合同会社さくらSOC労働衛生コンサルタント・産業医事務所

独立系産業医です。労働衛生コンサルタント・メンタルヘルス法務主任者・社会保険労務士・救…

合同会社さくらSOC労働衛生コンサルタント・産業医事務所

独立系産業医です。労働衛生コンサルタント・メンタルヘルス法務主任者・社会保険労務士・救急専門医。JOHTA会員。元ブロガー(日々是よろずER診療)。自社HP https://sakurasoc.sakura.ne.jp/wp/

最近の記事

信頼される産業医を考える

この三柴先生の新規著作には、とてもチャレンジングな章がありました。 信頼される産業医を考える という章です。 ざっと読んでみて、わが事として振り返ると、三柴先生のおっしゃる産業医像と自分が産業医としてこうありたいという自己認識とさしたるズレはないかなと思いました。 三柴先生は、この章の中で、これからの産業構造の社会変化をふまえ、産業医業務は、その重点が、不調者の就業判定に収斂していくだろうと予見しておられます。 その観点からすれば、主治医の意見を素通りさせるだけの産

    • 職域救急シリーズ 第3回

      今回はいわゆる臨床の救急現場に近い話ではなく、産業保健現場の本丸ともいえる「予防」の視点にたって、将来の救急疾患リスクとなり得るお話ができればと思い、書いてみました。なお、事例は筆者の経験をベースとしつつも架空のものです。 【事例】40才男性(以下Bさん)  総合貿易会社の事務職員。肥満なし、糖尿病なし、高血圧なし。飲酒習慣なし、運動習慣あり。喫煙者 20本/日x20年。当社では、保健師が定期健康診断の結果がでた直後に、社員への全員面談を行っている。Aさんと保健師の面談場面

      • ビクトール・フランクル博士の言葉

        産業保健の現場での社員さんとの個別対応において、職場適応支援やストレスセルフマネジメント支援を担うことは、とても多いと思います。産業医としても、もちろん、産業保健師、産業看護師としても。その現場感をもって言えることは、それらをすべて心理の専門家に丸投げするのは現実的ではないと言えます。 ビクトール・フランクル先生といえば、夜と霧 が有名ですね。 多くの名言が残されていますが、本日は次の言葉を紹介します。 この言葉を、人の脳内反応のスキームとして、私なりに図にするとこうなり

        • 産業医の判断が、時に人の命を救う

          さくらSOC労働衛生コンサルタント・産業医事務所です。 産業医は医師のキャリアパスの一つの選択肢として、多くの医師がその一つに挙げていることは承知しております。ワークライフバランスが良い、当直がない云々と、まさに令和の働き方にピッタリとした医師としての一つの生き方かもしれません。 ただ、産業医制度が形骸化して機能してない負の部分もあると私は思います。 ・大手広告会社に入社した女性の過労自死 ・自己研鑽の名のもとに過労自死した後期研修医 ・長き伝統という名のもとに過労an

          Shrink(1)~(3)を見て

          原作者、製作者、俳優の方々 それぞれの立場での真摯な姿勢を感じとても好感が持てる作品でした。三話で終了という短さも、きっとその一端なのでしょう。 (1)パニック症  (2)双極症 (3)パーソナリティ症(境界型) いずれも、医療の現場だけではなく、職域を対象とする産業保健の現場のスタッフにとっても、非常に役に立つ内容が多かったように感じます。 少し前のことですが、若手の保健師さん(以下、Aさん)が、私にこんなことを話してくれました。 「前職での話なんですけど、メンタルを

          書籍紹介:クラッシャー上司

          今、兵庫県知事報道で、「パワハラ」が世間のホットワードである。私の産業医実務のなかで、面談した社員さんの実情に則して、役に立ちそうな書籍を薦めることをよく行うが、上記書籍は、この数年の間に、複数の社員さんに紹介した本である。 書籍後半には、対策が書いてあり、とても参考になります。 以上、紹介でした。

          兵庫県知事問題を契機に、公務員組織風土をNOTEに挙げておられる方もいるようです。それを拝読して思うこと。公務員組織の多くでは産業保健体制がうまく機能していないのでは?ただ、組織風土を組織側とうまく協同して、その改善を推進できるスキルをもつ産業保健職はまだまだ少数派。我々の課題。

          兵庫県知事問題を契機に、公務員組織風土をNOTEに挙げておられる方もいるようです。それを拝読して思うこと。公務員組織の多くでは産業保健体制がうまく機能していないのでは?ただ、組織風土を組織側とうまく協同して、その改善を推進できるスキルをもつ産業保健職はまだまだ少数派。我々の課題。

          産業医と社労士の協同は、とても重要な課題であると考えている。そう考える産業医は、少数派かもしれない。その少数派産業医が集まってくるのが、産業保健法学会かもしれない。来週、蒲田ですよ。

          産業医と社労士の協同は、とても重要な課題であると考えている。そう考える産業医は、少数派かもしれない。その少数派産業医が集まってくるのが、産業保健法学会かもしれない。来週、蒲田ですよ。

          職域救急シリーズ 第2回

          さくらSOC労働衛生コンサルタント•産業医事務所です。 職域においては、救急医療の知識を発動する機会はそう多くはないとは思います。それでも産業保健の現場でその知識をタイムリーに役立てることができれば、事業者側の産業保健側への信頼が爆上がりするかもしれません。そんなことを考えながら、第2回の事例です。事例は、私の経験をベースにしつつもフィクションに仕立てています。 1:事例45歳男性(以下Aさん) 頭痛、不眠 某大手製造メーカーの営業部門、課長職。仕事柄、取引先との会食や宿

          職域救急シリーズ 第1回 後編

          前編はこちらになります。 やってほしかった行動:種あかし こちらのページを始めてごらんになられる方は、是非、前編のほうに一度目を通されてください。 AED(自動体外式除細動器)を誰かにとって来てもらい、とりあえずそばにおいて、いつでも使えるようにはしておく。 でした。以下、順次説明させていただきます。 事例の説明:意図など 前編で紹介した事例は、急性心筋梗塞の発症を想定していました。年齢、性別、A型タイプ、喫煙、高血圧および耐糖能異常などの多リスク要因も意図的に

          職域救急シリーズ 第1回前編

          さくらSOC労働衛生コンサルタント・産業医事務所です。救急診療経験をバックグラウンドに持つ産業医です。シリーズなんてタイトルを勢いでつけちゃいましたけど、まあやってみます。よろしくお願いいたします。 1:事例(お断り)これまでの産業医実務経験および救急診療経験を通じて、私の頭に中にある実際にあった事例・症例をつなぎ合わせて、創作したフィクション事例です。 57歳男性  執務中に気分不良 発汗著明 某大手流通企業の部長。若い頃からやり手で、順当に部長職に昇進。対人折衝力は

          大阪で産業医をお求めの企業様へご案内

          2024年1月に法人登記、2024年4月から企業活動開始しました。幸いにも多くの方々のご尽力もあり、スムーズなスタートアップが切れました。9月が決算月ですので、第一期の決算が間もなくですが、黒字が出る見込みですので、とりあえずホッとしております。 さて、只今、来年度の活動計画を考えている最中ですが、大きな活動方針として、引き続き大阪を産業医活動拠点とする活動場所とする作戦を目下計画中です。 そのため、この活動計画に沿える形で、新たな企業様とのお付き合いができればと考えてい

          パワハラ資質の人物に、組織の「人事権」を持たせてはいけない。そうなれば、その組織は死ぬ。

          パワハラ資質の人物に、組織の「人事権」を持たせてはいけない。そうなれば、その組織は死ぬ。

          兵庫県知事。ネット中継をリアルタイムに見てた。今回、本人が報道等で指摘されてきた言動を事実として認めた。これをもって厚労省基準のパワハラであることは確定しました。本人がパワハラを認める認めないは無関係です。さて、兵庫県はどうするのか?

          兵庫県知事。ネット中継をリアルタイムに見てた。今回、本人が報道等で指摘されてきた言動を事実として認めた。これをもって厚労省基準のパワハラであることは確定しました。本人がパワハラを認める認めないは無関係です。さて、兵庫県はどうするのか?

          過重な労務負担であっても、関係各所との調整業務も完璧で、産業保健スタッフには睡眠も食欲も全く問題がないと語り、上司からみるととても頼りになる社員。一見何の問題もなさそうな社員との面談で、産業保健スタッフがかけてみたい一言。「自分自身との対話はしっかりやってますか?」

          過重な労務負担であっても、関係各所との調整業務も完璧で、産業保健スタッフには睡眠も食欲も全く問題がないと語り、上司からみるととても頼りになる社員。一見何の問題もなさそうな社員との面談で、産業保健スタッフがかけてみたい一言。「自分自身との対話はしっかりやってますか?」

          勤怠の乱れや職場でのトラブルなどいわゆる事例性がある段階で、産業保健職が疾病性の観点で早期介入することはとても大切である。ところが産業医側の理解が乏しいと、「それ人事の問題でしょ」と対応してしまい、そこで会社との対話のチャネルが閉じ、会社側には産業医は使えないと思われて終わる。

          勤怠の乱れや職場でのトラブルなどいわゆる事例性がある段階で、産業保健職が疾病性の観点で早期介入することはとても大切である。ところが産業医側の理解が乏しいと、「それ人事の問題でしょ」と対応してしまい、そこで会社との対話のチャネルが閉じ、会社側には産業医は使えないと思われて終わる。