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ふわり、空の彼方へ
長い間、心に降り積もった
退屈と煩わしさの影たちが
ふわり、ふわりと風にほどけて
空の彼方へと消えていく
深く染みついたため息も
名前のない寂しさも
この音の波に溶けて
どこか遠くの海へ流れてゆく
指先に触れた淡いぬくもり
瞳に映る微かな光
すべてが、そっとほどけて
静かな余白だけが残る
風が吹く
音が響く
ふわり、私もどこか遠くへ
儚く、美しく、舞い上がる
—— さよならを告げることなく
ただ、そっと、音の中へ。
あとがき
どうしてもこの言葉が浮かんで仕方なかった
「退屈で煩わしかった雑念、飛んでいく」
この言葉から紡いだ詩です。
この詩は、心に積もった雑念や過去の感情が、風に乗ってそっと遠ざかるような情景を描きました。長い間抱えていた思いが、ある瞬間ふっと軽くなる——そんなときが突然やってくる。
日々、何かを握りしめ、時にはそれを手放すことに迷い、恐れを抱くことがあって。それでも、風に吹かれるように、自然と流れゆくものもある。無理に忘れようとしなくても、時間とともにやわらかく溶けていくこともあるのだと。
この詩が、誰かの心にそっと寄り添い、そよ風のようにやさしく吹き抜けるものであれば嬉しいです。
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