韓日ウェブ漫画翻訳、ずばり単価の目安は?漫画翻訳1本で食べていけるの?
ぽにょかぺの記事やツイートをご覧の方が「韓日ウェブ漫画翻訳に関するご質問やお悩み」を匿名で相談していただけるように、先日匿名メッセージサービスのマシュマロを始めました。
すると早速ご質問を頂きまして、今日は…
ずばり、「韓日ウェブ漫画翻訳の単価にまつわるお話」をさせていただきます。
こちらの3つのご質問内容はどれも「単価」について触れたものなので、今回は個別にお答えせずここでギュッと濃縮させようと思います。みんな気になるところでしょうからね。
最後に「具体的な金額と韓日ウェブ漫画翻訳だけで生きていくためのヒント」も公開していますので、「韓日ウェブ漫画翻訳の単価事情」が気になる方は是非最後までお読みください。
漫画翻訳1本で食べていくのは難しい?
結論からお答えすると、韓日ウェブ漫画翻訳1本で食べていくのは可能です。
私はかれこれ7年、漫画翻訳1本で食べています。
この記事でもお話ししましたが、漫画翻訳で貯めたお金でマイホームも購入しました。
とはいえ、「誰しもが確実に漫画翻訳1本で食べていける」とは思っていません。
これは、どの業種も同じですよね。
例えば、同じ八百屋さんでも売れる店と売れない店があるはずです。
その差を生むのは「商品の質、運、人柄、コネクション」など、さまざまな要素が考えられます。
私たち翻訳者もそういった要素を満たしていくことで「いい取引先・お仕事」に恵まれ、生活できるだけの単価のお仕事を絶えずもらえるようになり、安定した収入を得ることができるようになることでしょう。
ご質問ありがとうございました!
▼フリーランス翻訳家がいくら稼ぐべきか書いた記事も是非合わせてご覧ください。
最近、韓日ウェブ漫画翻訳の単価が下がってる!?
1つ目の質問者様もおっしゃっていましたが、どうやら最近ウェブ漫画翻訳の単価が下がっているという不穏な情報が流れているようなので、私もTwitter(X)で検索をかけてみたところ…たしかにそのような話題が上がっていたようですね。
しかも、契約時にこれまでより低い単価を提示されたわけではなく「契約済みの単価を下げられた」というお話のようですね。
驚いて翻訳者仲間に連絡してみましたが.…私の周りには、契約済みの作品の単価を下げられた人はいませんでした。
むしろ、私の体感では最近また単価が上がってきています。1話が長い作品が増えてきているからなのか、円安の影響なのか。(1話が長くなれば作業時間も長くなり結果的に同等の単価になるかもですが、単価だけを見た場合の話です。)
これは2年前のツイートですが、こんなこともあります。
なので、どの会社も単価を下げてきているわけではないです。会社によるのでしょう。
そういえば、「手直しなしで納品できるレベルであること」を条件で採用した翻訳者の翻訳クオリティーがあまりに低く、条件を満たしていないため「契約済みの単価を下げた」会社を知っています。
会社側としても苦渋の決断だったようですが、手直しがかなり必要なため余計なコストがかかってしまい、単価を維持できなくなってしまったそうです。
もちろん、その会社も「手直しなしで納品できるレベル」の翻訳者の単価は下げることなくそのままにしているそうです。当然ですよね。
「このままじゃ納品できない!」ということで私も手直し(監修)とひどいものは翻訳し直し(2次翻訳)をお手伝いしましたが、正直なところ、話にならないレベルでした。
ちなみにそこは、納品クオリティーに合わせて単価も積極的にアップしてくれる会社だったので、さすがにあの時は「採用条件を満たしていない場合の単価引き下げは文句言えないなぁ」と感じました。
「テスト翻訳だけがんばって、採用さえされたらあとはテキトー」なんてことは通用しないプロの世界です。
手抜きをしているとそのせいで会社の状況が厳しくなり、結果的に全部自分に返ってくるかもしれません。やはり、私たちはプロとして全力で翻訳に臨むべきで、それは至極当然のことなのではないでしょうか。
もちろん、そういったクオリティー関係の問題だけでなく会社の事情で支払いが難しくなってしまうこともあるかもしれません。この場合、翻訳者に落ち度はありませんよね。青天の霹靂です。
私が契約している会社は、単価は双方の同意があれば変更できる、となっています。なので、クオリティーが認められ途中で単価がアップすることもありますが、「その逆もありうるのだな」とハッとしました。
いずれにせよ、私も何が起きるかわからないため常に2~3社と取り引きをするように心がけています。
どこか1社が倒れても、もう1社があれば突然収入がなくなることはないからです。できることなら円とウォンを分散させておくと、為替の動きがあっても大きな打撃を受けるのを回避できることでしょう。
おっしゃるように、別の分野も開拓しておくのももう一つの手段です。
とはいえ、安定を求めるのであれば「フリーランス」という働き方は不向きだと思います。
ウェブ漫画翻訳に限らず、どの分野の翻訳も、どの会社も、翻訳者自身も、いつ何が起きるかわかりません。(各種保険への加入なども考慮しましょうね。)
翻訳1本に絞るのが不安であれば、平日は会社勤めをして、副収入に韓日ウェブ漫画翻訳を少しする、という働き方もあります。私は最初の5年くらいはそうしていました。安定して稼げるようになるまでも、生活費が必要でしたので。
以上、「契約済みの単価を下げられた」お話でしたが、ここからは「新規の依頼の単価を下げられた」お話をします。
昔、新規の依頼の単価がやけに安くなった会社があったんです。
もともと作品の難易度やコマ数によって単価はまちまちであることが多いのですが、それを考慮してもやけに新規の作品の単価が下がったんです。ちょうど、担当者さんが新入社員さんに変わったタイミングでした。
最初は「新しい担当者さんによる私への評価はこの程度だということか…?」と悲しくなったものの、仕事がなければ生活ができないので何も言わずに引き受けたんです。
するとやはり次の新作の依頼も単価がやけに安く…思い切って、かつての担当者さんに相談させていただいたところ…
「単価面での引き継ぎができていませんでした!すみません!」
ズコーッ!!!!!
という、まさかの「手違いで新人料金になってしまっていた」というお返事で、無事に単価がもとに戻りました。笑
こういう人為的ミスも起こりうるので、単価が急に下がったら担当者様や上の方に相談されるのもいいかもしれません。この会社とは今も気持ちよくお仕事させていただいています。
最後になりましたが、「新人でも努力すれば生き残れるか」についてお答えします。
会社ごとに考えは違うと思いますが、私が韓日ウェブ漫画翻訳をしてきたこの12年間で受けた印象は、「うまい人が生き残る世界」だということです。
ウェブ漫画翻訳以外の翻訳の経験が豊富な「韓日翻訳のベテラン」だとしても、「ウェブ漫画翻訳のクオリティー」次第では韓日ウェブ漫画翻訳界では生きていけないことでしょう。(字幕などの翻訳者さんはやはり漫画翻訳もお上手な印象です。)
なので、新人さんでもうまければ生き残れる世界だと思います。
監修の依頼をもらう時に翻訳会社と「経歴の長さはどうでもよく、即戦力になる人が欲しいよね」という話をよくします。
だって、ひどいと1話分の手直しに1時間以上かかるんですもん!!!!
手直しって、翻訳しなおすより時間がかかったりするんですよ。(翻訳者さんの翻訳を生かしながらクオリティーを改善するため。)
そこにかかる人件費を考えてみてください。
よって、会社が欲しいのはやはりクオリティーの高い翻訳だと思います。
この世界で生き残りたければ、クオリティーを磨きましょう。
私も常に苦手なジャンルの漫画(日本のもの)を読み込み語彙や表現、オノマトペをインプットしています。冗談でも大げさでもなく、常に漫画とともに生きています。
夕飯時には日本のアニメを流し、そこからも語彙や表現を拾っています。メモとペンを脇にチゲをすすっています。
言葉は常に変わっていきますし、新しい表現もどんどん生まれていますので、一生勉強です。
どこに出しても恥ずかしくない翻訳作品に仕上げるために、一緒に努力を重ねましょう^^
ご質問ありがとうございました!
▼手っ取り早くクオリティーを改善できるポイントをまとめた記事を以前書きましたので、気になる方はチェックしてみてください。
ずばり、1話あたりの単価はいくら?
今の私が依頼を引き受けるか断るかを決める時に重視しているのは、「単価が見合っている」か「スケジュールにフィットする」か「やりたい作品」かです。
基本的に、単価がその作品やコマ数、自分の相場に見合っていて、なおかつスケジュールにフィットすれば、どんな作品でも引き受けます。
単価が見合っていない(自分が希望する単価でない)作品の依頼は、お断りするか、翻訳したいと思える作品なら引き受けます。
また、信頼を築いてきた会社には「この作品やりたいので、新作として入ってきたらお声がけください!」とリクエストして、依頼をいただくこともあります。その場合はどんな単価でもスケジュールさえ空いていれば引き受けています。(私がリクエストしたので当然ですし、それに信頼できる会社なので単価も私の希望に極力合わせてくれます。)
あと、今はひどい円安なので、ウォン払いの会社から仕事をもらうようにしていますし、円払いの会社には「個人的な都合で申し訳ないですが、海外在住で円安の影響を受けているため、単価のいい作品を優先的にご案内いただけると嬉しいです。」と正直にお話ししています。
そうすることで実際に、「単価がかなりいい作品が入ってきました!いかがですか!?」といった感じで連絡をいただけており、本当に頭が上がりません。
とはいえ、もちろん私も最初からこのような理解が得られる翻訳者ではありませんでした。
まだ経歴が浅かった時は、来るもの拒まずで何でもやってきました。
単価が安くても、アダルトでも、苦手なジャンルでも。
その結果、どんなジャンルも大体はこなせるようになった今の私がいて、業界でも重宝されているのではないかな、と思っています。
それを踏まえた上で、私の単価の基準を具体的な数字でお話ししたいのですが…その数字を不特定多数の方に見られたり、「韓日ウェブ漫画翻訳の相場は○円です」と勝手に拡散されたりすることを防止するため、鍵をかける意味でここから先は有料にさせてください。
あくまで私の基準ですので、本当に知りたい方だけに見ていただきたいです。質問を受けつけておきながら、このような形でしかお答えできなくてごめんなさい!
同業者さんのようなので、きっとご理解いただけることだと思います。
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