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同じ空の下で

夕方の海辺
車窓から見た景色は、まるで静かな劇場のようで
犬を連れて歩く人、紙飛行機を追う子供たち
サッカーに夢中なカップル、釣り糸を垂れる静かな影

それぞれがそれぞれの瞬間を生きている
同じ空の下、同じ時間の流れの中で
約束もなく、言葉も交わさずに
ただ共に、そこにいるだけで

触れ合わないけど、すれ違うわけでもない
ひとつの空の下で繋がっている、見えない糸のように
それがなんだか、おもしろくて、あたたかい

まばらに広がる人々が、まるで星のように
夜の海に浮かぶ光の粒みたいに
ひとつひとつの小さな世界が集まって
大きな静けさをつくりあげている

同じ空の下、同じ時を生きる
それだけで、誰かと繋がっている気がする


あとがき
ただそこに居るという偶然
それの積み重ね
偶然か、なるべくしてか。
そんな空間。
今あなたが読んでいるという奇跡
偶然か、そうであるかのような。
そんな時間。

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SAI - 青の世界と物語
儚く/美しく/繊細で/生きる/葛藤/幻想的で/勇敢な 詩や物語を作る糧となります