マガジンのカバー画像

短編小説

78
今まで書いた短編集です。
運営しているクリエイター

#短編小説

「掌編小説」ラムネの音#シロクマ文芸部

ラムネの音がした。 ボンッ 目を覚ますと見知らぬ部屋に寝ていた。 うーん…此処は何処だっけ…

sanngo
4か月前
51

「掌編小説」スキャンダル#青ブラ文学部

寂しかったの、ええ、それだけよ。 えっ、他に何かなかったのか?って それしか私には、何の…

sanngo
5か月前
47

「短編小説」祈りの雨

二階の寝室の窓に打ちつける風の音が、うぉーうぉーとまるで狼か野生動物のような音を響かせて…

sanngo
7か月前
55

「短編小説」〜ムーンリバー&手のひらの恋〜NNさん企画#青ブラ文学部

海に浮かぶ月光を「ムーンリバー」と呼ぶと覚えたのは、幾つの歳だっただろう。 母方の祖父の…

sanngo
7か月前
81

「ショート」手のひらの恋#青ブラ文学部

恋なんてものは、始まりはドラマティックだけど終わりは、どれもありきたりなものじゃない? …

sanngo
8か月前
53

「ショート」桜色の口紅#シロクマ文芸部

桜色にほのかにパールが入った口紅を見た時、私は欲しくて欲しくて堪らない衝動にかられた。あ…

sanngo
8か月前
49

「短編小説」 暗々裏

「全部、コロナのせいだ」 空席だらけのホールを眺めながら、店主の須藤 貴樹はため息をついて頭を抱えた。 三年前の開店と同時に、須藤のレストラン「Chouchou」をコロナが襲った。緊急事態宣言、まんぼう、呼び方は変わっても人々が「不要不急」の外出を控えることに変わりはなかった。開店したばかりだった須藤のレストランも、もちろん休業を余儀なくされた。再開しても、一テーブルの収容人数は限られ、透明なアクリル板で区切らなければならなかった。それでも人は、なかなか出歩かなかった。 国

「短編小説」 朧月#シロクマ文芸部

朧月が春の夜空にぼんやりと浮かんでいた。 楼主のおやじさまが、ちり紙に包んだ星のようなお…

sanngo
8か月前
68

「短編小説」閏年に#シロクマ文芸部

閏年に一度、母は私に逢いにくる。 うっすらと覚えているのは、四歳の時、砂場で遊んでいた私…

sanngo
9か月前
67

「短編小説」聖母マリアは死なない 5

「どういうことだ?!」 日頃、丁寧過ぎるほど丁寧な言葉遣いと所作のホテルマンが険しい顔と…

sanngo
11か月前
35

「短編小説」出来そこないの死神 【まくらさん共同マガジン企画】

「因果な商売についちゃったよな…」 ビュービューと冷たい風が吹き荒ぶ古い病院の屋上でレオ…

sanngo
11か月前
46

「短編小説」聖母マリアは死なない 4

殺すターゲットは決まった。 でも、大の男を私が殺せるかしら? スクラップブックを両手で抱き…

sanngo
11か月前
42

「短編小説」聖母マリアは死なない 3

「二人じゃ足りない」 保証人を立てなくても借りられる安アパートに帰って実花は考えていた。…

sanngo
11か月前
41

「短編小説」聖母マリアは死なない 2

担当の部屋を全て整備し終わると、実花は私服に着替えるためにロッカールームに向かった。 「お疲れ様です」 「お疲れ様〜」 次々とノルマを終えた同僚達が帰って来る。 派遣のパート社員ばかりのこの仕事の平均年齢は高い。現役を退いて年金だけでは暮らせない女性が殆どだ。連れ合いを亡くしたり、離婚経験者だったり、それなりの苦労を背負った人達が、表は華やかなホテルの裏方作業をひっそりと背負っている 皆、それぞれに心に傷を持つ者達はお互いのプライベートを深く詮索しない。 実花は友人を作る気は