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本日の一曲

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さくらMusic officeでは、新企画「本日の一曲」をスタートしました! この「本日の一曲」では、ジャンルにこだわらず、時にはアーティストや時代背景にも触れながら、誰もが知…
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2025年1月の記事一覧

本日の一曲 vol.541 ベートーヴェン:皇帝 (Ludwig van Beethoven: "Emperor" Op.73, 1810, played by Glenn Gould)

ベートーヴェン・皇帝をご紹介するのは2回目になります。最初の紹介記事はこちらをご覧ください。 この曲のルービンシュタイン・バレンボイム盤とともにご紹介したいのは、グレン・グールド(Glenn Gould, 1932年9月25日生~1982年10月4日没)さんがピアノを弾き、レオポルド・ストコフスキー(Leopold Stokowski, 1882年4月18日生~1977年9月13日没)さんがアメリカ交響楽団(The American Symphony Orchestra)を

本日の一曲 vol.540 服部良一:銀座カンカン娘 (1949)

服部良一(1907年10月1日生~1993年1月30日没)さんは、大阪生まれの日本の作曲家です。 服部さんは、1926年に大阪フィルハーモニー管弦楽団に入団し、フルートを担当していましたが、同年から日本に来日していたウクライナ出身の指揮者エマヌエル・メッテル(Emmanuel Metter, 1878年2月28日生~1941年8月28日没)さんから音楽を学び、大阪のレコード会社で編曲や作曲の仕事をするようになりました。 服部さんは、当初はブルースやジャズの要素を取り入れた

本日の一曲 vol.539 ザ・バンド:ザ・ウェイト (The Band: The Weight, 1968)

先週、ガース・ハドソン(Garth Hudson, 1937年8月2日生~2025年1月21日没)さんがお亡くなりになり、ボブ・ディラン(Bob Dylan, 1941年5月24日 生)さんのバック・バンドとして有名になった「ザ・バンド(The Band)」のオリジナル・メンバーは全員鬼籍に入りました。 「ザ・バンド」のデビューアルバムは、1968年にリリースされた「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク(Music From Big Pink)」です。 このときのオリジナ

本日の一曲 vol.538 ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第3番 (Johannes Brahms: Violin Sonata No.3 Op.108, 1888)

ヨハネス・ブラームス(1833年5月7日生~1897年4月3日没)さんのヴァイオリン・ソナタは3曲あり、ト長調の第1番「雨の歌」(Op.78)は40代中盤の作品で、交響曲第2番やヴァイオリン協奏曲と同時期のもの、イ長調の第2番(作品100)とこのニ短調の第3番(作品108)は、50代中盤の作品です。ブラームスさんは、1897年に63歳で亡くなっていますから、この3曲のヴァイオリン・ソナタは、ブラームスさんの人生の後半の作品であり、第2番と第3番は人生終盤の作品と言ってよいかと

本日の一曲 vol.537 ゴブリン:サスペリアのテーマ (Goblin: Suspiria Main Theme, 1977)

弊社のある六本木に、英国パブ「ホブゴブリン六本木(HOBGOBLIN ROPPONGI)」という店があります。2002年のサッカーワールドカップのときに開店したこともあり、サッカーの季節になると、とても賑やかになります。 このお店のロゴは、ホブゴブリンが描かれたものです。 ホブゴブリンは、ゴブリン(Goblin)の一種で、「ホブ(Hob)」は中世英語で「小さい」「家庭的な」という意味がありますので、「小さなゴブリン」という意味です。ゴブリンは、ヨーロッパ全土の民間伝承で広

本日の一曲 vol.536 ソンゴイ・ブルース:祝福 (Songhoy Blues: Gara, 2024)

私たちは音楽を楽しんでいますし、この note も毎日音楽を紹介して、たくさんの方々にご覧になっていただいています。 しかし、音楽を忌み嫌って禁止する人々がいることも、また事実です。 アフリカ大陸の西アフリカにマリ共和国という国(首都バマコ)があります。この地域は1880年にフランスが侵攻し、1890年にはフランス領スーダンとなり、フランスの植民地支配を受けるようになりました。しかし、1960年にフランスから独立し、マリ共和国となりました。マリ共和国では、当初、軍事独裁体

本日の一曲 vol.535 土屋アンナ:黒い涙 (ANNA TSUCHIYA inspi' NANA(BLACK STONES), 2007)

「NANA」は、2000年から2009年にかけて、集英社の漫画雑誌「Cookie」で連載されていた矢沢あい(1967年3月7日生)さんの漫画で、ロックバンド「BLACK STONES」をめぐる2人の「NANA」(大崎ナナと小松奈々)という女性のお話です。ただ、2009年から矢沢さんが病気療養ということで休載中になったままになっています。 この漫画は、2003年にイメージアルバムがリリースされ、2005年から2007年にかけてゲーム化、大崎ナナ役に中島美嘉(1983年2月19

本日の一曲 vol.534 なかねかな:demo (2022)

「なかねかな。」は、なかねかな(1995年12月6日生)さんとゆでたまご安井さんのユニットで、主にYouTube、TikTokで活躍する日本のミュージシャンです。 メジャーデビューは、2021年7月の「モテすぎて草、誘ってて森」です。 本日ご紹介したいのは、2022年9月にリリースされた「demo」です。編曲は原口沙輔(2003年5月21日生)さんです。 この曲の続編が約2か月後にリリースされた「daga」です。 どちらの曲も1970~1980年代のシティ・ポップ風に

本日の一曲 vol.533 ビッグ・カントリー:インナ・ビッグ・カントリー (Big Country: In A Big Country, 1983)

ケルト音楽というと、どういうイメージをお持ちでしょうか。イギリスの田舎の方の音楽、スコットランドとかアイルランドとかの音楽、バグパイプを使った音楽、昔のケルト民族の音楽、などでしょうか。 日本語版ウィキペディアによると商業ベースに乗った造語ということだそうです。 ただ、ケルト人というのは古代ローマのころから認識されていて、ケルト語派という言語系もあるとのことなので、やはりケルト語派の民族、アイルランド語、ウェールズ語、ブルトン語、スコットランド・ゲール語、コーンウォール語

本日の一曲 vol.532 ジャンゴ・ラインハルト:雲 (Django Reinhardt: Nuages, 1940)

ジャンゴ・ラインハルト(1910年1月23日生~1953年5月16日没)さんは、ベルギーで生まれたジャズ・ギタリストです。ロマの旅芸人の一座で生まれ、十代前半から音楽活動を始めました。ところが、1928年10月26日、18歳のとき、火事に遭って大やけどを負い、左手の薬指と小指に障害が残ってしまいました。しかし、人差し指と中指の2本の指でギターを弾くというジャンゴさん特有の奏法を編み出し、ギターを弾くことをあきらめませんでした。 1931年、フランスのジャズ・ヴァイオリニスト

本日の一曲 vol.531 藤井一興:香る薔薇の雨降る聖テレーゼ (2021)

藤井一興先生の訃報に接しました。 安らかな眠りにつかれますよう、お祈り致します。 2021年の紫園香フルート・リサイタルから、先生ご自身の作曲された「香る薔薇の雨降る聖テレーゼ」です。紫園香さんのフルートと先生のピアノによる演奏です。 以下、アルバムのプレイリストです。 「クープランからクープランの墓へ 愛奏曲集」 「ドビュッシー&ショパン」 「ドビュッシー&ラヴェル」 「ドビュッシー&デュティユー 前奏曲集」 「イーゴル・マルケヴィッチ ピアノ作品集(Igor

本日の一曲 vol.530 モンポウ:ひそやかな音楽第1巻 (Federico Mompou: Música Callada, Vol.1, 1959)

フェデリコ・モンポウ(1893年4月16日生~1987年6月30日没)はスペイン・カタルーニャのバルセロナ出身の作曲家です。作風は、当初、ドビュッシーさんやサティさんからの影響を強く受けたものでしたが、主に小品が多く、とても「静謐」な音楽です。 本日ご紹介するのは、モンポウさんが60代から70代の1959年から1967年にかけて作曲した「ひそやかな音楽(Música Callada)」第1巻から第4巻のうち、一番最初の第1巻第1曲です。「Música Callada」という

本日の一曲 vol.529 マイケル・ジャクソン:フォーエバー (Michael Jackson: We've Got Forever, 1975)

1975年1月にモータウンからリリースされたアルバム「フォーエバー・マイケル(Forever, Michael)」は、マイケル・ジャクソン(Michael Jackson, 1958年8月29日生~2009年6月25日没)さんが16歳の時の作品で、モータウン時代最後のソロ・アルバムになります。マイケルさんがジャクソン5(The Jackson Five)のリードシンガーとして活躍し、ちょうど変声期を迎えた直後の作品です。 このアルバムの中から1曲、バラードの「フォーエバー」

本日の一曲 vol.528 ドナカ・デネヒー:冬の国 (Donnacha Dennehy: Land Of Winter, 2024)

ドナカ・デネヒー(1970年8月17日生)さんは、アイルランド・ダブリン出身の現代クラシック音楽の作曲家です。「冬の国(Land Of Winter)」は、かつてローマ人がアイルランドを「Hibernia(冬の地)」と読んでいたことから着想を得たもので、アイルランドの1年間の季節の変化を12月から1月、2月、3月と連続して月ごとに表現したものです。楽器はオーソドックスなものを使っていると思いますが、ミニマリズム、スペクトル音楽、躍動的なパーカッション、人の声などさまざまな手法