エッセイ集『じたばたするもの』の「はじめに」(大阿久佳乃)
中学の後半くらいから本を読みはじめた、と思う。いわゆる文学作品を読むようになったのがその時点で、それまでぼんやりとしか感じなかった言葉の重さや、その不思議、美しさが意識されるようになった。はじめは日本のものが多かったと思う。日本の近現代詩を読んで、エッセイと戯曲も少し読んで、あまり小説は読んでいなかった。
シェイクスピアやギリシャ悲劇が覚えているかぎり最初の、大きな海外文学体験だ。不登校のとき、市立図書館で全集を読んだ。中学から高校の前半の海外文学は戯曲が中心で、のちにフラ