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ナナメの夕暮れを読んで

鬱がひどかった時はとにかくインプットができなかったので、読み切るまでに冗談抜きで3ヶ月くらいかかった。

読書が好きな自分からしたら、今まで当たり前にできていた読書ができないことが辛くて、読書自体を嫌厭してしまうようになっていた。

それでも、読めそうな時にちまちまと読むうちに、だんだんと読みたいという意欲が湧くようになった。
ついに読了したので、読んだ感想をまとめたいと思う。


すごく沁みた。ものすごくよかった。
読み終えたこの瞬間から、もう最初から読み直したいと思っている。

宿題以外で感想文なんて書いたことないし、一度読んだ本を読み返すことはあまりない。

でも、今はこの本を読んで感じたことを書きたいと思ったし、残したいと思った。

今まで生きてきた中でずっと感じ続けてきた「生き辛さ」の正体をこんなにも鋭く、はっきりとした文体で描き出すその言語化力に感動した。

自分がずっとずっとずっと感じていたけど、うまく言えなかった苦しさが、言葉として表現されていて、「ああ、こういう風に感じてたのは私だけじゃなかったんだ」と救われた。

ここ数年のうちで「私は独りじゃないんだ」と初めて思えた。

誰とも分かり合えない、理解されない、苦しい、辛い、しんどいという気持ちたちが見事に昇華させられた。

まるで自分のしんどさが理解されたように感じて、嬉しくて、読み進めるうちに涙が滲んだ。

なぜ周りのみんなは楽しそうに生きているのか?
なぜみんな当たり前のように働けているのか?
なぜ私はこんなに苦しんで生きなければならないのか?

ずっとずっと、考え続けてきたけど、
未熟な23歳の自分のしょうもない頭だけでは、
「できないのは全部自分のせい」という答えにしか辿りつけなかった。
考えれば考えるほど、生きるのが辛くて、
感じないようにしても、気にしないようにしても無理で、どうしようもなかった。

朝井リョウさんの解説にあった
「著者はわからないということに対して、とても素直だ」という言葉。

高校時代、数学の先生がくれた
「わからなさをずっと自分の中にもち続けること」という言葉にリンクした。

ああ、わからなくていいんだ。
無理に分かろうとして、無理矢理答えを出そうとして、全部全部自分のせいだって結論づけなくてもいいんだ。
なんでかなあ、なんでこんな生き辛いんかなあ…
なんでみんなできるんだろうなあ…って悩んで、悩んで、悩み続けて、なんとかわかろうともがき続けるうちに、
いつか、いつか光が差すんだとこの本を読んで希望がもてた。

私はもともとこういう性格だから、気にしすぎることは仕方ない!と開き直った大学生のときと同じくらい、重い心の枷がカシャンと外れた気がした。

「悩むって体力なんだな」
「ネガティブって有り余る体力だ」
という本文から思ったことだけど、歳を重ねて、今よりもっともっといろんなことを経験するうちに、悩みたくても悩むことすら少なくなっていく。

一生悩み、苦しみながら生きていくしかないと、これからの人生を悲観していた自分に対する、人生の先輩若林からのとても心強いアドバイスだと思った。

なんなら、どうせいつか悩みたくても悩めなくなるなら、今めっちゃ悩んで、いろんなこと考えてやろうとすら思えた。

この悩みが、苦しみが、私の人生の肥料となって、いつかなにか大きなものを開花させてくれる気がした。

私は若林さんとは一言も会話していないのに、充分過ぎるほど話を聞いてもらったような満足感があった。
今まで、どれだけ言葉を尽くして、自分の辛さを語っても語っても拭えなかった心の闇が晴れた気がした。

「合う人に会う」
私もそう生きていきたい。
間違いなく若林さんは私に合っていたし、私はこの本に出会えて、同じ感覚をもって生きている人がいるということを知れて、本当に救われた。

たくさん悩んで傷ついてきた人の言葉は信じられるし、心に沁みる。
辛くても、ダサくても、生きていこうって思えた。

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