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短編小説

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今まで書いた短編集です。
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#シロクマ文芸部

寒い日に#シロクマ文芸部#ミリしら解説

「寒い日に」 【掌編小説】 寒い日にかぎって、手ですくえそうな満天の星から、滑り落ちたよ…

sanngo
2週間前
72

「夢を見る…」#シロクマ文芸部#ハモ美術館

夢を見る消しゴム? 路地裏の文房具店の店先で、ごったに入ったセール品のカゴの中から申し訳…

sanngo
1か月前
73

北風と…#シロクマ文芸部

【北風と…】 「北風と凪は仲が悪いのさ」 数本残った前歯から、話をする度にスースーと空気…

sanngo
2か月前
61

十二月の朝 #シロクマ文芸部

十二月なのに、霧深い朝のことだった。 容赦なく降り続いた雨が、やっと終息を迎えた朝、自転…

sanngo
2か月前
61

働いて…【掌編小説】#シロクマ文芸部

           働くの、日本人は働き者なの。       そんな男のお話だよぉ〜 働…

sanngo
2か月前
65

爽やかな#シロクマ文芸部

🎃「Happy Halloween」🎃 爽やかな朝だった。空は高く蒼く澄みわたり、空気の中に鼻腔をくす…

sanngo
3か月前
57

ブーケ・ドゥ・ミュゲ#シロクマ文芸部

木の実と葉が、さえずっている、 囁いている、ざわめいている。 公園のベンチに座り、カサカサと乾いた音を立てている落ち葉を踏みしめながら、私は本を広げて、その話に耳を傾けてみた。 「私の方がお姉さんよ」 木の実が言うと 「数十年経って、貴女はやっと私に成れるのよ。だから私の方がずっと年老いているの」 大きな樹に付いた一枚の葉が言う。 どっちでもいいじゃない。 私はクスッと笑いながら、恋愛小説にまた目を落とした。 「ブーケ・ドゥ・ミュゲ」 すずらんの花束と言うタイトルが付い

「夕焼けは」#シロクマ文芸部

夕焼けは、遠くに連なる山々を紅く燃え上がらせ、やがてゆっくりと夜へと溶けていった。 夜は…

sanngo
4か月前
57

風の色は…【掌編小説】#シロクマ文芸部

「風の色は、何色ーー?」 通学路にあたる堤防の道で、両手を広げ川に向かって叫んでいたのは…

sanngo
4か月前
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月の色は【掌編小説】#シロクマ文芸部

月の色は、何色なの? 幼かった私は問うた。 父はランニング姿で、テレビの巨人戦を観ながら…

sanngo
5か月前
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懐かしい…【掌編小説】#シロクマ文芸部

「憧憬」 懐かしい友人 千恵からラインが入ったのは、一昨日の事だった。どんよりと空に広が…

sanngo
5か月前
61

「レモンから」#シロクマ文芸部

「恋する檸檬」【掌編小説】 レモンから弾むように飛ばされた雫は、迷うことなく一直線に弥生…

sanngo
5か月前
70

流れ星【掌編小説】#シロクマ文芸部

流れ星が、私の指の隙間からこぼれ落ちた。 見上げた宙から、またひとつ弾き飛ばされたビー玉…

sanngo
5か月前
58

花火と手…「墓詣り」#シロクマ文芸部

「墓詣り」 花火と手桶を携えて、私は白い玉砂利が敷かれた遊歩道に足を踏み入れた。ジャリッ、ジャリッと小気味良い振動が黒いパンプスの踵から脚に伝わってくる。 歩道の脇には晩夏の陽射しを浴びて、猛々しく生い茂った木々達がサラサラと音を立て自慢の葉を揺らしていた。まるで私に 「何処へ行くの?何処へ行くの?」 と囁きかけているようだ。 そんな囁きを無視して、私は永遠に伸びているような白く長い道の果てに向かって歩いた。額や首元から吹き出してくる汗を拭いもせずにひたすら目的に向かって歩