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ビクトール・フランクル博士の言葉

産業保健の現場での社員さんとの個別対応において、職場適応支援やストレスセルフマネジメント支援を担うことは、とても多いと思います。産業医としても、もちろん、産業保健師、産業看護師としても。その現場感をもって言えることは、それらをすべて心理の専門家に丸投げするのは現実的ではないと言えます。

ビクトール・フランクル先生といえば、夜と霧 が有名ですね。
多くの名言が残されていますが、本日は次の言葉を紹介します。

Between stimulus and response there is a space.
In that space is our power to choose our response.
In our response lies our growth and our freedom.

刺激と反応の間には空間が存在する。
この空間に、我々の能力がある‐自らの反応を選択する能力が‐
その反応に、我々の成長と自由がある。

ビクトール・フランクル

この言葉を、人の脳内反応のスキームとして、私なりに図にするとこうなりました。

刺激と反応の間に存在する「Space」

職域あるあるの困りごとに、切れる社員さん問題があろうかと思いますが、そんな人は、この「Space」が狭く、刺激が、爆速で、怒り「言動」という周囲の人に困りごとして認識される所まで行ってしまうと考えられます。

職場適応性という観点からは好ましくない流れですので、どうしたらいいかという話になりますが、それが、まさに「Space」を拡げることを考えることです。フランクル先生は、ここを「選択する力」と表現しています。そして、その力は、自らの成長と自由につながると。なんという達見でしょう。私はとてもすごいと思います。

この「Space」があり、その結果、選択する力を持った人の脳内反応スキームを私なりに図にするとこうなります。

「Space」を持った人が行える言動の選択

このスキームであれば、何らかの刺激で、自分の脳内(扁桃体)に、怒りのスイッチが入ったとしても、周囲の状況を考え、自分が取り得る数ある言動パターン(A,B,C・・・・)の中で最も適するものを自ら選択することが可能となります。

今回は、「怒り感情とその言動」を一例としていますが、全く同じスキームで、喫煙行動、摂食行動などにも適用可能であり、産業保健現場においては、使えるスキームであろうと私は考えています。

そうとなれば、どうやったら、その「Space」は鍛えられるの?という疑問が出てきて当然だと思います。

その答えは、「マインドフルネストレーニング」ということになろうかと思います。私自身は、MBSR研究会の早期卒業生の一人として、マインドフルネスを学んでいます。自分の生活の一部に実践として落とし込むとともにこの7,8年ほど産業保健の現場で実践しています。産業保健の現場で実践するコツは、「マインドフルネス」という用語は最初は使わずに、そのエッセンスをベースにすることだと思います。興味を持って自らも学習してくれそうな人だと分かった時点で初めて「マインドフルネス」という言葉を出すようにしています。

日々の私の産業医実務の一コマを紹介させていただきました。ありがとうございます。