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読書メモ7 レジリエンスの時代ジェレミー・リフキン著 第2章

テイラー主義

「労働者の作業は標準化され、労働者と機械の区別がつかないほど。あらゆる要素が、科学的に管理された巨大な機械の部品と見なされ、効率向上の観点から測定され、費用便益分析によって計算された」(p.40)

家庭は、社会全体にテイラー主義を導入する足掛かりだった。効率化実現の案内役、執行者となったのは、学校制度だった。工場に似せて作り変えられた学校は、子供たちをテイラー主義の小さな奉仕者に仕立てた」(p.42)

「教育長は経営陣、教師は労働者。課題を与えられ、提供する方法も指示された。知識は簡単に消化できる事実に分割され、生徒が暗記して、試験で書き出せるようにする。
標準化された試験と数値による評価が規範になった。物事について「なぜ」とじっくり考える旧来の知的伝統は脇に追いやられ、物事を「どのように」最適化するかに的を絞ることが、まるで熱烈な信仰のように信奉された。効率が成績を決める主な基準になった」(p.43)

「世界の仕組みを読み間違える」(p.46)

デカルト、ニュートン..の描いた線形の、モザイク世界
秩序ある、予想可能で、自己調節する世界」(p.52)は、アダム・スミスによって経済学の、また「教会と政府と既成の学究」(同)によって権力の
拠り所となった。

「熱力学の法則ー万物の規則」

プリゴジンはニュートン主義の平衝モデルから脱却するように訴え続けた。「化学いっさいは」、熱力学の法則に従う「不可逆的プロセスに一致する生物学物理学でも同様だ。なぜ経済学は、宇宙を支配するこの基本法則の範囲外に存在しうるのか?
熱力学の法則は「物質の新たな見方に[つながり]、そこでは物質は、機械論的世界観で記述されているような不活発なものではもはやなく、自発的活動と結びついている。この変化はじつに深いものなので、私たちは人類と自然の新たな対話について語ってかまわないと思う」
「物質の不変で恒久的な基盤という考え方は打ち砕かれ(中略)[熱力学は]物質は動的であり、連続的な生成状態にあるという概念につながる。この構図は、物理学の古典的な記述、すなわち、力あるいは場という観点での変化の記述からは大幅に逸脱する。それは、ニュートンによって拓かれた王道から離れる重大な一歩だ。(中略)だが私は、力学と熱力学の統一が、物理系の時間的進化を根本的に新しい方法で記述する地ならしになると信じている。(中略)今や私たちは、時間を幻想として否定するという誘惑を克服する。時間は(中略)幻想とはかけ離れたもので(中略)構築されるものなのだ。」
「これらの理論的構成概念はすべて、一つの要素を共有している。すなわち、私たちによる自然の操作には何かしらの限界があることを示しているのだ」とプリゴジンは結論した。

経済学者たちはそう考えない

自然の収奪しか頭になく、「天然資源」を短期的な過剰消費に変換し、収益の増加を追い求めてきた結果、どうなったのか?熱力学の観点に立つと、産業資本主義が支配的だった二世紀半の間に得られた短期の経済的利益は、長期のエントロピーのつけを前にすれば、徴々たるものだ。つけの痕跡と負の外部性は、途方もないほど長い年月影響を及ぼし続ける。そうと知った私たちは、何をもって富とするかという概念を、どのように考え直せばいいのか?(p.52〜67)


自然は複雑系であるのに対して、
理性なり、形式論理なり、因果論なりは、線形の構造、2次元の繋がり、をしている。
線形の目的論が結果するものは、いつも意図せぬ全体性を、伴っている。

「優秀な労働者育成」は、
人間そのものを規格化し、「豊かな経済」は、環境破壊を結果している。
         光

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