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R6 第70回 読書感想文コンクール課題図書を全部読んでみた。


こんにちは。もうすぐ7月、今年もこの季節がやってまいりました。
読書感想文コンクールの課題図書が今書店にずらりと並んでいますね。
ゴールデンウィークあたりから読み進めていた課題図書を無事読み終えることができました!というわけで全18冊を少し紹介させていただきます。

第70回青少年読書感想文全国コンクール 課題図書


小学校低学年の部


アザラシのアニュー』 / あずみ虫 作
 
タテゴトアザラシの赤ちゃんアニュー。生まれてからわずか2週間で親離れしなくてはならないアニューの姿を描いた冒険物語。実際にアラスカで1年の半分を過ごす作者ならではの詳しい解説やあとがきが、わたしも大変勉強になりました。アルミ板をカッティングする独自の技法による愛らしい絵にも注目です。

ごめんねでてこい』 / ささきみお 作・絵
もう表紙からあふれる あたたかなぬくもりとごめんなさいの気持ち。少しの間いっしょに過ごしたはなちゃんとばあちゃんの心あたたまるストーリーが、とても読みやすくまっすぐに心に届く物語です。はなちゃんの「ごめんね」がでてくるのか 親子で読みたい作品です。

おちびさんじゃないよ』 / マヤ・マイヤーズ ぶん、ヘウォン・ユン え、まえざわあきえ やく
体のちいさなテンちゃんが通う学校に ある転校生がやってきました。トラブルに立ち向かうテンちゃんの心が持つ大きなエネルギーが絵からも伝わってきます。場面ごとに相手の気持ちを考えたり、読んでいていいな好きだなというシーンがきっと見つかる絵本です。電子版あり。

どうやってできるの? チョコレート』/ 田村孝介ほか 写真
身近なおやつチョコレートはいったいどうやってできるのか。こうなっていたのね!と発見がつまっていました。原寸大のカカオ豆の写真や仕掛けで楽しく学べる美味しい一冊です。チョコレートをとなりに用意してぜひお読みください。科学絵本しぜんにタッチ!シリーズ。


小学校中学年の部


いつかの約束1945』 / 山本悦子 作、平澤朋子 絵
4年生のゆきなとみくが出会ったのは あるおばあちゃん。この出会いを通じて戦争と平和について思いを馳せる物語。読んだあとこの本が自分の住む街ではどうだったのかなどそこから調べるきっかけになるかもしれません。平和を学ぶ夏におすすめの一冊です。

じゅげむの夏』/ 最上一平 作、マメイケダ 絵
本文と絵が素晴らしくマッチしたインパクトあるこれぞ夏休みな物語。友達と過ごすドキドキハラハラが詰まったかけがえのない夏。同じ景色を見るなかよし4人の少年たちの姿に、友達っていいなと幼き日々を思い出しました。子どもも大人も心から楽しめる一冊です。

さようならプラスチック・ストロー』/ ディー・ロミート 文、ズユェ・チェン 絵、千葉茂樹 訳
そもそもストローはどうやって生まれたのか今どうなっているのかを通して環境について考える本です。子どもたちの身近にあるプラスチックストローの歴史は読んでいて面白く、イラストがとてもわかり易く描かれています。

聞いて聞いて!音と耳のはなし』 / 髙津修、 遠藤義人 文、長崎訓子 絵
波のように私達の耳に届く音について、たくさんのイラストとともに楽しく学べます。理科室近くに貼ってある科学ポスターが好きな小学生におすすめです。音のプロによる どうして耳は2つあるの?などが視覚的にもわかる科学えほんです。


小学校高学年の部


ぼくはうそをついた』/ 西村すぐり 作、中島花野 絵
5年生のリョウタがある出会いを通じて広島で感じたこととは。これは平和への祈りそして希望の物語です。戦時中小学校教諭を勤めた作者の母の体験を綴るのは、作者西村すぐりさん。執筆開始から30年、今伝えたい想いが読者にまっすぐに届きます。

ドアのむこうの国へのパスポート』/ トンケ・ドラフト、 リンデルト・クロムハウト 作、リンデ・ファース 絵、西村由美 訳
特徴的な扉文から始まるストーリーが印象的な一冊。実際にあったとあるエピソードから作者たちが発想を得たオランダの物語。この先はどうなるんだろうと海外作品を読み進める楽しさが味わえる作品でした。電子版あり。


図書館がくれた宝物』 / ケイト・アルバス 作、櫛田理絵 訳
ロンドンから第二次世界大戦のときに集団疎開した両親のいない子どもたち。逆境を乗り越え、自分たちを大切に想ってくれる人に出会えるのか。本を愛する温かな気持ちが運んだ縁とは。彼らにどうか明るい未来がありますように。

海よ光れ! 3・11被災者を励ました学校新聞』/ 田沢五月 作
みんなで作る学校新聞や独自の歴史ある発表会を誇りに思って過ごしていた日々。地域に愛されるあたたかな小学校は、東日本大震災によって避難所になりました。故郷を守る人々、また自分たちにできることは何かを考える気持ちに心動かされる本当にあったお話です。実際の新聞を見ることができます。

中学校の部


ノクツドウライオウ 靴ノ往来堂』/ 佐藤まどか 著
オーダーメイド靴店「往来堂」は築100年の老舗靴店。店主の孫はシューズデザイナーを夢見る中学生。現代的でテンポよく読める明るい作品です。視点を変えること、関わる人によって世界が広がることに気づくきっかけをくれる物語です。

希望のひとしずく』/ キース・カラブレーゼ 作、代田亜香子 訳
街の古い井戸には、願いが叶うという不思議な言い伝えがありました。3人の中学生はその井戸を見つけます。クラスメイトや街のみんなには一体どんな願い事があるのでしょうか。登場人物が多いため、人物一覧を片手に読むと読みやすくなるかもしれません。小説家、劇作家でもある作者が届けるのは、やさしさが繋いだ願いが結ぶ伏線回収も見事な物語。

アフリカで、バッグの会社はじめました 寄り道多め仲本千津の進んできた道』/  江口絵理 著

バッグブランド「リッチーエブリデイ」を経営する仲本千津さんの歩んだ道がわかるお仕事ドキュメンタリー。銀行員から起業家へ。遠回りに見えるかもしれないこれまでの経験の数々が実を結び、たくさんの人を笑顔にしていました。これからの進路を考える中学生にいい刺激をくれる本です。


高等学校の部



宙わたる教室』/ 伊与原新 著
新宿にある都立高校の定時制には事情を抱えた生徒たちが通っています。歳もバラバラの科学部の実験ははたしてどうなるのか。「好き」を見つけたくなる青春科学小説。作者が実話から発想を得た作品です。ドラマ化が決定。電子版あり。

優等生サバイバル 青春を生き抜く13の法則 』/ファン・ヨンミ 作、キム・イネ 訳
進学校に通うジュノの忙しい高校生生活から見つけた13の法則が、国は違えど私達にも共通するところがあるように感じられました。高校生活は、未来を見据える今もこれからも全部大切な時間です。支え合う仲間と成長し、前に進む力をもらえる作品です。

私の職場はサバンナです! 』/ 太田ゆか 著
南アフリカ政府公認サファリガイドの大田ゆかさんが夢を追いかけた日々や紹介したい動物について綴った本です。彼女のエネルギーに読み手のこちらも元気になる一冊。とても読みやすくわかりやすいため小説ではない課題図書を希望する方におすすめです。「14歳の世渡り術」シリーズほかもぜひ。




今年もバラエティ豊かなラインナップですね。読みやすいようにイラストや文字の大きさも工夫されています。例年題材になる戦争や平和、SDGsに加えて、好奇心をくすぐったり前に進むチカラをくれる本が多いように感じました。

わたしは小学校高学年の頃読んだ『大地震が学校をおそった』をあの頃受けた衝撃から今なおずっと覚えています。それは読んだ後景色が変わるような読書体験となり、その後高校3年生で阪神・淡路大震災を経験したときにすぐに思い出しました。物語、科学、ノンフィクションそれぞれの読書体験が読者に何かを伝え、そこから先へと繋がっていくのかもしれませんね。



あなたの大切な一冊に出会えますように。






お読みいただきありがとうございました。




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