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2023 立春 東風解凍(はるかぜ こおりを とく)

節分を越えて、ついに、暦の上では春になってしまった。日が昇る時間は刻一刻と早くなり、日が沈む時間もまた刻一刻と遅くなっている。

といえども、特に朝晩の空はシンと澄みきって、家中が底冷えする寒さが続いている。あまりにも寒いから、学生の時ぶりに電気毛布を出動させている。

温かい季節はきっと、近づいているのだろう。それでもまだまだ、「冬」という言葉がしっくりくるような、そんな気がする。

今回のお稽古は、唐物で濃茶、流し点てと筒茶碗で薄茶を。【あたたかいお茶を、あたたかいままに楽しむ】がテーマ。

【唐物】

水屋の準備はもう大丈夫。それでもやっぱり、暦の上では春だから……が頭のどこかに残っていて、茶入れに被せる仕覆は萌黄色をチョイス。春に萌え出る草の芽を表すこの色は、先生のお気に入りの色らしい。

平安時代から、日本の色として大切にされているこの色は、見ているだけで心を元気にさせてくれる。そういえば、学生時代の同級生も名前に「萌」があって、この「萌黄色」が由来だったと聞いたことがある。

水指の蓋の運びや柄杓の扱いはまだまだ課題が残るけれども、なんとなく流れは分かるようになってきた気がする。このお点前月ができるのは、たぶん、風炉を出してから。また、次の季節もよろしくね。

【流し点て】

これはもう、今年に入って3度目のお点前。寒い季節に、小さな茶室であたたかい炉を囲みながら、近しい人と何度も同じ茶碗を使ってお茶をいただき合うこぢんまりとしたお点前。

ご時世柄、同じ茶碗を回し合うわけにはいかないけれども、先生とわたしとでそれぞれ茶碗を持ち合い、節分のお豆をいただきながらほっとひと息。

お豆は、砂糖がまぶしてある大豆で、先生の元教え子さんのところから購入しているとのこと。わたしの生まれ故郷の仙台は節分で落花生を撒いて食べるのだけれども、わたしはナッツ類全般が苦手なので、ここ関東は大豆文化でよかったなぁと思う。

【筒茶碗】

最後は、お薄を筒茶碗で。筒茶碗は、名前の通り筒のように口が小さくて背の高いお茶碗でお茶を点てるお点前。

冬のこの時期は、ブクブクと熱いお釜でお湯を沸かしても、お客様に点てたお茶を出す頃には、少しぬるくなってしまう。だけれども、筒茶碗はお茶碗の背が高いことでお茶の温かさがより保たれるので、お客さんがツーッとお茶を口に含むタイミングに、ベストな味を楽しむことができる。

暦の上では春でもやっぱり、お客さんへのおもてなしは、寒い日仕様。お水やお湯を扱うから、夏は涼しげに、冬は暖かく見せられるお点前を、その日にあわせて選んで教えてくださる先生、やっぱりすごいなぁ。

帰りには、「おうちで食べなさい」と美味しいどら焼きとお家で撒く用のお豆をちゃっかりいただいて帰路につきました。

ちゃあんと数え年ぶん、30の豆をいただいて、無病息災に暮らすぞ。

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