2022 小雪 朔風払葉(きたかぜ このはを はらう)
「炉開き」という【お茶の世界のお正月】に向けてお稽古を重ねた日々を終え、気付けば季節を表す言葉に「雪」なんて言葉が出てきてしまった。そういえば、今週末はもう12月。
明日は久しぶりのお稽古だとお稽古道具を用意していると、一枚の写真が送られてきた。
2023年卯年、最初のお茶会「初釜」のお役目表だ。お茶会にはそれぞれ役割があって、前回のわたしはお茶を点てるお湯を沸かすための「初炭」兼三人目のお客様「三客」のお役目だった。そして、そのお茶会の最後に
とさりげなく言われてはいたけれど。でも、いざ
さんまり 薄茶
と書かれたお役目表が送られてくると、背筋がピーンと伸びるような気持ちになる。これを、お稽古前夜に送ってくる先生は、かなりの策士。
この日のお稽古は、「初釜」で扱う予定の「長板」という改まった席で用いられる棚ものの一種を使う。今まで、お姉様方の真似事でちょっと使わせていただいたことはあったけれど、本格的にお稽古をするのは初めて。
ひとつひとつ確認しながらお点前をしてみたけれども、どこかぎこちない。どこがぎこちないのか言葉にできないけれど、とにかくぎこちない。
と、砂を噛むような気持ちでいたらそれを汲み取ってくれた先生が
と、お手本をしてくださった。
ご時世柄……ということもあって、お茶会以外のタイミングで他の方のお点前を見て学ぶという機会がなかなかないわたしにとって、誰かが、しかも先生が、お点前の一連の流れを見せてくれるというのはとても貴重な時間で。
帛紗を捌くテンポや水指の蓋を扱う動線の何から何まで、じっくりとマジマジと眺めた。先生の点ててくださったお茶は、じんわり熱くて、ツーッと、私の身体を芯から温めてくれた。
途中、普段のわたしが止まりがちだったり逆にサラッと流してしまうようなタイミングで
とひと言、呼吸をするタイミングを教えてもらいながら。
そう。わたしはなにをするにもわりとサラッと流してしまう。たとえば手話の動きも、「滑らかすぎるよね」と言われてしまうくらいにはサラサラと言葉を紡いでいく。
だから、流れとしては綺麗に流れていくけれども、「今このとき」をすっ飛ばして、「次どうしよう」が頭の中を占めがちで。「今、〇〇してますよ」と言われては我に返り、「今」に集中し直しながら「今は今のことを」を積み重ねていくのが、とにかく下手っぴなんだろうなぁと、「さんまりちゃん、生き急いでない?」と時たま友達に言われるそれは、これかもしれないと思いながら。
今を生きる……かぁ。