんの翻訳でお届けします。 オハラ・モノガタリから2篇の詩 フランク・オハラ 大阿久佳乃 訳 1 僕の愛はグラスにいれられてやって来る ブルボン家の血 サクソフォンかコルネット どこだっていい ケンタッキー州の緑のガラスの花 そしていつも同じハンカチが ダマスクの同じ鼻に 豪奢な襟を立て スカーフを僕の首に投げか

          【連載】大阿久佳乃が翻訳するアメリカ現代詩 #3 (フランク・オハラ『ランチ・ポエムズ』)

          【お知らせ】宮脇慎太郎写真集『霧の子供たち』を香川県教育委員会に寄贈しました

          サウダージ・ブックスより、宮脇慎太郎写真集『霧の子供たち』を香川県教育委員会に寄贈しました。 本書は、四国・祖谷(いや)の風景とそこに生きる人々を記録した作品集です。今後、県内高校の図書室などに所蔵される予定です。地域社会の教育や文化振興にご活用いただければ幸いです。

          【お知らせ】宮脇慎太郎写真集『霧の子供たち』を香川県教育委員会に寄贈しました

          【連載】大阿久佳乃が翻訳するアメリカ現代詩 #2 (フランク・オハラ『ランチ・ポエムズ』)

          2023年にアメリカ文学エッセイ集『じたばたするもの』(サウダージ・ブックス)を刊行した文筆家の大阿久佳乃さん。同書で取り上げた詩人たちの作品を、大阿久さんの翻訳でお届けします。 ラフマニノフの誕生日に フランク・オハラ 大阿久佳乃 訳 急げ! 俺の気が狂う前の 最後の詩だ。ああラフマニノフ! マサチューセッツ・オンセット(1)。ホルンを吹いて いるのはフィグ・ニュートン(2)? 雷鳴のような地獄の窓、おまえの管は 粉々に砕けてしまわないのか? ああ俺のオレンジの宮殿、

          【連載】大阿久佳乃が翻訳するアメリカ現代詩 #2 (フランク・オハラ『ランチ・ポエムズ』)

          【お知らせ】9/22(日) 12:30〜18時、東京・新小岩のにこわ新小岩で開催される第26回TOKYOポエケットに出店します

          2024年9月22日(日) 12:30〜18時、東京・新小岩のにこわ新小岩で開催される第26回 TOKYO ポエケットに出店します。 エッセイ集『じたばたする』の著者で文筆家の大阿久佳乃さんが来場し、サウダージ・ブックスのブースでサイン会を開催する予定です。ぜひご来場ください。 大阿久さんの滞在時間など詳細はXのアカウントでお知らせします。https://twitter.com/saudadebooks

          【お知らせ】9/22(日) 12:30〜18時、東京・新小岩のにこわ新小岩で開催される第26回TOKYOポエケットに出店します

          【新刊案内】【PDF版】アサノタカオ随筆集『読むことの風』

          アサノタカオ随筆集『読むことの風』のPDF版(ダウンロード販売の商品)を、オンラインショプ限定の特別価格で販売します。 本書は、旅と読書をテーマにした随筆集です。2020年10月に刊行し、2刷・累計1500部を完売しました。 いますぐ本の内容を知りたい、という方にPDF版をおすすめします。スマートフォンやタブレットで気軽に読むことができ、移動中の読書にも便利です。

          【新刊案内】【PDF版】アサノタカオ随筆集『読むことの風』

          【メディア】『小さな声の島』の書評が『地平』に掲載されました

          アサノタカオ随筆集『小さな声の島』の書評が月刊『地平』創刊号に掲載されました。書店員によるリレー書評「個と場と本」で、評者は大森皓太さん(京都・鴨葱書店)。 《風を感じる本》《著者が旅と暮らしの中で受け取ってきた「さびしい」という言葉は、まさにそうしたうつくしさを放つ詩の言葉である》 素晴らしい評のことばをお贈りいただきありがとうございます! 大森皓太さんが東京・三鷹で営む UNITÉ で『小さな声の島』を販売しています。お店でぜひ手にとってご覧ください。ウェブショップ

          【メディア】『小さな声の島』の書評が『地平』に掲載されました

          【連載】大阿久佳乃が翻訳するアメリカ現代詩 #1 (フランク・オハラ『ランチ・ポエムズ』)

          2023年にアメリカ文学エッセイ集『じたばたするもの』(サウダージ・ブックス)を刊行した文筆家の大阿久佳乃さん。同書で取り上げた詩人たちの作品を、大阿久さんの翻訳でお届けします。 音楽 フランク・オハラ(1) 大阿久佳乃 訳   もし僕が騎馬像(2)の近くでちょっと休み メイフラワー・ショップでレバーソーセージのサンドウィッチのために足を止めたら あの天使はバーグドルフ・デパート(3)の中へ騎馬を率いていってるように見える 僕はテーブルクロスと同じくらい裸で、神経がハミ

          【連載】大阿久佳乃が翻訳するアメリカ現代詩 #1 (フランク・オハラ『ランチ・ポエムズ』)

          【新連載】大阿久佳乃が翻訳するアメリカ現代詩

          2023年にアメリカ文学エッセイ集『じたばたするもの』(サウダージ・ブックス)を刊行した文筆家の大阿久佳乃さん。同書で取り上げた詩人たちの作品を、大阿久さんの翻訳でお届けします。 2024年初夏より連載をはじめます。どうぞお楽しみに!

          【新連載】大阿久佳乃が翻訳するアメリカ現代詩

          【お知らせ】4/21(日)13:30〜三重のHIBIUTA AND COMPANY にて、『小さな声の島』刊行トークイベント(出演:アサノタカオ、大阿久佳乃)を開催します

          2024年4月21日(日)13:30〜15:30、三重・津の HIBIUTA AND COMPANY/日々詩書肆室で、『小さな声の島』(アサノタカオ)刊行トークイベントを開催します。 著者でサウダージ・ブックス編集人のアサノタカオと、文筆家の大阿久佳乃さんが「旅と読書」というテーマで対談します。ぜひご参加ください。

          【お知らせ】4/21(日)13:30〜三重のHIBIUTA AND COMPANY にて、『小さな声の島』刊行トークイベント(出演:アサノタカオ、大阿久佳乃)を開催します

          【ためし読み】アサノタカオ随筆集『小さな声の島』

          台湾への旅、沈黙への旅  二〇〇八年、妻の実家のある大阪から、旅ははじまった。  木造家屋の居間に忍びこむ冬の気配にからだを震わせながら、マッチを擦って一年ではじめて石油ストーブに火をいれた。青い炎の光にじっと見入りながら指先を温め、夜遅くまで、家族三人分の荷物を一個のスーツケースに詰めこもうと悪戦苦闘していた。風邪ぎみの妻と娘は、すでに二階で休んでいる。リュックサックを背負って、身一つでブラジルの南回帰線上を旅して汗を流していたかつてとちがい、日本で結婚してからの、幼い

          【ためし読み】アサノタカオ随筆集『小さな声の島』

          【新刊案内】アサノタカオ随筆集『小さな声の島』

          サウダージ・ブックスより、アサノタカオ随筆集『小さな声の島』を2024年4月上旬に発売します。 【書店様へ】サウダージ・ブックスおよびトランジスター・プレスの本は、直接取引を中心に販売と流通をおこなっています。取引条件をこちらで公開しています。「一冊!リトルプレス」からもご注文いただけます。 随筆集 小さな声の島 著者 アサノタカオ 発行 サウダージ・ブックス ​ 定価 1800円+税 136ページ 46判変形 ペーパーバック 装丁 納谷衣美 初版発行日 2024年4月

          【新刊案内】アサノタカオ随筆集『小さな声の島』