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職域救急シリーズ 第1回前編

さくらSOC労働衛生コンサルタント・産業医事務所です。救急診療経験をバックグラウンドに持つ産業医です。シリーズなんてタイトルを勢いでつけちゃいましたけど、まあやってみます。よろしくお願いいたします。


1:事例

(お断り)これまでの産業医実務経験および救急診療経験を通じて、私の頭に中にある実際にあった事例・症例をつなぎ合わせて、創作したフィクション事例です。

57歳男性  執務中に気分不良 発汗著明

某大手流通企業の部長。若い頃からやり手で、順当に部長職に昇進。対人折衝力は高いが、その分部下へ厳しく当たることも多く、パワハラの匿名通報を過去に受けたことがある。通報はグレーゾーンとして社内処理され、役員より口頭指導のみで終わっている。家庭では、大学生、高校生の子供を抱え、家のローンもまだかなり残っており、家計のやりくりはそれほど余裕があるわけではない。定期健康診断では、糖尿病境界型とⅠ度高血圧の指摘がある。喫煙習慣は20歳から現在に至る。保健師から禁煙指導を打診されたが、多忙を理由に断り続けている。

こんな背景の社員が、ある日、執務中に、気分が悪そうな様子で、じっと椅子に座ったまま動かくなかった。心配した周りの部下が声をかけるも、昨日飲み過ぎただけだ、心配ない、お前ら仕事続けろと言うが、あきらかに重症感があり、それどころではない。何しろ、顔からシャツにかけての発汗が半端ない。

課長が声をかけた 
「部長、おかしいですよ。どこか痛いところないんですか?」

部長が答える
「そういえば、昨日飲み過ぎた。胃のあたりが漠然と痛いかんじもある」
「おまえに言われて、初めて気づいたわ。でも大丈夫だ」
「このままで自然によくなるさ」

課長
「わかりました。救急車よばせていただきます」

課長は、オフィスから119を行い、救急要請をした。

(事例紹介はここまで)

2:皆様に考えていただきたいこと

この事例で、119はよいでしょう。ただ、それと同時にやったおいたほうがいいかなという行動がございます。その行動は何?というのが今回皆様にかんがえていただきたいことです。

つい、先般も某オフィスから救急要請があった話を耳にしました。その際、初期対応の振りかえりを産業保健スタッフ間でおこなったのですが、そこでの教訓をもとに今回の架空事例を作成しました。

では、数日後に、後編をアップします。