「映画感想」キセキの葉書
実は、この映画の感想を書いていいものか否かと、とても迷った。
と言うのは、大好きなnoterのきむみ23さんも現在、大切な大切な次女さんの介護をされている。
ううん、そうじゃないな、ごめん。一緒に暮らしてるんだよね。
それに先日のような心ないコメントが、この記事に寄せられては嫌だと思ったからだ。
でも、書こう。
きむみさんはきっと誤解しないでくれる人だ。それに、それだけの感動をこの「キセキの葉書」は、私に与えてくれた。
ここからは大いにネタバレを含みます。
舞台は阪神・淡路大震災から半年後の兵庫県西宮市の団地だ。主人公 原田美幸(鈴木紗理奈)は、重度の脳性まひの娘 望美の介護で疲れ果てて暮らしている。台所にたまる汚れた食器、出し忘れたゴミ袋…色んな事を犠牲にしても24時間体制の介護で疲労疲弊していく様は見るに耐えない。
美幸は責任感が強く、望美の介護を一人で背負っている。彼女はそんな暮らしの中で摂食障害、睡眠障害を患ってしまう。
そんなある日、堤防を走る赤い車を見て「私は望美ちゃんが居るから何処へも行かれへん」と叫んでしまう。しかし、苦悩の末に彼女は立ち上がる。
このままでいいんや、このまま幸せになるんや!
そんな頑張り屋さんの彼女をまたもさらなる試練が襲う。遠く大分県で暮らす母が認知症とうつ病を患ってしまうのだ。
どこにも望みがない。
父は美幸に助けを求めるが、彼女は望美の介護ために田舎へは帰郷出来ないとハッキリと断る。
「死にたい、死にたい」
と訴える母と脳性まひのためなのか痙攣を起こす娘の間で、美幸は更に落ち込んでいく。その上、夫はケンブリッジ大学へ海外赴任してしまった。
私なら、どうしただろう?全く方法が思いつかない(泣)
しかし美幸はある決断をする。それが題名の「キセキの葉書」と「公募」へのチャレンジだった。
毎日毎日「おもろいこと」を探して母へ手書きの葉書を送り続ける。その合間には娘のベッドの隣で児童文学を書き続ける。
「おもろいこと」が無くなると今度は望美のお兄ちゃん、美幸の小学生の息子の出番だ。このお兄ちゃんが実に健気で泣かせてくれる。
ううん、明るくて楽しい息子なんだけど、本当に素敵な子なんだ。家族って、いいなってこの子の存在が教えてくれる。いや、もう一つ大切な事があった。美幸夫婦が国際電話で交わした言葉が私の心に突き刺さった。
「望美ちゃんが、私ら夫婦を親にしてくれた先生や」
美幸の言葉に夫は電話口で深く頷いた。
それから彼女は13年間5000通に上る「葉書」を書き続け「キセキ」を起こす。
その「キセキ」とは?「公募」へのチャレンジの結果は?
観て欲しい。
この物語は
「希望のスイッチは、くすっ」
という脇谷 みどりさんの著者に基づく実話を元に作成された。
阪神・淡路大震災の爪痕が大きく残る被災地の状況下で関西人らしく明るく乗り越えようとする人々の姿も垣間見られる。
この映画は決して障害児「だけ」を取り上げた話しではない。母として娘として、人間として「生きる」ことを教えてくれる映画だと私は思う。
お薦めだ。
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