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《七十二候》蟄虫坏戸‥むしかくれてとをふさぐ
『蟄虫坏戸‥むしかくれてとをふさぐ』
9月28日から10月2日頃
暖かい間、元気に遊んでいたカマキリやちょうちょ、てんとう虫やクワガタなどの虫たちや
カエル、蛇などの両生類などが
冬ごもりの支度をはじめる頃となりました。
寒さから逃れるように
秋冬が終わるのを
約半年間も土の中で静かに春を待ちます。
気温差が一日の中でも
大きく変化する中
土の中はある程度一定に保たれているので
冬眠中の動物達には過ごしやすいようです。
寒いのがとても苦手なわたしは
一緒に冬ごもりしたいなぁと
この時期いつも思いますが
きっとじっと時を待つのにもすぐ飽きて
寒い寒いと言いながらも、こっそり出てきちゃうかもしれませんね。笑
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今年は、夏の終わりから
外で撮影する機会が多くなったことで
たくさんの虫たちに触れたような気がします。
ちょうちょ、トンボ、バッタは
子供の頃から網を片手に走り回り
虫かごに捕まえていたせいか今でも見かけると嬉しくなり、思わず手を伸ばしそうに‥。
さすがにもう
捕まえたりはしませんが‥。笑
特に赤トンボが大好きで
夕方になるとブランコのある公園近くの
民家の壁一面にくっついていた様子を
今でもよく覚えています。
五時を知らせる鐘の音。
夕焼け色に染まった空も。
その頃は団地に住んでいたので
ベランダからそんなわたしを
見守る母の顔も‥。
薄暗くなるまで夢中でトンボと
戯れていた記憶と共に。
もう何年‥
いや何十年?も前のことなのに
こんなにも根強く残るほど
きっとわたしには楽しかったのでしょう。
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「蟄虫坏戸」‥ むしかくれてとをふさぐ‥は
啓蟄の初候にあたる
「蟄虫啓戸」‥ すごもりのむしどをひらくと
対になっています。
前回の「雷乃収声」の中でも
少しお話したのですが
七十二候には
「対」になっているものが他にもいくつかあります。
「玄鳥至」4/5頃と 「玄鳥去」9/18頃
「虹始見」4/15頃と「虹蔵不見」11/22頃‥
など‥のように
あたたかい春にやってきた鳥たちが
冬を前に旅立ったり‥
春には見かけていた虹が
冬が近づき見えなくなったり‥。
移り変わる季節の中で
「こんにちは」をした後
ひとときを共に過ごし
また「さよなら」をするような‥。
そしてまた巡る季節を一回りし
再び「こんにちは」と会えるような
そんな感覚になるのです。
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日本語が好きなわたしは
季語も大好きで『美しい日本の季語』という本が愛読書と言っても過言じゃないほど?笑
よくパラパラと眺めています。
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秋の季語にはどこか暖かみのある
美しい色彩がパッと広がるような
たくさんの季語がありますよね。
秋晴、秋風、鰯雲
秋日和、夕月夜
秋茄子、秋刀魚、山葡萄‥。
すべてを把握することは
できませんが‥
例えば
通りかかった道で
その花を見かけた時‥
店頭に並ぶ野菜や
お魚を目にした時‥
美しく輝く夕焼けや空に
出逢えた時‥。
ふと季語が浮かび
ちょっぴり嬉しくなります。
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今を彩る季語たちに触れるだけで
より季節を身近に感じられるのです。
余談ですが
夏の終わりから秋にかけの
すすきが見られるこの時期に降る
長雨を「すすき梅雨」と呼びます。
ちなみに五月前半のたけのこが育つ季節に
しとしと降る雨は「たけのこ梅雨」。
11月下旬から12月上旬頃に
山茶花(さざんか)が咲く季節に降る雨を
「山茶花梅雨」と呼ばれたり。
他にも梅雨のつく季節の言葉は
いろいろあったり、面白いですよね。
まだまだ知らない日本語や
奥深い日本語の世界に
もっともっと
浸りたいなぁと思う今日この頃です。
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前回に続き今回の記事の写真も
すべて自分で撮った写真となります。
実は今日(9/28)に撮ったばかりの
写真も多く
そばの花を撮影した帰りに見つけた
落ち葉や芙蓉の花。すすきなどは
まさに今日の午前中に撮ってきたもの。
この記事を皆さまが読んでくださる頃は
間に合って良かったぁと
ホッとしているかもしれません。
#そらいろレター
10/15までです。💌🕊️✨✨