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【書籍紹介】圧倒的な価値を創る技術(ゲシュタルトメーカー)
「若い人と、年配者のどちらの方が頭が柔らかいでしょうか?」
こう聞かれたら多くの人が「若い人」と答えるのではないでしょうか?
若い人は頭がまだ柔軟で色んなことを発想できる。
それに比べて年配者は過去の成功体験に縛られて、新しい発想をすることが出来ないというのが、世の中にあるステレオタイプなイメージではないかと思います。
しかし私はこれは条件設定によって大きく変わると思っています。
若手よりも年配者のほうが発想が自由だった?
つい最近、私はある大手企業の管理職向けに研修を実施しました。
その研修は「固定概念を外して、新しい発想を生み出すための知識」に関する内容でした。
約100名の管理職に対して30名ずつ3日間に分けて同じ内容を実施しました。
1日目は部長・役員クラス、2日目はマネージャー(課長)クラス、3日目はリーダー(係長)クラスと、初日は平均年齢50歳、2日目は40歳、3日目は30代といった構成になっていました。
当初企画を練っているときには1日目の部長・役員クラスの人たちに古い価値観を捨ててもらい、彼らの凝り固まった頭を柔軟にしてもらうことが目的と考えていました。
そして実際に研修を行ってみると、その目論見は成功し、部長・役員の方たちからは「自分の考えが画一的になっていることにあらためて気が付いた」「良い研修だった」と高評価を頂けたのです。
また裏目標として若手には、柔軟な思考で新しいアイデアを出すための気づきの場になれば良いと思い、実際それはそんなに難しくないだろうと考えていました。
ところが実際に研修を行ってみると、2日目、3日目になるにつれて、研修中に出てくるアイデアがどんどん乏しくなっていったのです。
1日目の部長・役員クラスが今の枠組みに捕らわれない発想を出していたのとは違い、中堅、若手になればなるほど、今の組織の枠組みの中でしか発想をすることが出来なかったのです。
(「そういう枠組みを外して自由に発想して良いんですよ」という投げかけをしているにも関わらずです)
この時に私は「若手よりも年配者のほうがはるかに頭が柔軟じゃないか」と驚いたのでした。
自由な発想には「自分の頭で考える」という経験が必要
これは私の仮説ですが、部長・役員クラスが柔軟な発想が出来たのは、過去に会社が変わってきたことを経験していることが大きな理由ではないかと思いました。
彼らは会社がまだ小さなときに何度も修羅場をくぐり、そのたびに会社が変わってきた現場にいました。さらに言えば彼ら自身が会社を変化させた経験があるのです。
ところが若手は、過去に会社が変わってきた実体験がないまま、現在ある程度出来上がった「枠組み」の中で最高のパフォーマンスを発揮することを求められてきました。
いうなれば、「枠組みを作る経験」と「枠組みの中で最高を目指す経験」の差だと言えます。
そして研修ではこの「枠組みを外して考えるための方法」をお伝えしたときに、部長・役員クラスからすれば「そういえば昔はこんなことばかり考えてたな。すっかり忘れてたよ」と過去に自分が経験したことを再体験するような感じだったのだと思います。
ところが若手管理職層は「枠組みを作る」という経験がないため、枠組みを外して考えてみようと言われても、その意味すら理解することが出来なかったのだと思います。
つまり、人間はその求められていることを、自分の頭で考えて実行に移すという経験をしない限り、それを行うことが難しいのです。
「ゲシュタルトメーカー」になる必要性
この「新しい枠組み」を作る作業というのは、実際には既存の知識や経験したことをより良い形に統合して、新しいやり方や概念を作り出す作業になります。
この新しい枠組みを作る能力のことを「ゲシュタルト能力」と言います。
そしてこの「ゲシュタルト」を作ることが出来る人のことを本書の中では「ゲシュタルトメーカー」と読んでいます。
ゲシュタルト能力:
ばらばらに存在しているものを一まとまりの概念として捉える能力のこと
実は私たちが仕事で本当に求められていることとは、この「ゲシュタルト」を作ることなのです。
既存の枠組みの中で、その最高を目指すことももちろん価値がありますが、今の世の中においては「ゲームチェンジャー」と呼ばれる枠組み自体を全く新しくして業界を再構築してしまう会社が成長していっています。
トヨタとテスラ、タクシー会社とUber、ソニーとアップル、TVとネットフリックスなど、今のビジネスの世界は既存のゲシュタルトと、新しいゲシュタルトとの戦いと言っても過言ではありません。
つまりこれからの時代は、私たち一人一人がゲシュタルトメーカーになることが求められているのです。
ではどうしたら私たち自身がゲシュタルトメーカーになることが出来るのでしょうか?
この本で最もおススメしているのは、ある一つの学問をしっかり修めるために「博士号」を取ることだと言っています。
つまり大学の博士課程を修了するということです。
「え、今から?」と思われた方もいるかもしれませんが、今の世の中では中途半端な知識を持っているだけでは本当のゲシュタルトメーカーにはなれません。
「博士(Ph.d)」とはその学問において研究者として独り立ちできるレベルにあるということを証明されたということです。
つまり研究者としてのスタートラインに立ったということなのですが、しかしその分野に関してはプロフェッショナルと認められた証でもあります。
そのレベルの知識を身に着けて初めて「本当のゲシュタルトメーカー」になることが出来るのです。
実際に社会人のなってから大学院で学びなおすことは、日本ではまだ珍しいですが、海外では比較的当たり前になっています。
最近ではお笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳さんも慶応大学大学院を卒業しました。
そして今ではお笑い芸人という枠組みではなく、メディア全般に関するコメンテーターとして活躍をされています。
他にも世の中で新しい価値を生み出している方や、その分野のプロとして認められている方の多くが「博士号」を持っています。
無理だと思わずにやってみることが大事
とはいえ、自分には難しいという人も多いと思います。
しかし、この「無理だ」という考え自体が自分の「枠組み」に捕らわれていることに他なりません。
もし皆さんが「自分も新しい価値を生み出すゲシュタルトメーカーになりたい」と考えているのであれば、まず自分が持っている枠組みから一度はみ出してみる必要があるのではないでしょうか?
自分の枠組みの中でいくら頑張っても、それは枠組みを出ることにはなりません。もしかしたらその枠組み自体が誰かほかの人が作った枠組みかもしれないのです。
自分が一歩でも枠組みから出る勇気を持ちたいのであれば、この本を読むことはとても価値があると思います。
ぜひ一度手の取ってみていただければと思います。
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