最近の記事
本日の一曲 vol.474 ビーチ・ボーイズ キャロライン・ノー (The Beach Boys: Caroline, No, 1966)
ビーチ・ボーイズの大名盤と言われるアルバム「ペット・サウンズ(Pet Sounds)」のラストを飾る「キャロライン・ノー」です。変わってしまった女の子への、おそらく思春期の男の子の絶望を歌った歌だと思います。 「ペット・サウンズ」は何しろ大名盤であり、いろいろな人が一家言を持っています。同時代のイギリスのバンドであるビートルズのアルバム「ラバー・ソウル(Rubber Soul, 1965)」を超える作品を作りたいということで、ビーチ・ボーイズのリーダーであるブライアン・ウィ
本日の一曲 vol.473 ジョン・バティステ 第7交響曲悲歌 (Jon Batiste: 7th Symphony Elegy, 2024)
ジョン・バティステさんは、1986年11月11日にアメリカ・ルイジアナ州メテリーで生まれ、ジュリアード音楽院出身のミュージシャンです。楽器は主にピアノを演奏しているようです。 昨年2023年、ジョンさんが主演の「ジョン・バティステ: アメリカン・シンフォニー(American Symphony)」というドキュメンタリー伝記映画がNetflixで公開されています。「この映画ではミュージシャンのジョン・バティステの1年間が探られ、彼の音楽界でのキャリア(第64回グラミー賞での1
本日の一曲 vol.472 ラインベルガー ヴァイオリンとオルガンのための6つの作品 (Josef Rheinberger: 6 Stücke für Violine und Orgel Op.150, 1887)
本日ご紹介する曲は、オルガンを使った曲です。単に「オルガン」というと、家庭用や学校の音楽室などに置かれていたコンパクトなリードオルガンをイメージします。 しかし、クラシック音楽の世界では「オルガン」というといわゆるパイプオルガンのことを指します。そのパイプオルガンはどんな楽器かというと、パイプ・オルガンが東京都内の公立ホールで初めて設置されたという武蔵野市民文化会館さんがちょうど「パイプオルガンはどんな楽器?」という動画を公開していますので、こちらをご覧になるとよいかと思い
本日の一曲 vol.471 クロバック 世界の終わりのように雪が降る (Krobak: It's Snowing Like It's the End of the World, 2013)
クロバック(krobak, ウクライナ語で「虫」の意味)は、ウクライナ・キーウのインスト・ポスト・ロック・バンドです。メンバーは、アシャ・マカロワ(Asya Makarova, Bass)さん、イーゴリ・シドレンコ(Igor Sidorenko, Guitar)さん、マルコ・ニコリュク(Marko Nikolyuk, Violin)さん、ナターシャ・ピロゴワ(Natasha Pirogova, Drums)さんの4人です。 詳しい情報についてはこちらをご覧ください。 本日
マガジン
記事
本日の一曲 vol.470 リンダ・ロンシュタット 悪いあなた (Linda Ronstadt: You're No Good, 1974)
アメリカのシンガーであるリンダ・ロンシュタット(Linda Ronstadt, 1946年7月15日生)さんは、自らを「カメレオン」である、声を大きく変えることができる、と話しています。 リンダさんのシンガーとしてのスタートは音楽が好きな一家に育ち、兄姉妹でのハーモニーから始まったことから言えることだと思います。リンダさんの生い立ちについては、2022年にリンダさんのドキュメンタリー映画「サウンド・オブ・マイ・ヴォイス」が公開されました。 この映画のオープニングでは、リン
本日の一曲 vol.468 バッハ ヴァイオリン協奏曲 (Johann Sebastian Bach: Violin Concertos, 1723)
ヴァイオリニストにとって、バッハ、ハイドン、モーツァルトというドイツ・オーストリアのバロックから古典派の音楽は扱いがとても難しい音楽です。ヴィルトゥオーゾ的なテクニックは使わないので、音をたどるだけであればむしろ易しい音楽かもしれません。しかし、言ってみれば、リスナーの要求が極めて高い音楽なので、迂闊な演奏はできないのです。また、音符が少ない分、解釈の幅が広がってしまうので、ヴァイオリニストが一生かかって取り組まなければいけない音楽だとも言えると思います。 ヴァイオリンの初
本日の一曲 vol.466 ヤードバーズ 幻の10年 (Yardbirds: Happenings Ten Years Time Ago, 1966)
ヤードバーズは、ボーカルのキース・レルフ(Keith Relf)さんとドラムのジム・マッカーティ(Jim McCarty)さんが中心となり、1962年に結成されたバンドで、バンド名は、ジャズのサックス奏者チャーリー・バーカー(Charlie Parker)さんのニックネームだった「yardbird」が由来になっています。 そして、ヤードバーズは、何よりも、エリック・クラプトン(Eric Clapton)さん、ジェフ・ベック(Jeff Beck)さん、ジミー・ペイジ(Jimm
本日の一曲 vol.465 マウント・イーリー 巨大な火 (Mount Eerie: Huge Fire, 2024. cf. Bruckner & Celibidache)
マウント・イーリー(「不気味な山」という意味)は、アメリカ・ワシントン州アナコルテス出身のフィル・エルベラム(Phil Elverum, 1978年5月26日生)さんのプロジェクトです。 フィル・エルベラムさんは、マイクロフォンズ(The Microphones)というバンドで、「水」「火」「山」をテーマにして音楽を展開するなどの活動をしており、つぶやき系のボーカルと時たまノイジーな演奏からなる音楽でした。マイクロフォンズの2000年にリリースされた「水」をテーマにしたアル
本日の一曲 vol.463 クイーン グレイト・キング・ラット (Queen: Great King Rat, 2024)
2024年10月、1973年7月にリリースされたクイーンのデビューアルバム「戦慄の王女(Queen)」に当初収録予定だった「マッド・ザ・スワイン(Mad The Swine)」を4曲目に加えて、当時の音源を磨き直してミックスもやり直したものに、当時のデモテープ、ライブ、カラオケを加えた豪華バージョンが「クイーンⅠ(Queen I)」としてリリースされました。 すでにデビューアルバムのリリースから約半世紀を経てからのリリースですが、音の「抜け」がよくなり、これまで聴こえなかっ
本日の一曲 vol.461 マイ・ブラディ・ヴァレンタイン ホエン・ユー・スリープ (My Bloody Valentine: When You Sleep, 1991)
シューゲイザーと呼ばれる音楽があります。「靴を見つめる人」という意味ですが、ライヴでギタリストが足元のエフェクターを操作するため足元ばかりを見ていることから、ある意味、シニカルに付けられた名前です。 ひとまず、シューゲイザーの代名詞である「マイブラ」、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの「オンリー・シャロー(Only Shallow)」をお聴きになってみてください。 音が割れた轟音、もはやノイズに聞こえるギターの音の上に、何を歌っているのか分からない女声が聞こえてきます。こ
本日の一曲 vol.460 サイエンティスト 吸血鬼のダンス (Scientist: Dance Of The Vampires, 1981)
はじめにジャマイカの音楽であるレゲエ発の音楽として「ダブ(Dub Music)」と呼ばれるものがあります。これは、たまたまエンジニアがトラックにリバーブ(残響)効果をかけてしまったところ、これがけっこうイケるんじゃないか、ということになって広まったものです。そして、ベースとドラムというリズムセクションを強調したサウンドエフェクトが「ダブ」と呼ばれるようになりました。 「ダブ」は、おそらくクラシック音楽が築き上げてきた理論とはまったく関係のないところにある「感覚的」なものだ