マガジンのカバー画像

佐佐木政治

42
運営しているクリエイター

#昭和

白い炎のような、コーヒーの花が咲きました。

白い炎のような、コーヒーの花が咲きました。

会社のコーヒーの木(鉢植え)に、花がたくさん咲きました。
日本の冬は彼らにとって厳しい環境ですが、ハウスや家の中では何とか成長を続けます。

亡父の詩集の中で「白い炎」は、白百合を表していますが、このコーヒーの可憐な花にもぴったりな表現だなと思います。

白くて可憐な花は、やがてさくらんぼに似た赤い実をつけます。その中の種からコーヒー豆が取り出されるのです。

白い花の生命は実や種として繋がれて、

もっとみる
神へ捧げるソネット 抄 #12

神へ捧げるソネット 抄 #12

佐佐木 政治

詩は単に 言葉の組合せであるというよりも
より断絶の空間に 身を焼きつくす炎であった
詩はひとを 希望に誘うというよりも
より孤独をかけのぼる 破滅の深渕であった

もっとみる
神へ捧げるソネット 抄 #11

神へ捧げるソネット 抄 #11

佐佐木政治   ( 1989年9月30日 かおす63より )

神よ あなたの永遠の滞在地 あのどこかの峰がうっすらとひかる高みの
あの なんの確証もありはしない ほとんど痴呆に輝く恣意の場所
光のように交叉し 意味と方角が差し違える場所
いつも終焉が炎に包まれている世界の そのへりのそと

もっとみる

ミュトスの雨<神へ捧げるソネット>#10

佐佐木 政治

神よ あなたの荒野が 詩の方法を思い出させる
何らなすこともなしに 新しい舞台へとぼくらを過去から掬い上げる
ぼくらの眼前の風景は デジタルな明滅のルフランだ
ぼくらはその都度 あなたの無の舞台の可能性へと 駆りたてられてゆく

もっとみる
ミュトスの雨<神へ捧げるソネット>#9

ミュトスの雨<神へ捧げるソネット>#9

佐佐木 政治

眠りの国への門扉には 何時も印の楔が打込まれたためしがない
「死」と同系の無意識の霧が 素手でぼくらを攫ってゆく
この世で機能するもののあらいざらいを 価値の埒外に放り出して
まこと無防備なベッドが 夜毎あなたが仕掛ける闇の中へ いとも易々と持込まれる

もっとみる
昭和の文学青年。南信州に生きて仏文学を愛した亡き父が、麻痺の残る手で編んだ最後の詩群を読んで欲しい!

昭和の文学青年。南信州に生きて仏文学を愛した亡き父が、麻痺の残る手で編んだ最後の詩群を読んで欲しい!

七〇歳で亡くなった父は晩年、脳梗塞から認識障害を患い、一時は娘の私の顔も分からないほどでした。目の前の物体が何かは分かっても、言葉が上手く出てこない、左手の麻痺が残る。そんな中で自分の最後の詩集を編もうと、それまでの作品や手紙、資料を拾い集め、切り貼りして本当に手作りの詩集を作りました。

父は高校を卒業後、仏文学を学びたいと大学進学を希望したものの、長男の責務から東京への進学を断念。地元の印刷屋

もっとみる